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ハリファックス・サミットコミュニケ(仮訳)

平成7年6月16日

前文

1. 我々主要先進7カ国の元首及び首相並びに欧州共同体委員会委員長は、第21回サミットのため、ハリファックスで会合した。我々は、変化と機会の時に集まり、共にそして世界中の我々のパートナーと協力していくとのコミットメントを改めて確認した。



成長と雇用


2.我々の経済政策の主要な目的は、国民の福祉を向上させ、豊かで生産的な生活を享受できるようにすることである。したがって、質の良い雇用を創出し、我々の非常に多くの国において依然として受け入れ難いほど高い失業を減らすことは、我々すべてにとり喫緊の優先課題である。我々は、この目標達成に資するような経済環境を確立する決意である。

3.我々は、世界の多くの国で力強い経済成長が続いていることに引き続き意を強くしている。成長は若干鈍化してきたが、我々のほとんどの国において、持続的経済成長の条件は整っていると見受けられ、インフレは十分に抑えられている。我々は、成長のモメンタムを維持するための適切なマクロ経済・構造政策を遂行する。

4.しかし、問題は残っている。内外の不均衡は、金融通貨市場の有益でない変動とあいまって、持続的なインフレなき成長の達成と国際貿易の継続的な拡大を危うくしかねない。

5.我々は、既に合意した中期的経済戦略に引き続きコミットしている。我々は、この戦略に従って、持続的な雇用の創出を促進する手段を講ずることにより、現下の景気拡大を最大限に活用する決意である。このためには、財政赤字を更に削減し、インフレなき環境を維持し、高いレベルの世界的な投資の資金のために国内貯蔵を増加するとの断固たる行動が求められている。各国とも自らやるべきことをやらなければならない。

6.我々は、ワシントンでのG7蔵相会合において得られた結論を支持し、彼らに対し、経済の監視及び為替市場において緊密な協力を維持するよう求める。

7.適切な財政・金融政策は、それ自体が経済パフォーマンスの向上という成果を十分にもたらすものではない。また、我々は、我々の経済が成長し、かつ、安定した給与の良い雇用を創出する長期的な潜在力を発揮する上での障害を除去しなければならない。このためには、我々の労働力の技能を向上させる措置及び適当な場合には、労働市場の一層の柔軟性と不必要な規制の撤廃を促進する措置をとる必要があろう。ナポリにおいて、我々は、訓練及び教育、労働市場の規制及び調整、技術革新並びに競争強化といった分野における一連の改革を約束した。我々は、これらの改革を遂行するに当たって、OECDが各加盟国経済の構造・雇用政策に関し詳細な検討を開始したことを歓迎する。

8.我々の議論のフォローアップとして、我々は、閣僚に対し、次回のサミットの前にフランスで会合し、雇用創出の進捗状況を検討し、我々のすべての国において雇用を増加させるためには何が最善かを検討するよう要請することに合意する。

9.また、我々は、高齢者や社会的弱者の保護を確保する決意である。このために、我々の幾つかの国では、公的年金計画及び社会保障制度の継続を確保する措置をとらなければならない。また、我々の幾つかの国では、民間部門の年金資金の利用可能性を確保することに同様の関心を向ける必要がある。

10.我々は、関係閣僚たちによって合意された8項目の主要な政策上の原則を含め、2月にブラッセルで開催された「情報社会に関する会合」の成果を歓迎するとともに、技術革新と新技術の普及の促進に資するために計画されている一連のパイロット・プロジェクトの実施を奨励する。また、我々は、民間部門の参加を歓迎する。我々は、「グローバルな情報社会」を実現するに当たって、開発途上国や移行経済諸国との対話を奨励し、情報社会に関する会議を1996年春に南アフリカで開催するとの提案を歓迎する。


21世紀の課題に応えて

11.国際機関は、過去50年にわたり、安定、繁栄及び公平を追求する上で中心的存在であった。昨年ナポリにおいて、我々は、これらの国際機関が将来の課題に効果的に対処し得ることを確保すべくその見直しを求めた。本日ハリファックスにおいて、我々は、この目的に向かって幾つかの具体的な方策を提案する。効果的かつ効率的な国際機関は、すべての国にとって重要である。我々は、世界の安定と繁栄を増進するため、それぞれの国際機関のすべての加盟国と共に当該機関の強化に向けて全力を挙げることを約束する。


世界経済の強化

12.世界経済は、過去50年にわたり、想像を超える変化を遂げてきた、技術の変化が推進してきたグローバル化により、経済は相互依存関係を深めてきた。このことは、従来純粋に国内的なものと見られてきた幾つかの政策分野や政策分野間の相互作用にも当てはまる。我々が直面する主要な課題は、市場の特性を把握し、かつ、重要なプレイヤーが増加していることを認識しながら、この深まりつつある相互依存関係を運営していくことである。これは、世界的なマクロ経済と金融の安定を追求していくに当たって特に重要である。

13.G7間のマクロ経済政策に関する緊密な協議と効果的な協力は、インフレなき持続的成長を推進し、大幅な内外不均衡の出現を回避し、為替市場の一層の安定を推進する上での重要な要素である。我々の閣僚は、これまでに、国際通貨基金(IMF)との協議の拡充を含む政策協調を強化するために、協議のあり方に関し幾つかの変更を行ってきた。

14.世界の資本市場の成長と統合は、大きな機会と共に新たな危険をも生み出してきた。民間資本の流れの増大、国内資本市場の一層の統合、及び金融分野における革新の加速度的な進行に内在する危険に国際社会が引き続き適切に対処していくことができるよう確保することは、我々に共通の利益である。

15.本年初頭のメキシコにおける事態の展開とその影響により、これらの問題に対する我々の関心は強まった。我々は、メキシコにおける最近の事態の一層の改善と共に、多くの新興経済における事態の進展を歓迎する。

16.危機を予防することは、とるべき措置の方向性として望ましい。これを達成するためには、各国が健全な財政・金融政策を遂行することが最善である。しかし、早期警戒システムの改善も必要であり、それによって、我々は、金融上の衝撃的事態を予防し又は処理するために一層迅速な行動をとることができるようになる。かかるシステムは、各国の経済政策及び金融市場の動向に対する改善された効果的な監視システムを備えていなければならず、また、市場の参加者に対し情報をより十分に開示するものでなければならない。このために、我々は、IMFに対し次のことを要請する。

●主要な経済・金融データの時宜を得た公表のための基準を設定すること。

●これらの基準に従っている国を定期的に特定し公表する手続を設定すること。

●加盟国が一連の標準的データを十分にかつ時宜を得て報告することを強く求め、すべての政府に対してより明確な政策的助言を提供し、必要な行動を回避していると見受けられる国に対してより率直なメッセージを伝達すること。

17.予防が失敗した場合の金融市場の難局に際しては、国際機関や主要国が、適当な場合には、迅速にかつ協調して対応する必要がある。融資メカニズムは、衝撃的事態に効果的に対処するために必要な規模とタイミングで運用されなければならない。この関連で、我々は、IMFに対し次のことを要請する。

●新たな常設の手続としての「緊急融資メカニズム」を創設し、危機が生じた場合に、厳格なコンディショナリティーとより多額の前倒し融資を伴うIMF取決めへのより迅速なアクセスを提供するようにすること。

18.この手続を支援するために、我々は、次のことを要請する。

●G10及びこのシステムを支援する能力を有するその他の国が、金融上の緊急事態に対処すべく、一般借入取決め(GAB)の下で現在利用可能な額をできる限り早期に倍増するとの目的で融資取決めを作成すること。

19.IMFが現行の責任を果たす上で十分な財源を持つことを確保するため、我々は、IMFの新たな増資についての議論を継続するよう要請する。

20.上記の諸要素につき着実な進展が図られれば、将来の金融危機に対処する我々の能力は著しく向上するはずである。それにもかかわらず、これらの改善がいかなる場合にも十分であるとはいえないかもしれない。また、債務危機の状況においては、国際金融上の多様な手段がもたらす法的その他の複雑な問題があることをも認識して、我々は、G10の蔵相及び中央銀行総裁が、かかる問題の秩序ある解決のために有益と考えられる他の手続を更に検討することを奨励する。

21.我々は、SDR制度にすべてのIMF加盟国が参加することを引き続き支持する。更に、我々は、世界の金融システムの変化にかんがみ、IMFに対し、SDRの役割と機能の幅広い見直しに着手するよう要請する。

22.金融機関や市場の規制及び監督につきより緊密に国際協力を行うことは、金融システムを守り、その健全性確保のための水準が損なわれていくことを防ぐ上で非常に重要である。我々は次のことを要請する。

 ●規制・監督当局間の協力を深め、危機を監視・抑止するために必要な防止措置、基準、透明性及びシステムを発展・増進させることにつき、グローバルなレベルで、効果的で統合されたアプローチを確保すること。

 ●適切な監督体制に関する国際金融機関よりの政策助言を強化することと併せ、各国が資本市場の規制を除去するよう引き続き奨励すること。

 ●蔵相が、銀行及び証券の規制に責任を有する国際機関に対し研究・分析を委託するとともに、次回のサミットにおいて現行の体制の妥当性につき、要すればその改善のための提案と併せ報告すること。

23.我々は、また、国際的な金融詐欺が大きな問題となるつつあると認識している。我々は、規制当局と法執行機関との間の意思疎通を改善する決意である。


持続可能な開発の推進

24.すべての人々にとってのより質の高い生活は、持続可能な開発の目標である。民主主義、人権、透明性が高く責任ある統治、人材への投資及び環境保護は、持続可能な開発の基盤である。一義的な責任は各国にあるが、2国間及び多数国間の国際協力は、各国の努力を補強するために不可欠である。我々は、相当規模の資金の流れを確保するとともに、我々の援助の質を改善する決意である。

25.国際開発協会(IDA)は、貧困を削減し、最貧国が世界経済に統合されることを助長する上で、不可欠な役割を果たしている。したがって、我々は、すべての援助国に対し、IDA第10次増資に関するコミットメントを迅速に履行するよう、及びIDA第11次増資を通じての大幅な増資を支持するよう要請する。我々は、国際開発銀行に関する世銀・IMF合同開発委員会タスク・フォースの提言に期待している。

26.国際機関は、知的リーダーシップ及び政策助言を提供すること並びに持続可能な開発にコミットしている国に資源を結集することにより、決定的に重要な役割を果たしている。国際連合及びブレトン・ウッズ機関は、それぞれの能力に立脚すべきである。国連は、世界の優先課題についての合意形成のための独特なフォーラムを提供し、基本的価値を擁護し、開発上及び人道上の要請に対応している。ブレトン・ウッズ機関は、マクロ経済の安定を推進し、持続可能な開発に資する環境を支援し、開発のための資源を動員・移転するに当たって、特有の役割を果たしている。我々は、関係国際機関が次のことを行うよう確保するために、それぞれの機関及びそのすべての加盟国と協力する。

 ●各機関の計画のすべての側面において、環境に対する配慮を強化・深化させること等により、持続可能な関発を政策及び計画の主要な目標とすること。

 ●各国に対し、健全な経済、環境及び社会政策をとるよう、並びに持続可能な開発のための適当な法的及び組織的な枠組みを整備するよう奨励すること。

 ●参加型開発戦略をとるよう各国に奨励し、並びに透明性、国民に対する責任、安定した法の支配及び活力のある市民社会を確保する政府の改革を支援すること。

 ●健全な民間部門の発展を奨励し、民間資金の流れを促進するための保証及び協調融資を拡大し、並びに中小企業のための信用供与を増大すること。

 ●民間部門の資金が利用可能でない場合には、持続可能な開発に必要な社会資本のための資金を引き続き提供すること。

27.我々は、中東和平のプロセスを積極的に支援する必要性について合意する。かかる支援には、地域的な協力を強化する新たな組織及び融資制度の設立が含まれる。したがって、我々は、既に作業中のタスク・フォースに対し、10月のアンマン・サミットに間に合うように適当な提案を作成するために検討を続けるよう要請する。


貧困の削減

28.何よりも優先されるべき課題は、世界の貧しい人々の窮状を改善することである。極度の貧困の存続及び最貧国の疎外は、繁栄と安全を求める世界中の願望と明らかに両立しない。サハラ以南アフリカは、特に深刻な課題に直面している。我々は、関係国際機関に次のことを奨励する。

 ●最貧国、特に、サハラ以南アフリカの諸国であって、譲許的資金を効果的に使用する能力と決意を有することが明らかなものに同資金を集中し、援助を実施するに当たって軍事支出その他の非生産的支出の傾向を考慮すること。

 ●貧困の根源に立ち向かう基本的な社会計画その他の措置に向けられる国際機関の資金の割合を大幅に増加すること。

29.我々は、昨年我々が最貧国の債務救済措置の改善を奨励したことに対するパリ・クラブの対応を歓迎し、ナポリ・スキームの完全かつ建設的な実施を要請する。我々は、最貧国の中には、国際機関に対して相当規模の債務を負っているものがあることを認識している。我々は次のことを奨励する。

 ●ブレトン・ウッズ機関が、既存の制度の弾力的な運用及び必要な場合には新たなメカニズムを通じ、国際機関に対して債務を負っている国を支援するために、包括的な取組みを発展させること。

 ●この目的を推進し、譲許的な拡大構造調整ファシリティー(ESAF)の融資を継続するため、既存の世界銀行及びIMFのすべての資金をより有効に利用し、国際開発銀行が適当な措置をとること。

30.開かれた世界市場も開発途上国における経済成長の加速に決定的に重要である。国際機関は、世界の貿易体制への最貧国の統合を支援するために努力すべきである。我々は、後発開発途上国に対するウルグアイ・ラウンドの影響をWTOが監視・検討することを奨励する。


環境保護

31.我々は、環境保護のための国内的及び国際的措置の双方を最優先の課題とする。環境の保護は、革新的な技術の開発・採用の契機となり、これにより経済効率と成長は向上し、長期的雇用の創出に資する。G7諸国の政府は、その政策、活動及び調整において、環境の改善につきリーダーシップを示さなければならない。このためには、経済的措置、革新的な責任制度、環境への影響の評価及び自主的な措置を適切に組み合わせる必要がある。汚染の予防、汚染者負担原則、環境コストの内在化及びすべての分野における政策と意思決定に環境上の配慮を組み込むことに努力を集中させなければならない。

32.我々は、1992年のリオ地球サミット以降のコミットメントを果たす重要性及び適当な場合には同コミットメントを見直し強化する必要性を強調する。気候変動は、依然として世界的に非常に重要である。我々は、他国と協力して次のことを行う。

 ●気候変動枠組条約に基づく現行の義務を履行するとともに、ベルリンでの締約国会議をフォローアップすべく合意された野心的な日程及び目的を実現するとのコミットメントを果たすこと。

 ●生物多様性条約に従って採択された中期的作業計画を実施すること。

 ●CSDの森林に関する政府間パネルの作業を成功裡に終了させ、200海里内と公海とにまたがる漁業資源及び高度回遊性魚種に関する国連会議の成功を推進するとともに、次回のCSD会合において世界の海洋に関する問題に対処する措置についての国際的な合意を推進すること。

33.我々は、CSDとUNEPの任務をより明確にすることを奨励する。CSDは、持続可能な開発のための長期的・戦略的目標を明らかにし合意するための世界的なフォーラムであるべきである。UNEPは、国際的な環境問題について発言し、触媒的役割を果たすものとして活動すべきである。UNEPは、監視、評価及び環境に関する国際法の発展に専念すべきである。


危機の予防及び危機への対処

34.災害その他の危機により、開発上の課題は複雑化し、我々の制度はその欠陥を露呈してきた。我々は、人権や難民に係る危機等、新たに生起しつつある危機を予防・緩和することに資するよう、次のことを要請する。

 ●国連事務総長が、特に国連人権高等弁務官及び国連難民高等弁務官を通じ、災害及び紛争に関する早期警戒情報の分析及び活用を改善する手段を探求すること。

 ●ブレトン・ウッズ機関及び国連が、危機の際の非常事態から復興段階への円滑な移行を容易にし、援助国とより効果的に協力するため、必要な場合には既存の資金に基づいて、新たな調整手続を設定すること。

 ●人道的支援の供与に関与する機関が、調整の役割を有する人道問題局とより緊密に協力すること。


国際機関の一貫性、有効性及び効率の強化

35.国際機関は、将来に向けて効果的に任務を遂行するために、引き続き改革を実行し、相互の調整を改善し、重複を減らさなければならない。国際金融機関は、世界経済のニーズの変化に弾力的に対応してきた。しかしながら、これらの機関が将来の課題により十分に備えるためには、改善が望まれる幾つかの分野が依然として残っている。我々は次のことを奨励する。

 ●世界銀行及び地域開発銀行が、活動に際しての権限の分散をできる限り図ること。

 ●IMF及び世界銀行が、各々の基本的な関心事項(概括的にいえば、IMFにとってはマクロ経済政策、世界銀行にとっては構造政策及び部門別政策)に専念すること。

 ●より効果的な意思決定を推進するために、IMF及び世界銀行の閣僚級委員会を改善すること。

 ●世界銀行グループが、国際金融公社及び多数国間投資保証機関の活動を同グループの国別援助戦略により効果的に統合すること。

●国際開発銀行が、2国間及び多数国間の援助の他のドナーとの間で各々の国別計画をより効果的に調整すること。

36.国連が国連憲章の目的をより十分に実現し得るようにするため、我々は、既に行われている改革を拡大・深化することを奨励し、他国と協力して次のことを行う。

 ●「開発のための課題」を完成し、その中で国際協力に関する新たなアプローチを設定するとともに、国連機関に期待される特有の貢献を明らかにすること。

 ●国連経済社会理事会(ECOSOC)のより効果的な内部の政策調整の役割を強化すること。本部と現場におけるより緊密な協力を通じ、国連と専門機関との間の協力をより深めるよう奨励すること。人道的支援、開発援助等、経済及び社会の分野における機関を強化し合理化すること。事務局の透明性、信頼性を高めるとともに、現代的な管理手法を採用するよう奨励すること。

 ●重複を避けるために、任務を時代に合ったものとし、絞り込むこと。新たな国際機関との重複を排除すること(例えば、UNCTADのWTOとの重複)。変化する課題にかんがみ、特定の機関(例えば、地域経済委員会及び国連工業開発機関(UNIDO))の役割を検討すること。
 我々は、加盟国が財政的義務を履行するよう求めるとともに、分担金制度の改革につき早期に合意するよう要請する。

37.我々は、全体としての一貫性、協力及び経費の効率性を増進させるために、他国と協力して次のことを奨励する。

 ●データ収集、分析、優先度の設定及び報告活動を合理化すること。国のレベルでの援助の供与に当たっての相互補完性を高めること。

 ●国際機関、2国間援助の供与国及び非政府機関の間での調整を改善すること。

 ●すべての機関が、今後数年以内に運営経費の大幅な削減を実現するための計画を作成・実施すること。


フォローアップ

38.以上の点は、国際機関を次世紀の課題に備えるための我々の最初の提案である。我々は、すべての適当な機関において、国際社会とより広範に協力しつつ、これらの提案を積極的に推進する所存である。特に、我々は、これらの目標を実現するために、他の国連加盟国と共に努力する決意である。我々は、これらの優先分野に関する合意を他国と形成するために、1995年10月の国連50周年の祝賀の機会を利用する。我々は、来年のフランスにおける我々の会合において、検討を行う。


開かれた市場を通じた機会の創出

39.我々は、新たな投資と貿易の拡大が成長と雇用という我々の目的を達成する上で極めて重要であると認識している。世界市場において、国内外のモノ・サービスの生産者及び供給者にとっての機会は、対外的な障壁と同程度に、国内政策によって左右される。市場アクセスを改善するために、我々は、残された内外の障壁の削減を努める所存である。

40.我々は、ウルグァイ・ラウンド合意を完全に実施し、あらゆる形態の保護主義に抵抗するとのコミットメントを改めて確認する。我々は、同合意の上に立って、成長、雇用及びグローバルな協力のための新たな機会を創出する。我々は、WTOを効果的な機関として確立するために、共にそして他の貿易パートナーと協力していくとともに、十分に機能しかつ尊重される紛争解決制度を確保することにコミットしている。我々は、WTOと他の国際経済機関との間のより緊密な協力を支持する。我々は、WTOの透明性を高めることの重要性を認識している。

41.我々は、WTOの非加盟国が、すべての加盟国に適用されるルールに従い、かつ、市場アクセスの意味のある約束に基づいて、WTOに加盟することを支持する。我々は、地域的貿易イニシアティヴへの我々の参加が、多角的体制にとって前向きの力であり続けるよう確保することにコミットしている。

42.貿易自由化のモメンタムは維持されなければならない。我々は、サービス分野について現在行われている交渉を成功裡に妥結させること、及び特に、金融・電気通信サービスにおいて相当程度の自由化にコミットしている。我々は、ウルグァイ・ラウンド最終文書の中で今後行うこととして予定されているフォローアップ作業を進めていく。我々は、技術基準、知的所有権、政府調達等の分野における作業を奨励する。直ちに優先して行うべきことは、投資についての高い水準の多数国間協定につきOECDで交渉することである。我々は、WTOのパートナーと共に、投資についての議論を開始する。我々は、規制制度改革のようなイニシアティヴが、グローバルな競争にとっての行政的・構造的障害の除去することにより、貿易自由化と経済成長にとって特に重要な貢献を行うものであると認識している。

43.我々は、貿易自由化の継続という目標との整合性を図りつつ、次のことに関する作業を遂行する。

 ●貿易と環境という異なる分野における規律と政策の両立を確保すること

 ●貿易と競争政策の分野における多数国による行動の範囲

 ●貿易と雇用・労働基準

44.我々は、WTOや他の適当なフォーラムにおけるパートナーと協力しつつ、1996年にシンガポールで行われる野心的なWTOの第1回閣僚会議の基礎作りを行う。


移行経済の国々

45.我々は、多くの移行国が民主的かつ市場経済に基づく社会に向けて前進していると認識している。早期の断固たるマクロ経済安定化は、成長を早期に回復させる最も効果的な戦略であることが明らかとなった。かかる成果を確固としたものとするため、広範囲に及ぶ構造改革が精神的に追求されなければならない。我々は、移行経済の国々における経済改革及びこれらの国々の経済が世界の貿易・金融制度に統合されることを引き続き支援する。我々は、これらの国々が市場アクセスの改善を必要としていることを認識している。

46.我々は、ウクライナが大胆な経済改革計画の良いスタートを切ったことを歓迎する。最近のIMFスタンドバイ取決めは、国際金融機関や2国間援助の供与国が相当規模の金融支援を行う基盤となった。我々は、ウクライナが、国際金融機関と緊密に協力しつつ改革努力を継続するよう奨励する。強力な経済改革が継続されるとの前提に立って、1996年末までに国際金融機関から更に20億ドルが利用可能となる。

47.我々は、ロシアが、金融の安定化と経済改革についてのコミットメントを新たにしていることに意を強くしている。政治的改革の継続も必要である。我々は、安定した政治上、規制上及び法的な環境並びに近代的な金融部門の発展が、最近署名されたIMFスタンドバイ取決めに示されている政策措置を完全に実施することとあいまって、ロシアの経済回復を促進するものと確信している。我々は、6月3日のパリ・クラブでの債務繰延べ合意を歓迎するとともに、ロシアの公的対外債務を多数国間で包括的に取り扱うことの妥当性を認識している。また、我々は、ロシアがパリ・クラブと緊密に協力することについて関心を有していることに留意する。


原子力の安全

48.各国は、自国の原子力施設の安全性に対して責任を負っている。我々は、中東欧諸国及び新独立国家における原子力の安全の水準を向上させる上で今日までに達成された進展を歓迎する。我々は、ウクライナのクチマ大統領が2000年までにチェルノブイリ原子力発電所を閉鎖するとの決定を行ったことを祝福する。我々は、「ウクライナのエネルギー部門のためのG7行動計画」に基づいて昨年ナポリで行った支援のコミットメントを改めて確認する。我々は、チェルノブイリ発電所の閉鎖のために行われている短期的安全性の向上及び予備的な解体作業のための欧州復興開発銀行(EBRD)の原子力安全基金の増資及び二国間での資金供与のコミットメントに言及することを喜ばしく思う。我々は、他の拠出国に対し、G7諸国と共にこの目的のために資金を供与するよう要請する。

49.チェルノブイリ発電所の閉鎖を支援するために、我々は、適切なエネルギー生産、エネルギー効率性及び原子力の安全に係る計画への国際的支援を結集するよう引き続き努力する。チェルノブイリ発電所の代替電力源のためのいかなる支援も、健全な、費用対効果の高い環境上の基準に基づくこととなろう。世界銀行とEBRDは、ウクライナと共に、現実的かつ長期的なエネルギー戦略を策定するための協力を継続すべきである。両銀行は、適切なエネルギー分野の改革及び省エネルギーのための措置を支援すべく資金的な貢献を増加すべきであり、エネルギー投資に対する民間部門の支援を結集すべきである。


次回サミット

50.我々は、1996年6月27日から29日までリヨンで会合することについてのフランスの大統領の招待を受諾した。

ハリファックス・サミット議長声明(仮訳)

平成7年6月17日

1.戦後50周年及び国連創設50周年にあたり、我々は、世界的に重要な政治問題につき協力の精神のもとで討議を行った。和解と協力を通じてこれまでに達成されてきたことに満足感をもって留意し、我々は、解決策を見出す上でより一層緊密に協力していくとの意志を確認した。


多角的取組みに対するコミットメント

2.我々は、国連に対するコミットメントを再確認する。国連は、平和と安全、持続可能な開発、及び人権の尊重に基づく国際秩序のための基本原則を憲章で規定している。冷戦後の時代において、国連は一層重要な役割を果たすことが求められており、我々は、その国連を強化する措置を支持し、また、次の半世紀の挑戦に応えるため、他の国連加盟国とともに、具体的な機構改革を通じ、より効果的かつ効率的な組織を造る努力を行っていく。我々は、加盟国が財政的義務を履行するよう求めるとともに、分担金制度の改革につき早期に合意するよう要請する。

3.国連は、国際の平和及び安全に対する脅威に対応すべく、より迅速かつ効果的に行動できなければならない。我々自らも、紛争の予防、管理及び解決を支援するための、各々の努力をより緊密に調整する決意である。危機の早期警戒、政治的仲介、及び、平和維持活動要員を含む国連の文民・軍事要員の紛争地域への現実的な任務に基づいた緊急展開に高い優先度が置かれるべきである。我々は、平和維持活動の運用計画作成手続を改善するため、また、指揮・統制用装備や後方支援体制及び施設を新しくするため、更なる努力を一層奨励する。我々は、また、最近採択された「国連要員及び関連要員の安全に関する条約」の早期発効をはじめ、国連要員の安全確保のための措置が必要であることを強調する。我々は、安全と安全の構築及び紛争の予防と管理において、地域的組織及び地域的取極が果たす役割が増大していることを歓迎し、また、このような組織と国連との協力強化を特に重視する。


軍備管理・軍縮

4.我々は、核兵器不拡散条約(NPT)の無期限延長、及び、同条約の普遍化に向けた締約国のコミットメント、並びに、再検討プロセスを強化し、核不拡散と核軍縮に関する原則と目標を採用するとの締約国の決定を歓迎する。ウクライナのNPT加入決定が大きく寄与した第1次戦略兵器削減条約(STARTⅠ)の発効は、核軍備管理の過程において、重要な1歩を印すものである。我々は現在、第2次戦略兵器削減条約(STARTⅡ)の早期批准を待望している。我々は、STARTⅠのもとで削減対象となった核兵器の安全かつ確実な廃棄を支持し、これらの兵器から生じる核分裂性物質の兵器目的への不使用を確保するための措置に関する米国及びロシアの作業を歓迎する。兵器級プルトニウムの処理は特別の注意に値し、我々は、その一層の研究を奨励する。

5.我々は、核実験を禁止するための、また、核兵器その他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を停止するための、普遍的、包括的及び検証可能な条約を遅滞なく成立させる必要性について、国際的な認識が高まりつつあることに勇気づけられる。核物質の犯罪的流用及び不法取引が引き続き全世界を危険にさらしていることを認識し、また、ナポリでの決定及びその後の専門家による実際的な作業を踏まえ、我々は、核物質の管理の体制を強化するために協力し、関税、法執行、及び情報分野での協力を拡大し、また、国際原子力機関(IAEA)、国際刑事警察機構(INTERPOL)等の場を通じて核物質の盗難及び密輸と戦うための国際社会の能力を強化する決意である。我々は、化学兵器禁止条約を可能な限り早期に発効させることの重要性を強調し、生物兵器及び毒素兵器禁止条約の検証制度の確立につき迅速な進展を求める。

6.通常兵器の過剰な移転、特に紛争地域に対する移転は、我々の主要な関心事の1つである。我々は、対人地雷による一般市民への危害が継続していることに慄然とする。我々は、各国に対し、1980年の特定通常兵器条約への加入を要請し、また、対人地雷の多国間規制を強化するため、今秋開催される同条約の再検討会議に参加することを要請する。我々は、全ての国が国連軍備登録制度の完全実施を支持することを求めるとともに、国連憲章第26条が、「世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少なく」することを求めていることに留意する。地域的組織は、通常兵器の過剰な蓄積を抑制するための透明性及び信頼醸成措置を促進する一助となり得る。我々は、武器並びに機微な汎用品及び技術の効果的かつ責任ある輸出管理のために、他国と協力する。

新たなアプローチの促進

7.国連やその他の場において、環境悪化、持続不可能な人口増加、紛争被害者の大量移動、国境を越えた非自発的移住等の新たな地球的規模の挑戦に対応するための新たなアプローチが求められている。経済、社会及び政治問題間の関連性に焦点を当てた、国連事務総長による「開発のための課題」をはじめとするイニシアティブは、国際的安定に重要な貢献を行い得る。我々は、これを基に他の加盟国とともに努力していくことにコミットする。我々は、また、人権や人道援助をはじめとする経済・社会開発面での国連の活動におけるNGOの重要性を認識し、その活動が国連及びその他の機関の活動とより密接に調整されることは国際社会にとり有益であると信じる。我々は、国際社会が人道上の緊急事態に迅速に対応するための効率的な手段を強化する必要があるとの強い信念を改めて表明するとともに、この分野における西欧同盟(WEU)の活動を支持する。

8.個人の権利の尊重は、持続性があり安全で繁栄した国際秩序の中核をなすものである。我々は、普遍的な人権と基本的自由の尊重を最も確実に保証する良い統治と民主的責任とを促進するために努力する。我々は、攻撃的なナショナリズムや少数民族に属する人々の不当な取り扱いを含む。あらゆる形態の差別と不寛容を非難する。我々は、全ての国家に対し、世界人権宣言に謳われている権利を擁護し、また、国際人権規約その他の多国間人権関係文書を批准し完全に遵守することを求める。我々は、国連人権高等弁務官に対する支持、及び、人権に関する国連システム内部の調整役としての同弁務官の役割に対する支持を再確認する。我々は、人権侵害に係る責任を明らかにする国際的なメカニズムの強化を求め、また、各国政府に対し、国際法及び国内法の範囲内で、個々の事件の効果的な究明等において、各種裁判所及び調査委員会に十分協力することを求める。

9.我々は、あらゆる形態のテロリズムを打破する決意を改めて表明する。最近の非道な事件を踏まえ、我々は、主要なテロ事件からの経験と教訓をより緊密に分かち合い、研究・技術を含め、あらゆるテロ対策の分野における協力を強化することに合意する。我々は、テロリストを支援している全ての国家に対し、テロリズムを放棄し、テロ組織に対する財政的支援、領土の使用及び他のいかなる方法による支援も拒絶するよう求める。我々は、テロ組織の資金調達能力を阻むための措置を特に重視し、他の各国政府が、テロ活動に対する関連法規を厳格に施行し、また、既存のテロ対策関連の条約及び協定に加入することを求める。我々は、これらの共有された目的を追求するため、テロ専門家グループに対し、テロ行為を抑止し、防止し、また捜査するための具体的かつ協力的に措置に関し、閣僚級会合に報告するよう指示する。これらの会合は、我々の次回会合の前に開催されるべきである。

10.国際犯罪組織は、我々各国の安全にとって、益々大きな脅威となっている。これら組織は、金融システムの信頼性を損ない、腐敗を生み、世界中の新生民主国家や開発途上国を蝕む。これら組織の犯罪活動に効果的に対処するため、我々は、既存の制度を強化し、相互協力、情報交換、及び他国への支援を強化する努力を行う。一部の国が国際犯罪組織及びその関係者に逃亡先を与えていることは、法の執行にとり重大な支障となる。我々は、これらの者が国境を越えることによって法の裁きから逃れられないよう、一層緊密に、協力し合い、また他の国と協力することに同意する。我々は、全ての政府に対し、関連の国際協定や金融活動作業部会の勧告を遵守し、履行するよう奨励する。我々は、最終的な成功のためには、全ての政府が、麻薬取引やその他の重大犯罪からの収益の洗浄を防止するための効果的な措置を講じる必要があることを認識する。国際的な組織犯罪との戦いにおける我々のコミットメントを実施すべく、我々は、2国間及び多国間の既存の協力体制を批判的に検討し、重大な欠陥やよりよい調整のための方途を明らかにし、また、そのような欠陥を補うべく現実的な措置を提案するとの任務を一時的に与えられた上級専門家グループを設置した。同グループは、1996年のサミットに報告する。

欧州

11.50年間にわたる分断を経て、我々は今、民主主義、市場経済、安定、平和及び繁栄を欧州全土に確立する歴史的な好機を迎えている。我々は、欧州連合と中欧諸国及びバルト諸国との間の欧州協定や、ロシア、ウクライナ及びその他の新独立国家との間の提携・協力協定を通じた、欧州連合の安定と協力に対する貢献を強く支持する。我々は、欧州全体の安全と安定を高め、欧州安定条約やNATOの「平和のためのパートナーシップ」構想により生まれた好機を各国が十分に活用するよう奨励する。我々は、他の多国間の会議及び取組みに対し、欧州の統合を支援するよう奨励する。我々は、昨年のブタペスト首脳会議において、欧州安全保障・協力機構(OSCE)の機能強化のためにとられた措置に満足し、21世紀の欧州の安全保障モデルを模索するためのOSCEの研究に貢献する。

12.我々は、ボスニア、特にサラエボ地域において引き続き戦闘が激化していることを深く憂慮する。我々は、全ての当事者に対し、永続的解決に不可欠な政治的交渉が、コンタクト・グループ提案に基づき、可能な限り速やかに再開されるよう、軍事行動の即時停止を訴える。我々は、ボスニア内セルビア人勢力に対し、このコンタクト・グループ提案を受け入れるよう求める。

13.我々は、ボスニア内セルビア人勢力が国連要員を人質に取り、遺憾にも一般市民に対し砲撃を行い、国連保護隊(UNPROFOR)の移動の自由を阻害していることを非難する。我々は、残された人質の即時かつ無条件の解放を要求するとともに、ボスニア内セルビア人勢力の指導者に対し、人質の安全に関する責任を問う。我々は、ボスニア政府及びその他全ての当事者に対し、敵対行為停止協定を更新し、人道援助の自由な通行を確保するよう求める。

14.我々は、国連保護隊を強化し、また、同保護隊に即応能力を付与することにより、同保護隊の安全性と一般市民を保護する能力を高め、人道援助物資の輸送を容易にし、永続的平和のための条件を整えんとする国連安全保障理事会の決定を歓迎する。緊急対応部隊は、安保理決議に明記されているとおり国連の指揮下に入り、安全保障理事会決議に規定されているとおり国連保護隊の既存の任務に基づき活動する。

15.我々は、和平プロセスに新たな弾みが緊急に与えられるよう要請する。この関連で、我々は、カール・ビルト氏の欧州連合側交渉担当者への指名を歓迎し、また、同氏及び国連側交渉担当者であるトルバルド・ストルテンベルグ氏に対し、永続的な解決に達するための努力に関し、強い支持を表明する。

16.我々は、旧ユーゴーの各共和国が、国際的に承認された現行の境界線に基づいて、早期に相互承認を行うことを求める。ボスニアと新ユーゴー(ユーゴスラビア連邦共和国)との間の承認は、重要な第1歩となるものであり、我々は、ミロシェビッチ大統領に対し、それを行うよう求める。ボスニア連邦は、和解を進展させる1つの方途であり、また、我々は、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国における状況の安定化に資する措置を引き続き支持する。

17.我々は、クロアチアにおける戦闘激化の危険性を引き続き憂慮する。クロアチア政府及びクロアチア内セルビア人勢力の両者は、自制を示さなければならない。我々は、当事者に対し、1994年3月29日の停戦の尊重、及び、国連クロアチア信頼回復活動(UNCRO)が新しい任務を遂行する上での国連との協力を求める。我々は、両者間の経済協定の一層の進展を求め、また、クロアチアに関する「ザグレブ4」提案に示された諸原則を基礎としてセルビア系住民の自治を確立しつつ、国際的に承認されたクロアチアの国境を尊重した解決に達するべく、政治的対話の開始を求める。

中東及びアフリカ

18.イスラエル・ジョルダン平和条約は、この地域全体の和平のための重要な磁石である。和平に向けた勢いが維持されることが緊要である。我々は、イスラエルとレバノン及びシリアとの間の平和条約が締結されることを奨励する。我々は、イスラエル・パレスチナ間の原則宣言を強く支持することを誓約する。我々は、イスラエル及びパレスチナ機関が、両者間で合意したとおり、パレスチナ自治区における選挙とイスラエル国防軍の再配備とのための取決めを妥結するよう求める。我々は、また、和平にとっての経済的基盤の重要性、特に地域的統合の必要性を認識する。我々は、アラブ連盟諸国に対し、イスラエルに対するボイコットを止めるよう改めて呼びかける。

19.我々は、イラン政府に対し、地域及び世界全体の問題に建設的に参加するとともに、中東和平プロセスを破壊し、この地域の不安定化を図ろうとする過激派グループに対する支援を差し控えるよう求める。また、我々は、イラン政府に対し、テロリズムを拒否し、特に、サルマン・ラシュディ氏及び同氏の著作に関係した者の生命を継続的に脅かす行為への支援を止めるよう求める。我々は、全ての国家に対し、イランによる核兵器能力の取得に寄与し得る同国とのいかなる協力も避けるよう求める。

20.我々は、イラク及びリビアに関連するあらゆる国連安保理決議が遵守されるまで、これらの決議の完全な実施を推進するとの決意を改めて表明するとともに、そのような実施は、制裁の評価のし直しを伴うことを想起する。我々は、イラクに対し、石油の売却と人道的物資の購入を認める国連安保理決議986の受入れ拒否を再考するよう求める。

21.我々は、アルジェリア政府による、経済改革に向けた積極的措置を支持するとともに、平和と安定のみが成功のための持続的な基礎をもたらすと信じる。我々は、アルジェリアにおける暴力行為の終止を求めるとともに、非暴力及び民主主義の原則を受け入れている全ての当事者に対し、平和的な対話及び真の選挙プロセスを通じた政治的和解を追求するよう求める。

22.我々は、南アフリカにおける平和的かつ民主的な政権移行、その他の南部アフリカ諸国における選挙の成功裡の実施、及び、アンゴラの和平プロセスを賞賛する。これらの進展は、アフリカの長期的展望につき楽観させる有効な根拠を提供する。我々は、アフリカの指導者達による、紛争の予防のための努力、並びに、民主化、構造改革及び経済自由化を通じた民生の向上のための努力を引き続き支持する。

23.我々は、ブルンディ及びルワンダにおける過激主義者を非難するとともに、ルワンダ国際裁判所を通じた措置を含め、彼らの行為の責任を問うための措置を支持する。我々は、ルワンダ・ブルンディ地域への人道支援に対する国際的支持の拡大を求める。我々は、国連及びアフリカ統一機構(OAU)の主催による、「安定化と安全保障についての大湖地域会議」の招集を支持する。

アジア太平洋

24.我々は、アジア太平洋地域において、アセアン地域フォーラム(ARF)をはじめ、様々な形の対話及び協力が、域内で、又、域外との間で生まれつつあることを歓迎する。我々は、政治、経済及び安全保障問題を取り扱う国際的及び地域的なフォーラムにおいて、中国の参加が拡大していることを歓迎する。我々は、世界の一層の安定と繁栄のために、各々、中国との対話を推進する。我々は、1997年の香港の返還が、その経済的繁栄と社会的安定を維持することを目的として、円滑に行われることを期待する。

25.我々は、北朝鮮に対し、NPT再検討・延長会議において達成された合意を遵守するよう求める。我々は、米国と北朝鮮との間の合意された枠組みが、北朝鮮の核問題を解決するための真の展望を開くものであると信じ、この関連で、最近の進展に勇気づけられる。我々は、北朝鮮がIAEAの保障措置制度へのコミットメントを履行し、合意された枠組みの内容を守るよう求める。国際社会の支持は、とりわけ朝鮮エネルギー開発機構(KEDO)への参加を通じて示され得る。更に、我々は、南北対話の進展が朝鮮半島における平和と安全に寄与すると信じる。

26.我々は、カシミールにおける紛争の潜在的可能性を懸念しており、全ての当事者に対し平和的解決を追及するよう求める。この亜大陸における緊張緩和及び信頼醸成に貢献するため、また、世界的な安全保障の枠組みを強化するため、我々は、インドとパキスタンが国際的な軍備管理の規範を支持し、NPTに加入するよう、また、弾道弾の配備に向けた追加的な措置や地域の軍拡競争に拍車をかけ得る他のいかなる措置を慎むよう求める。

27.我々は、ミャンマー政府が、アウン・サン・スー・チー女史及びその他の政治犯を無条件で釈放し、完全かつ早期の民主主義の実現及び国の統一を目指した和解のための対話を行うよう求める。

28.南シナ海は、益々領土紛争の場となりつつある。我々は、全ての当事者に対し、国際的な規範を尊重しつつ平和裡に相違点を解決するよう求める。

米州

29.我々は、民主主義的機構を強化し、テロリズムの脅威を除去し、貧困及び差別を撲滅し、自然環境を保全し、並びに米州自由貿易地域の交渉を実施するマイアミ・サミット「行動計画」を米州諸国が履行するよう奨励する。我々は、メキシコ政府による政治改革及び対話に向けた野心的な措置を支持する。我々は、リオ議定書保証国によるペルーとエクアドルとの間の恒久的和平の達成を助けるための努力を賞賛する。我々は、ハイチにおける経済的及び民主的発展のための国際的な協力を支持するとともに、6月25日に予定されている自由かつ開かれた議会選挙を待望する。


はじめに

 戦後50周年に当たる節目の年に開催された今回のハリファックス・サミットは、創設50周年を迎えた世銀・IMFといったブレントウッズ機関や国連等の国際機関の機能や協力の枠組みが、今後21世紀に向けて国際社会が直面する種々の課題に対応し得るものとなっているかどうかについて検討を行ったなど、非常に意義のあるサミットとなりました。
 また、サミット期間中のボスニア情勢の展開を受けて、急きょ首脳声明を発出したように、世界が直面する問題に対してG7首脳が結束して対処するとの政治的意思を示すことができた点も、評価されます。
 今年のサミットでは、昨年のナポリ・サミットの例を踏襲し、国際政治問題の討議はロシアのエリツィン大統領の参加を得て行われました。
 サミットの具体的な日程は次のとおりです。まず、国際経済問題の議論を、6月15日夜の首脳ワーキング・ディナー、16日午前中の首脳会合、昼の首脳ワーキング・ランチ、午後の全体会合(各国の外務大臣、大蔵大臣等が同席。我が国の場合は通産大臣も出席)で行い、その後経済宣言が発表されました。
 16日夜のワーキング・ディナーからは国際政治問題を中心とした議論が行われ、17日午前の首脳・外相会合、引き続き行われた首脳会合を踏まえて議長声明が発表されました。その後、もう1度行われた首脳ワーキング・ランチをもって、サミットは閉幕しました。
 なお、首脳会合等の開催時には外相は国際政治問題を中心とした議論を、蔵相は国際金融問題を中心とした議論を行うための会合を並行的に開催しました。


主な成果――経済宣言と議長声明に沿って

 ハリファックス・サミットにおける議論の成果は、経済宣言と議長声明に反映されています。以下では、基本的に経済宣言と議長声明に沿って、主な成果を説明します。

(1) 経済面の討議

 経済面では、誕生後半世紀を経た世銀・IMFといったブレトンウッズ機関や国連機関等の見直しが中心議題となり、今後の改革の方向性が打ち出されました。
 世界経済については、G7各国がマクロ経済政策と構造改革を推進することにより、インフレなき持続的経済成長と雇用拡大を図ることの重要性につき改めて確認されました。また、為替に関しては、国際通貨市場の安定のための政策協調の重要性が再確認されました。
 貿易に関しては、多角的自由貿易体制を強化するとの観点から、ウルグァイ・ラウンド合意の完全実施、あらゆる形態の保護主義への反対、十分に機能し尊重される紛争解決制度の確保等について参加首脳のコミットメントが確認されたことは大きな意義があります。また、貿易自由化のモメンタムを維持するとの観点からは、OECDにおける多数国間投資協定交渉の促進や規制制度改革の推進の重要性につき認識の一致を見たことが評価されます。
 それでは、以下で経済宣言に沿ってポイントを説明します。
① 成長と雇用
 今年の経済宣言では、世界経済の現状について、成長は若干鈍化しているものの、世界の多くの国で力強い成長が続いているとの認識を示しています。しかし、G7中の多くの国において失業率が依然として受け入れ難いほど高いとして、失業消滅がG7諸国にとって喫緊の優先課題であるとしています。
 雇用創出のための手段としては、東京サミットで合意した中期的経済戦略(北米は大幅な財政赤字の削減に着手する、欧州においては金利の迅速な低下を促進する、日本では内需主導型の持続的インフレなき成長を確保する)に従ったマクロ政策を採ることに合意するとともに、経済成長・雇用創出のためには労働力の技能を向上させるための措置や労働市場の柔軟性を向上させるための不必要な規制の撤廃等の構造政策も必要であることで認識の一致を見ました。
 なお、この関連では、雇用問題につきG7の担当閣僚間で意見交換を行うために、明年のサミットまでの間にフランスで閣僚会合を開催することになりました。
 為替に関しては、急激な為替市場の変動は持続的なインフレなき成長の達成と国際貿易の継続的な拡大を危うくしかねないとの認識から、「最近の変動は、主要国における基礎的な経済状況によって正当化される水準を超えている……。こうした変動を秩序ある形で反転させることが望ましい……」とした4月末の7か国蔵相・中央銀行総裁会議の結論をG7首脳として支持する旨表明しました。
② 21世紀の課題に応(こた)えて
 今年の中心課題となった国際機関の見直しについての議論をとりまとめたのがこの章です。議論は、メキシコ型金融危機への対応を巡るIMFの対応策と、世銀、国連諸機関を中心とする途上国の貧困・開発問題の2本の柱を中心に行われました。
 昨年末から今年の1月に向けて発生したメキシコの金融危機については、いまだ記憶に新しいことと思います。世界の資本市場の急成長とボーダーレス化は、資金を必要としている新興国にチャンスを提供するとともに、メキシコの例が示すようなリスクも生み出しました。メキシコで発生したような金融危機は、国際的な金融危機を誘発するおそれがあります。そのため、今回のサミットでは、類似の金融危機の再発を防止するためIMFの早期警戒システムを強化することや、危機に直面する国に対する緊急融資の仕組みの創設に合意しました。
 開発分野における議論では、国際機関を通じた支援を一層効果的・効率的なものにするとの観点から、国際機関の役割の明確化や国際機関相互、更には国際機関と2国間援助の供与国との調整の強化の重要性につき見解が一致しました。
 なお、開発の問題の関連では、我が国は、貧困の削減と持続的開発のためには国際機関を通じた支援や2国間の支援が不可欠であり、国際機関の見直しを通じ国際機関の支援の質の向上に努めるのみならず、G7として途上国に対する支援を継続する決意を表明することが重要であると主張してきましたが、その考え方は経済宣言にも盛り込まれました。
③ 環境保護
 今年のサミットでも、例年どおり、環境保護が最優先の課題である点につきG7諸国に認識が一致していることが確認されました。環境問題に関しては、最近気候変動枠組み条約や生物多様性条約といった主な環境関連条約の締結国会合が開催された直後であったこともあり、今回のサミットでは対立点はなく、それら締結国会合の結果を確認するとともに、1992年に行われた地球環境サミットのコミットメントを果たしていくことの重要性が再確認されるにとどまりました。
④ 開かれた市場を通じた機会の創出(貿易)
 貿易の関連では、昨年のサミット以降の動きとして、今年の1月1日に世界貿易機関(WTO)が発足したことが挙げられます。それを受けて、今回のサミットでは、まずWTOを効果的な機関として確立することについてのコミットメントが再確認されました。多角的自由貿易体制の強化の観点からは、ウルグァイ・ラウンド合意を完全に実施すること、あらゆる形態の保護主義に反対すること、WTOの紛争解決制度を尊重すること、が確認されたことも意義があります。
 ウルグァイ・ラウンドの終結で得られた貿易・投資の自由化のモメンタムは、今後とも維持していくことが重要です。そのため、今回のサミットでは、金融サービス分野等のウルグァイ・ラウンドの継続交渉の成功裡(り)の妥結、OECDにおける多数国間投資協定の交渉へのコミットメントを確認し、また、規制緩和や各国の規格・基準の整合化等の規制制度改革が貿易自由化と経済成長にとって特に重要な貢献を行うものであるとの認識が確認されました。
⑤ 移行経済の国々
 中東欧諸国や、ロシアを含む旧ソ連諸国をはじめとする計画経済から市場経済へ体制移行中の諸国に関しては、各国の努力を評価するとともに、今後ともこれら諸国における経済改革や、これらの国が世界の貿易・金融制度に統合されるよう引き続き支援する用意があることを表明しました。
 ウクライナに関しては、昨年のナポリ・サミットでウクライナにおける改革が継続することを条件に「2年間にわたり40億ドル以上の国際的な資金供与」を行う旨約束しました。ウクライナの経済改革は順調に進捗(しんちょく)しており、昨年の約束の大半は既に実施に移されていますが、今年は更に、「強力な経済改革が継続されるとの前提に立って、1996年末までに国際金融機関から更に20億ドルが利用可能となる」との約束をしています。
 また、ロシアに関しては、我が国からチェチェン問題の平和的解決及び政治・経済両面での改革の進展に関するロシアのコミットメントを得ることの重要性を累次にわたり主張した結果、経済宣言に「政治的改革の継続も必要である」との文言が含められることとなりました。
⑥ 原子力の安全
 ウクライナの原子力発電所が大事故を起こしてから既に9年以上が経過しました。G7はウクライナに対してチェルノブイリ原子力発電所を早期に閉鎖するよう働きかけてきており、昨年のナポリ・サミットではチェルノブイリ原子力発電所の閉鎖のための初期作業に関する「行動計画」のため「当初2億ドルを上限とする贈与」を提供する用意がある旨表明しました。
 このようなG7からの働きかけを受け、最近ウクライナのクチマ大統領はチェルノブイリ原子力発電所を2000年までに閉鎖するとの決定を行いました。今年のサミットでは、そのクチマ大統領の決定を祝福するとともに、「行動計画に」基づいてナポリ・サミットで行った支援のコミットメントを再確認する旨表明しました。今後具体的にどのような協力が行われていくかは、ウクライナ側とG7とで協議を行っていくことになります。
⑦ 次回サミット
 来年のサミットはフランスが議長を務める番ですが、ハリファックス・サミットの席上、フランスのシラク大統領より1996年6月27日から29日まで、リヨンでサミットを開催したいとの発言があり、来年のサミットはフランス第二の都市リヨンで行われることとなりました。

 (2) 政治面の討議

 今回のサミットにおいてはG7の首脳及び外相での協議に続き、サミット2日目の夜のワーキング・ディナーよりロシアを交え、政治問題が協議され、その結果が議長声明として発表されました。
 今回のサミットでは、第2次大戦後50周年及び国連創設50周年という節目を迎え、世界が直面する重要な政治問題に対する国際社会の協調の在り方がいかにあるべきかとの問題意識の下に議論が行われました。これにより、旧ユーゴー問題等の地域紛争の解決のための協力、国連等の強化・効率化、不拡散・軍備管理体制の強化、テロ問題への取組強化等につきサミット参加国が一致した立場、姿勢を示すことができたことは、非常に有益であったと言えます。
 今回のサミットにおける政治面での主要問題についての議論の概要及び成果は次のとおりです。
① 旧ユーゴー問題
 旧ユーゴーにおける紛争当事者間の戦闘の継続、ボスニア・セルビア人による国連要員の拘束等、旧ユーゴー情勢の緊張を背景に本問題の議論に多くの時間が費やされました。特に、サミット初日にはサラエヴォにおける戦闘激化の危険性の高まりを背景として、急遽(きょ)、全紛争当事者に対し、最大限の自制、交渉の再開を呼びかけるG7の声明が発表されました。
 また、ロシアを交えた協議を踏まえて発出された議長声明においても、サミット参加国首脳は一致して、国連要員の拘束への非難、国連安保理で決定された国連保護隊(UNPROFOR)の強化を支持するとともに、改めて紛争の全当事者に対しコンタクト・グループの和平案受入れを中心とする平和的解決を強く呼びかけました。
② 国連・紛争管理
 国連創設50周年を受け、国際社会の平和と安定の要たる国連の効率化、強化のための措置への支持が確認されました。その中で、我が国からは、国連の改革、機能強化のためには、安保理、財政、経済社会の3分野での改革が重要である旨述べた上で、安保理改革については正当性、実効性強化の必要性を訴えました。
③ 不拡散、軍備管理・軍縮
 大量破壊兵器の不拡散については、5月のNPT再検討・延長会議におけるNPTの無期限延長の決定及び「核不拡散及び核軍縮のための原則と目標」と「再検討プロセスの強化」に関する決定の採択を受け、これらの決定を歓迎するとともに、STARTⅡの早期批准、全面核実験禁止条約(CTBT)とカット・オフ条約の早期成立の必要性が確認されました。我が国は、核実験が停止されるべきことを主張するとともに、核軍縮の推進の重要性を訴えました。
 また、通常兵器についても、我が国は、対人地雷問題の規制を含む通常兵器の過剰な移転の抑制の重要性を主張し、この問題についての言及が議長声明に盛り込まれました。
④ アジア太平洋
 アジア太平洋地域に対するサミット参加国首脳による高い関心を受け、河野外務大臣より同地域の全般的な状況につき包括的な説明を行いました。その上で、アジア太平洋地域を全般、中国、朝鮮半島情勢等が議論されました。中でも、北朝鮮の核兵器開発問題については、議長声明において米朝間で合意された枠組みが問題解決の真の展望を開くものである旨が明記されるとともに、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)に対する国際社会の支持が確認されました。
⑤ テロ問題
 従来の国家支持テロと並び、米国におけるオクラホマの爆破事件、我が国のサリン事件を受け、あらゆる形態のテロを打破する決意が確認されるとともに、テロ対策における協力を強化し、その一環としてテロ対策のための閣僚級会合を開催することが決定されました。その中で、我が国は、村山総理より、サリン事件の概要につき説明するとともに、あらゆるテロに対し断固たる姿勢で臨むべきであり、更なる協力を進展させるため関係国間で意見・情報交換を行っていくべきである旨訴えました。
⑥ 中東
 中東和平については、イスラエル・シリア間の交渉をはじめとする中東和平交渉の進展等を中心に議論が行われました。また、イランについて、テロ支援、核兵器開発に寄与し得る強力に関する懸念が表明されました。
⑦ ロシア
 ロシアについては、チェチェン問題の平和的解決、ロシアの改革等について意見交換が行われました。前述のとおり、ロシアにおける政治・経済両面での改革の継続の必要性につき経済宣言に明記されました。また、チェチェン問題については、平和的に解決されるべきことを再確認しました。
 日露関係については、村山総理より、戦後50周年の機会に過去の遺産を克服して将来に向けて協力関係を発展させることが重要となっているとの観点から、日露2国間関係を完全に正常化することが必要であり、両国は東京宣言、法と正義の原点に基づいて互いに努力を継続していくことが重要であることを指摘しました。


おわりに

 これまで述べてきたように、今回のハリファックス・サミットでは、実質的に多くの成果を上げることができました。しかし、こうしたサミットの成果を真に有意義なものとしていくためには、サミットでの合意を着実にフォローアップしていくことが極めて重要です。
 今回のサミットのフォローアップとしては、来年のサミットまでの間に、雇用問題に関する閣僚会合、テロ対策のための閣僚会合、国際犯罪に関する専門家会合が開催されることが予定されており、また原子力安全に関する首脳会合もモスクワで開催されることになると思われます。我が国としては、これらの会合をはじめとして、種々のフォローアップ作業に積極的に取り組んでいくこととしています。


(外務省)


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