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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書

III. 実施ハイライト

 本章は、G8メンバーがG8森林行動プログラム中の特定の側面を促進するための努力に関して、各メンバーが提供したハイライトについて述べている。これらのハイライトは全体として、この行動プログラムを支援し、協調的、国際的、国内的に行われている様々な活動の範囲を明らかにしている。G8メンバーの活動の詳細については付属文書Aに記載の個別報告書を参照されたい。

 G8メンバー全体を合わせると世界の森林面積の40%近くを占め(注:国連食糧農業機関(FAO)「世界の森林の現況1999」表2)、森林に関する二国間援助の大半を占めている。しかし、G8メンバーは、それぞれの森林生態系の規模と特質、土地所有形態、管理、法制度、援助や国際協力の条件に関して、きわめて多様であることを認識することも重要である。欧州連合(EU)の執行機関としての欧州委員会(EC)は、ヨーロッパ内外の主要な森林政策プロセスに次第に大きく関わるようになりつつある。

 以下に記載されている諸活動は、こうしたG8内の多様性を反映している。

A. モニタリングと評価

 G8メンバーは、国内や世界の多くの地域において、森林の現況に関するよりよい情報を開発し、森林の状況をモニターし評価するために実質的な努力を行なってきた。カナダ、日本、ロシア、アメリカは、持続可能な森林経営のための基準・指標に関する12ヶ国から成るモントリオール・プロセスのメンバーである。一方、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、イギリスと欧州委員会は、持続可能な森林経営の基準・指標に関する汎欧州プロセスに積極的に参加している。

 1998年と1999年に、ロシアとアメリカは、温帯林等の保全と持続可能な経営のための基準・指標に関するモントリオール・プロセス作業グループ第10回、第11回会合をそれぞれ主催している。これらの会合はモスクワとサウス・カロライナ州のチャールストンで行なわれ、実施努力を進めるため、各国から政府、国際機関、非政府組織、他の基準・指標プロセスの代表、学者、さまざまな国内利害関係者が参集した。1998年に各国は、基準・指標を制度化するための作業がどれだけ進展しているかを報告した。1999年の会議では、各国は特に国連食糧農業機関(FAO)に対し、関心を有する政府とともに、既存のいくつかの基準・指標に関するイニシアティブ間での比較性を向上させる手法を探るために国際会議を共催するよう要請した。1999年にはまたモントリオール・プロセス連絡事務所となっているカナダが汎欧州プロセスとともに経験を共有し、基準・指標のさらなる開発、データ収集や報告、その他相互に関心のある事項について話し合うための会議を主催した。

 1998年にはリスボンで第3回欧州森林保護閣僚会議が開かれ、欧州の森林の持続可能性をモニターし評価するための一般的な基準・指標のみならず、実施レベルにおける持続可能な森林経営のための汎欧州ガイドラインを採択した。1999年10月、汎欧州プロセスは持続可能な森林経営のための地域の基準・指標の見直しと、これをヨーロッパ地域内での国家森林資源調査や経営計画に使用するための改良を含む詳細な作業計画に合意した。さらに、欧州委員会は、各国の資源調査の比較をしやすくしたり、コミュニティー・フォレストリーの取組やプログラムのデータ・ベース化という作業に取り組んでいる。

 関連した分野では、G8は、資源調査、評価、モニタリング、管理の手段として、また、火災など森林に関連する脅威や災害を発見し対応するための手段として、リモートセンシングのさらなる利用を検討する共同イニシャティヴに関する作業を開始した。現在、国内で、及び他国や国際機関などとの協力で進められている既存のG8のリモート・センシングに関する活動のインベントリー作成作業が進められている。

 1998年の山火事の大災害が森林に及ぼした悲惨な影響や、世界の環境や地域の安定にもたらした脅威を認識し、G8メンバーは東南アジアや中南米のパートナー諸国との協力活動を強化・拡大した。例えば1998年12月、日本の国際協力事業団(JICA)、国際熱帯材機関(ITTO)およびインドネシア政府は、東南アジア森林火災管理フォーラムを共催した。同フォーラムは、情報交換を行い、それまで実施されてきた森林火災管理への取組を整理するとともに、森林火災に対処するための今後の効果的な対策の実施に貢献することを目的としており、17ヶ国、8国際機関から200人を超える専門家が出席した。さらに、1999年初頭、カナダはメキシコの新しい森林火災情報システムを開発、実施するためにメキシコと緊密な協力を行なった。そのシステムは、毎日火災気象と火災危険地図を作成するため、世界気象機構(WMO)を通じて気象データを入手し、それをカナダ森林火災危険度測定システムを通じて処理する。

 G8の各メンバーは国内の森林の状態をよりよくモニターし評価するため、相当な努力を払ってきた。1999年に、日本は、森林の状態と変化の動向を全国で統一した手法に基づき把握・評価する森林継続調査(CFI)を新たに全国で開始した。CFIはモントリオール・プロセスの基準や指標との互換性を念頭におき、生物多様性、生産力、健全性、水資源の保全、および地球的炭素循環といった持続可能な森林経営の多面的な視点を取り入れている。

 ロシアの連邦森林局は、森林現況評価のための新しいガイドラインを採択した。このガイドラインは、森林法と一致する均一の手続きを導入しており、連邦と地方の両レベルで国家森林政策の調整を図る基礎を提供している。1998年に森林現況評価は森林資源の多元的評価を通じて行われた。1993-98年の5年間と1988-93年の5年間のデータを比較すればロシアの森林の基本的な特徴(例えば、森林面積の増大、稚幼樹中の針葉樹の占める割合の増加、人工林が林地とみなされるようになるまでの期間の短さ)が全般に改善されていることが分かるが、地域の森林経営が直面している深刻な問題もまた明らかになっている。

 ドイツも自国の森林とそのさまざまな機能について幅広い調査を行なっている。森林面積、樹種別分布、蓄積量、林分構成、開発などに関する基礎情報を集めた1987年の第1回連邦森林現況調査に続いて、持続可能な森林経営の汎欧州基準・指標を考慮に入れ、2002年に第2回連邦森林現況調査が予定されており、これによって樹木の成長量、伐採、生態系要素に関する追加的な情報が得られることが期待されている。

 1998年にイギリスは、持続可能性の原則をどのようにして実行に移すかを示す林業規範とともに、持続可能性を国レベルないしは森林管理単位のレベルで評価するための基準・指標を発表した。イギリス政府はこれらの基準に照らして経営管理の状況をモニターすることとしており、このことは規範自体や、関連する政策、規則、奨励策、ガイダンスなどの開発や改良によい影響をもたらすであろう。

 1998年には、アメリカでも森林のモニタリング・評価を全国的に改善するための主要な一歩として、森林局長官が“持続可能な森林に関する円卓会議"を立ち上げた。これは連邦、州、地方政府、NGO、学界、産業界、森林所有者の代表を一堂に集めたユニークな官・民のイニシアチブで、1千万人の民間人が所有する森林面積1億8千万ヘクタールを含む3億ヘクタールに及ぶ国内の森林においてモントリオール・プロセスの基準・指標の実践を促進しようとするものである。この円卓会議は2000年中にいくつかのワークショップを開き、七つの各基準とその指標に関するデータ収集を取り扱うこととなっている。

B. 国家森林プログラム

 1997年に森林に関する政府間パネル(IPF)によって定義された国家森林プログラムは、各国の自然状況に応じた持続可能な森林経営を達成するための幅広いアプローチを包含している。それぞれの国に向けられた多くのIPF行動提案の実施を促進するため、また、国家森林プログラムについて経験を得るため、ドイツとイギリスは他の先進国および開発途上国数ヶ国と協力してIPF行動提案を国家レベルで実行に移すために、1998年に6ヶ国イニシアティブを共催した。このイニシアティブは、IPF行動提案を実際に各国の現実に照らして評価する一連のケース・スタディを行なおうというものであった。

 G8メンバーの中の数ヶ国はブラジル熱帯雨林パイロット・プログラム(PPG7)支援を積極的に継続している。このプログラムは、1990年のヒューストン経済サミットでG7のイニシアチブによって始められたものであった。ドイツとEUは依然として主要なドナーである。また、フランス、日本、イギリス、アメリカもこれに貢献している。

 フランス、ドイツ、イギリスもまた、多様なパートナー諸国における持続可能な森林経営を推進するため、UNDPの森林計画(PROFOR)を通じて協力している。また、イタリアや日本は、同様の目的に向かってFAOと積極的に活動している。FAO-イタリア協力プログラムには、地中海、北アフリカ、近東における多くのプロジェクトが含まれており、その目的は、経済的効率性や参加・統合型のアプローチをはじめ、森林などの天然資源管理活動間の相互補完性を促進し、実証することにある。日本は、FAOおよび国際モデル森林ネットワーク事務局の協賛で、特にアジア地域に焦点を当てた持続可能な森林経営の現場レベルでの実践とモデル森林の推進に関する一連の国際ワークショップを2000年まで開催している。

 G8メンバーは国家森林プログラムを支援するため、パートナー諸国との二国間活動を強化したり新たに開始したりした。例えば、ドイツは、森林分野でパートナー諸国と開発協力に関する決定のための基準として、国家森林プログラムを位置づけてきた。この意味では、ドイツの技術協力戦略は、開発協力機関とそのパートナーがIPF行動提案を実践し、国家森林プログラムを開発するよう支援することを目的として作成されている。

 カナダの開発援助は、アジア、アフリカおよび南北アメリカ地域で続けられており、国家森林プログラムとコミュニティー・フォレストリーに焦点があてられている。カナダのいろいろなグループや被援助国の官・民セクターの各種団体との連携の下、カナダ国際開発庁と国際開発研究所によりこうした援助が実施されている。

 1990年代、フランスは、森林や放牧地を含む天然資源の経営管理を改善することに重点を置く環境および持続可能な開発協力プロジェクトのために、地中海およびアフリカのパートナー数カ国に対するその支援の内容を一層充実させた。

 1998年にはアメリカのクリントン大統領が熱帯諸国の森林保全措置と引換えに、アメリカへの公的債務減額を承認するという熱帯林保全法(TFCA)に署名し、パートナー諸国を援助する新たなイニシアティブを打ち出した。この法律は、革新的な1992年の南北アメリカ事業イニシアチブをさらに拡張するものであり、これまでに10億ドル近い公的債務を棒引きにし、子供の生存と環境プロジェクトのために相当の現地通貨を生み出している。

 欧州委員会は、欧州内外の森林の重要性がますます増大しつつあることを認識し、欧州連合(EU)の森林戦略も含め、近年森林の経営、保全、国家森林プログラムに関連するいくつかの基本的な政策文書を発表した。さらに、農村地域開発支援に関する理事会規定は林業施策のための資金援助について定めており、国家および地方の森林プログラムの有無や条項と関連付けられている。欧州委員会は多くの開発援助プロジェクトを支援しており、その目的はパートナー諸国における国家森林プログラム策定能力開発にある。

 国内的な面では、G8メンバーは、これまでも国家森林プログラムを改善するためにいろいろな方策を講じてきた。委員会21に関していえば、フランスは方向性と近代化に関する林業法という新しい林業法を制定することによって、持続可能な森林経営を推進することを最高レベルでコミットした。

 カナダは、森林の保全と利用に関する生態的、経済的、社会的、文化的側面を包括する新しい5ヶ年戦略計画を採択することによって、あらためて持続可能な森林経営への決意を新たにした。持続可能な森林:カナダのコミットメントと題する国家森林戦略(1998-2003)は、森林と森林経営者に寄せられる期待の範囲を調和させる集合的試みである。

 1998年10月、日本は森林法等の改正を行い、幅広い国民の意見を反映させるため、県、市町村レベルの森林計画案を縦覧に供する制度を導入したほか、市町村レベルでの森林計画制度を拡充した。

 ドイツは、森林の長期にわたる機能を保存し改良するために、6ヶ国イニシアティブを通じて得られた経験を基に、州、NGO、および他の関連パートナー国とも緊密に協力して、自国の国家森林プログラムを策定するプロセスを開始した。その結果は2000年後半に明らかにされることが期待されている。

 ロシアでは、森林火災が重大な経済的損失および環境破壊という深刻な問題を引き起こしており、連邦政府は、その国家森林プログラムを通じて火災対策を講じ始め、1999年1月、森林火災に取り組むための緊急活動や目標の要点を明らかにした連邦目標プログラム:森林火災管理1999-2005を承認した。森林火災管理のためプログラムを実施し、適切な投資を行なえば、人為的な森林火災の発生数や地域、およびこれに伴う経済的損失を削減することができると期待されている。また、森林内の生物多様性を保ち、森林生態系が持つ環境や資源の潜在力を高め、炭素バランスの維持を改善し、ロシア連邦の持続可能な開発というコンセプトの目指す目標にもやがては到達するものと期待されている。

C. 保護地域

 G8メンバーは、森林保護が持続可能な森林経営にとって重要な要素の一つであると考えており、森林保護を促進するための国内外での活動に携わっている。例えば、森林保護やその達成に関する合意形成の必要性を認識し、アメリカとブラジルは、1999年3月、プエルト・リコのサン・ファンにおいて、IFF貢献活動として森林保護地域に関する専門家会合を共催した。フランス、イギリス等各国、国際機関もこの会議の組織委員会メンバーとして協力し、この国際会議には70の国、環境団体、先住民グループ、研究機関や大学などから130人の専門家たちが集った。

 フランス、ドイツ、イタリア、イギリス並びに欧州共同体は、森林生態系における生物学的、国土的多様性の保全および促進に関する汎欧州事業計画の下で協力している。これは、ヨーロッパの全ての森林タイプの保護を目標としており、天然林や保護林に関するプログラム並びに森林の生物多様性に関するEC研究プログラムによって補完されている。欧州共同体は、2004年までに多数の林地を含む、代表的な保護地域の欧州ネットワークを開発するため、ナチュラ2000計画も発足させた。

 上記の努力を補足するものとして、イタリアの開発協力機関は、ペルーやボリビアのアマゾン域の国境線にまたがる保護生態系の持続可能な管理に向けた支援や、南アフリカ地域内の隣接する国立公園において生物学的、経済的回廊を開き、各国の基準や、関連する法則、経営の方法を調整し、隣接国による国境を越えた協力の醸成といった越境協力活動に積極的に取り組んでいる。

 1999年 ロシアとリトアニアは、ロシアのクロニアン・スピット国立公園とリトアニアのクルシュ・ネリジャ国立公園を世界遺産の一覧表に登録するようユネスコに申請しており、現在検討されているところである。ロシアは、フィンランドとも両国国境地帯のロシアのパナヤビ、フィンランドのアウランカ国立公園境界地に国境公園を共同で建設中である。

 ドイツでは、商業目的の利用から完全に除外された83,000ヘクタールを含め、森林の65%が何らかの特別保護下にある。イギリスでは、政府が国内の保護地域の設立や経営の仕組みに関する見直しを開始した。

 森林の公益的機能を確保するために、日本は、1998年12月に「国有林野の管理経営に関する基本計画」を策定し、個々の国有林野を重点的に発揮させるべき機能によって類型化し、「水土保全林」、「森林と人との共生林」、「資源の循環利用林」の3区分に再編した。また、「水土保全林」と「森林と人との共生林」を合わせた「公益林」の面積を国有林野全体の5割から8割へ拡充した。特に保護を図るべき森林については、森林生態系保護地域等の保護林として設定し、1999年4月現在、812箇所、約514千ヘクタールで、原生的な天然林や貴重な動植物の生息・生育地等である森林の保護・管理を行っているところである。

 1999年10月、アメリカのクリントン大統領は、研究地域の提供、貴重な魚や野生動物の生息地の保護、侵入種からの防護等を目的とし、新たに1,800万ヘクタールの国有林を商業目的の利用から保護する計画を発表した。保護すべき森林を特定するため、1年間の再調査を行い、世論を醸成し、環境影響報告書を作成することとしている。

D. 民間セクター

 G8メンバーは、持続可能な森林経営を推進するために、非政府の関与とともに、活動を展開してきた。例えば、フランスは、具体的にどのようにすれば熱帯雨林を持続的に経営することができるかを実証するため、カメルーンのディマコ地域において官・民の利害関係者が協力して行う統合的な熱帯雨林の持続可能な経営のパイロット・プロジェクトを開始した。

 1999年7月、小渕恵三総理は訪中した際、中国国内において植林緑化事業を進めている中国の民間団体等に対して日本の民間団体等が行う協力事業を資金面で支援するための基金(通称「小渕基金」)を設置することを発表した。

 イタリアの開発協力機関が、ブラジルの2州ロンドニアとアクレのアマゾン川流域において展開しているアグロ・フォレストリーのプロジェクトは、これら2州の小規模生産者団体(主にコロノスとセリンゲイロス)が新たな経済収入の方法を見出す手助けをすることを目的としている。この新たな収入源は、野生放牧や鉱業が広域の森林減少をもたらし、生物圏や気候のバランスにとってかけがえのない天然資源をあたり構わず略奪し開発する傾向を正すことを目的としている。

 米国国際開発庁(USAID)と商務省は、持続可能な林業イニシアティブの下で、全米林産物・製紙業協会と協力し、1999年ハリケーン「ミッチ」により大打撃を受けた中米地域を復旧することとした。この活動には、ホンジュラスのグアナハ島における、長期的な持続可能な森林経営に必要なインフラを整備するためのパイロット・プログラムも含まれている。

 欧州共同体は、共同体加盟国資金援助システムと補い合う、森林の経営と保全のための資金援助を行なっている。ECの貢献は、植林、既存の森林の改善、災害後の再植林、林道、林産物のマーケティング及び加工、小規模経営者組合の育成など様々な活動に及んでいる。ECは、会議開催や出版物の委託、熱帯パートナー諸国における森林認証関連プロジェクトの支援を通じ、自主的かつ市場主導型のひとつの手段として、また助成金を通して潜在的で融通性のある森林政策の手段として、森林認証を支持してきた。

 1999年6月、イギリスの森林認証企画(UKWAS)は、イギリス国内における森林経営の独自の認証のための自発的な計画として打ち出された。この計画は、持続可能な経営が行われている森林から生産された木材製品への需要の高まりを受け、林業、環境、社会団体の幅広いパートナーシップにより開発された。UKWASは、国家レベルでの林業達成度基準に関する初めての合意である。UKWASは全てのセクターと関係者の代表からなる運営委員会によって運営されている。イギリスでは全森林面積250万ヘクタールのうちの100万ヘクタール近い森林がUKWAS規格で認証されている。

 アメリカは、国内外を問わず官・民のパートナーシップが持続可能な森林経営の強力な手段であると考えている。例えば、アメリカ政府は、フォード社や世界自然保護基金アメリカ支部を中心とした環境保護団体グループとともに、1999年5月に発行された森林を含む北米陸生生態地域保全評価の作成を行なった。1998年には、エネルギー省と全米林産物・製紙業協会は、共同でアメリカ全土で持続可能な林業の実践を促進する技術ビジョン研究アジェンダ2020を拡充している。

E. 違法伐採

 G8メンバーは、政府やその他の森林所有者から重要な収入を奪い、持続可能な森林経営の阻害要因となる、違法伐採された木材の状況を評価するため、パートナー諸国との協力関係を強化した。例えば、1999年イギリスは、インドネシアにおけるこの件ついて重要なレビュー、収益に溺れて:インドネシアにおける企業と地域的森林資源の配分と森林の持続可能性と政策への関係とを終了し、政府と市民社会団体によって問題点の対策が検討されている。同年イギリスは、他のパートナー諸国に対し違法伐採に対処するための基金を提供し、さらに今後3年間にわたり、カンボジアにおける林業犯罪報告プロジェクト、およびグローバル・フォレスト・ウォッチの活動に対し支援していくとしている。

 アメリカは、1999年6月にカンボジアのプノンペンで世界銀行が主催した「森林法施行」シンポジウムの結果や政府や、NGOによるその他の進行中の活動を受けて、東南アジアで地域会議を開催することにコミットした。アメリカは、目下、政府、国際機関、NGOとともに会議の日時、場所、内容などについて協議中である。

 日本は、木材貿易の経済情報と市場透明性の改善のため様々な活動に対し資金的貢献を行なってきた。例えば日本はITTOを通じて、木材統計情報の整備、統計処理機能の向上を目的とし、人材育成や体制整備を図るための加盟生産国のプロジェクトに拠出している。また、日本は、木材貿易や生産に関する国際的な統計情報機能の強化を図るために関係国際機関が協力して取り組む活動に拠出している。

 ECは、その森林に関する開発政策文書に記されているように、無秩序な伐採を行っている多国間企業の問題に対処するため、世界共通の規則を支持している。ECは、解決に時間を要しいつまでも続く違法伐採の問題に取組むために、プロジェクトへの拠出するとともに、ECの注目することとなった特定のケースでは、パートナー国政府へのアプローチも行っている。

 イタリアの開発協力機関は、森林資源と保護地域の計画的な運営のため、森林の巡視・監督と地域社会の参加の強化や、森林資源の合法的利用体制の確立に向けた経済面、行政面からの動機付けを提供することにより、違法狩猟・違法伐採対策イニシアティブを含む統合プログラムに積極的に携わっている。このプログラムでは、エコツーリズム、文化ツーリズム等環境と両立した森林利用形態の開発に重点を置いている。

 イギリス国内では、伐採は、許可制度、経営計画、樹木保存令、法令に基づく開発管理によって規制されている。伐採の申請は、市民が違法伐採を告発することができるよう、承認が与えられる前に全て公開登録される仕組みとなっている。

IV. 結語



目次

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