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G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書付属文書A
報告書個別報告書
カナダI. はじめに
カナダは自然の資源および国土の半分にも及ぶ広大な森林に恵まれている。我々の森林は、我々の受け継がれてきた遺産と国家的アイデンティティーの一部である。カナダ人は森林を、持続し次世代へ引き継ぐべき遺産として受け継いだものと考え、これらの生命を支える生態系は、幅広い、精神的なものから物質的なものまで、環境的、経済的、社会的、文化的な恩恵を与えるものであることを認識している。
以下の概観は、G8森林行動プログラムに沿った持続可能な森林経営に関するカナダにおける活動の幾つかを詳述する。
II. モニタリング
カナダの森林に関するデータ
1990年、カナダ森林大臣会議(CCFM)は、あらゆる期間の活動のレベルを数量的に説明し、活動の変化を記録し、資源自体の変化を決定する目的で、国家森林データベース・プログラム(NFDP)を立ち上げた。以降、森林経営の財政的側面が、虫害抑制製品の使用に関する情報とともに付加された。しかし、このデータベースを森林の非木材価値にまで拡大することは、依然困難である。
他の活動であるカナダ森林占有データ・インフラ(CGDI)は、林業関連の情報交換を促進するものである。これは、政策形成、意志決定、及び経済活動を支援するため、森林の土地に占める割合に関するデータ、情報保有及びサービスへの時を得たアクセスを促進することを目的とした、連邦政府、州、準州、民間セクターおよび学術界の協調が原動力となる。
基準と指標(C&I)
1年間の協議を経て1995年に、CCFMは持続可能な森林経営のための国家C&Iの枠組みを採択した。基準とはカナダが持続しようとする森林価値を示し、指標により持続可能な森林経営への同国の進展を監視する。
その実施はすでに開始しており、カナダが持続しようとしている森林価値を計る同国の能力を詳述した報告書は、http://www.nrcan.gc.ca/cfs/proj/ppiab/ciに掲載されている。さらに、CCFMは、2000年に、49の主要指標により持続可能な森林経営に関して報告を行うために、データーおよび情報収集を行う計画を承認した。
リモートセンシング
カナダは、森林構成に関する詳細かつ有益な画像を作成するコンピューター・ソフトウェアおよび航空リモートセンシングの、経費が少なくすむ組み合わせを開発した。この新システムは、樹木を品種および他の顕著な特徴により、自動的に分類し、森林経営者がより迅速かつ正確な目録を作成し、伐採可能な地域を特定し、保護または再生の必要な地域を発見することを可能にする。
カナダの森林の持続可能な開発を宇宙から監視するために、あらたな事業である持続可能な森林開発のための地球監視(EOSD)が実施準備中である。カナダ森林局およびカナダ宇宙局の連邦政府2機関が州および準州と協力して、この10年間の事業に取り組んでいる。同事業は、宇宙に設置された技術を活用して、カナダの持続可能な森林開発監視および京都議定書の森林情報の必要性を満たすカナダの優先分野および国際的コミットメントを支援する。時間を経た森林構成、分布、構造および機能の状況および主な変化が数値で示される。リモートセンシングによる観測は、新たな3段階の国家森林目録の構成要素を成す。その成果及びデータは高度情報装置を通じて広く公表される予定。
カナダはさらに、森林の土地に占める割合に関する情報をインターネットで公開する国家事業であるジオコネクション、および情報ハイウェイの地理的情報分野であるカナダの森林の土地に占める割合に関するデータ・インフラを立ち上げた。
地球規模の災害
毎年、樹冠火災が世界で火災により失われた森林の大半の原因となっている。CFSは樹冠火災(炎が樹木の頂点から頂点へ急速に延焼し、短時間に広範な面積を焼き尽くす、きわめて破壊的な火災)の動きに関する国際的な新たな調査に参加した。樹冠火災の詳細な、実地テストで検証した物理的モデルを産出したこの調査は、この種の火災がどのように発火、延焼するかについての情報を提供するものである。
この樹冠火災モデルは、カナダで開発した火災監視システムと共に、カナダの先端森林火災管理における世界的な先駆的革新国としての地位を確立した。カナダの科学者が開発したこのシステムは、75年間の火災科学の頂点を示すものである。このシステムは、火災管理者の森林火災の危険性および延焼に関する評価を助け、また管理者に対して、必要な撒水装置の数や初動消火班の配置場所等の消火作業の効率的方法を示すことができるコンピュータープログラムが含まれる。1980年台、カナダ森林火災危険評価システムは、ニュージーランドおよびアラスカで利用するために各地域に適合するよう調整された際、国際的な認識を得た。さらに最近、カナダ未開地火災情報システム(CWFIS)がB.C.、アルバータ、サスカチェワン、東南アジア、フロリダおよびメキシコで使用のため、各地域向けに調整され、他の州および国家はその採用を前向きに検討している。
1998年にカナダは、米国国務省主催の、地球規模の災害情報ネットワーク(GDIN)の計画に関する協議において積極的な役割を果たした。GDINは、かつてはCFS主導の、G-7情報化社会、地球規模の緊急事態管理情報網イニシアチブの発展型である。
III. 国家森林プログラム
カナダ国家森林戦略
新たな5カ年国家森林戦略は1998年5月に採択された。同戦略は、新千年紀にむけてのカナダの森林界の政策および行動の指針となる枠組みとなっており、31の目標及び121の行動へのコミットメントを盛り込んだ9項目の戦略的指針を示している。戦略的指針は以下のとおり。
- 森林生態系:複数の価値
- 森林経営:行動管理
- 一般参加:多数の声
- 林業:世界の競争者
- 森林科学および技術管理:チームとしてのアプローチ
- 地域社会および労働力:変化とともに生活すること
- 先住民:関係の問題
- 民間所有の植林地:拡大する機会、および
- 地球規模の視点:国際舞台でのカナダ
戦略行動計画実施状況に関する報告書は、2000年4月には完成。
気候変動
カナダ森林局(CFS)は、気候変動を、同国が現在および今後の国際的報告義務を満たす一助となる科学技術研究に関する優先分野と位置付けている。科学者、科学管理者から成る気候変動タスクグループは、具体策が策定された二つの重点研究の必要性を指摘した。
i) 森林の地球規模循環および気候変動がカナダ森林生態系に及ぼす影響に関する知識および予知、計測能力の向上。 ii) 調整および緩和オプションと戦略。 同時に、長期研究のすべてが継続している。これは実地における実験および計測、モデル作成活動、および環境変化への遺伝的要素の感度に関する研究を含む。
国際的レベルにおいては、CFS気候変動科学者は、国際森林研究団体連合(IUFRO)および国際地理領域生物領域計画(IGBP)等の科学機関を支援する努力を追求している。CFSはさらに、2000年5月にエドモントンで、世界炭素予算における北方森林および林業の役割に関する国際会議を開催する。
モデル森林
カナダにおいては、大半の主要森林生態地方において11の実動森林網が存在する。規模は10万ヘクタールから150万ヘクタールの範囲で、合計で850万ヘクタール以上におよび、それぞれの森林地域の独自の社会的、生態的および経済的条件の範囲内において、共有される持続可能な森林経営の目標に向けて共に取り組むパートナーに基づき運営している。ネットワークレベルにおける協調の一例としては、各地それぞれにおいて重要でカナダの国家基準および指標の枠組みに合致した、各現場における指標の開発である。さらには、先住民主導のモデル森林が1998年に設立され、ネットワ-ク全体の取り組みにより、他の10森林における先住民の関与の度合いが増加した。
政府開発援助
カナダは、カナダ国際開発庁(CIDA)および国際開発研究所(IDRC)を通じて、開発途上国および経済移行期にある国に対して援助を行っている。二国間林業開発援助は要請に応じて提供し、一般的に国家森林プログラムが存在する場合はその枠組み内において実施される。こういった活動は、アジア、アフリカ、北南米、中東欧において120事業をカバーしている。これらの取り組みやその他の取り組みへの資金援助は年間5千万ドルに及び、多国間機関およびイニシアチブへのコミットメントが含まれる。国際的森林問題および熱帯地域における持続可能な森林経営への一般社会および政治的関心が増大していることは、開発途上国への技術移転および資金援助の増大につながるであろう。
国際面におけるカナダの一つの主要な活動は南アフリカで1991年に6カ年間の総予算1,180万ドルで立ち上げられた、南アフリカ開発共同体 (SADC)樹木種子センタ-事業である。同事業継続のために、追加財政支出が行われている。
森林に関する政府間フォーラム(IFF)
アジェンダ21の実施に関する第19回国連特別総会によりマンデートを与えられたIFFは、その活動を3つの分野に焦点を当てており、うち1つが将来のあらゆる種類の森林に関する国際的取決め及びメカニズムに関して扱うものであった。(カテゴリーIII)
例えば全ての種類の森林に関する法的文書等の、将来の国際的取決め及びメカニズムの考え得る内容を特定し、コンセンサスに向けて取り組むというIFFのマンデートを支援するため、コスタリカおよびカナダは、技術的議論を促進する目的で中立で透明、参加的で代表的なフォーラムを提供するためにパートナーシップを結んだ。21の国および国際機関がこのイニシアチブに対して資金面その他の面における貢献をし、世界各地で地域会議を開催することを可能にした。
政府、政府間機関、非政府組織(NGO)、先住民、女性組織、および民間セクターに参加資格が与えられた。出席者が地理的均衡の取れた形で代表し、討議される問題に関する意見の範囲が均衡の取れたものとなるよう、留意がなされた。
IV. 保護地域
約8,300万ヘクタールがカナダにおいては保護されており、うち約3,200万ヘクタールが森林である。カナダ国内の森林のうち木材生産のために管理されているのは半分にも満たない。その他は開かれているか、立ち入りができないと考えられている。
1995年に, 1992年の国家森林戦略に関する進展の評価は、保護地域網完成への進展が予想より遅れていることを指摘し、この目標が最優先事項であると位置付けた。1998年に承認されたカナダの新国家森林戦略における保護地区へのコミットメントを再度言及したことは、この優先順位を反映したものである。
1998年にG-8森林行動プログラムはメンバー国に対して、国際自然保護連合(IUCN)保護地域管理分野および他の分類方法により、保護地域に関するコンセンサスを達成することを求めている。同プログラムはさらに、メンバー国が現行の保護地域網の枠内では十分に反映されていない重要な森林の種類を特定するよう提案している。
国内外に保護森林地域への相当程度の関心が引き続き存在するが、カナダは、責任の重複や政府の異なるレベル間の調整以外にも多様な問題に直面している。例えば、保全計画への全国統一の原則がなく、「代表」という用語の定義が正式に確定しておらず、保護地域には数百もの異なるカテゴリーが存在することなどである。さらにカナダは、保護地域に係わる生物多様性に関するデータ収集および報告を総合的に行う国家的枠組みを、現時点では保有していない。
州および準州は、各自の状況にしたがって保護地域の確定への行動を起こす傾向があり、その決定は生物多様性よりもむしろ、地理的事情に基づいて行う場合が多い。ノバスコシア、オンタリオ、ブリティッシュコロンビア等の州のように近年、代表的地域保護へ向けて大きな進展を遂げた州もある。他の州および準州は、公的分野と産業との利害対立を調停するため大規模な協議を行っている。
森林管理表彰事業
1998年に国家森林会議において立ち上げられた森林管理表彰事業は、カナダの森林における管理、持続可能な厚および生物多様性保全の努力に対する認識および評価を促進することを目的としている。同事業は、これらの分野における関係者の取り組みに感謝し、得た教訓をカナダの森林および野生生物を健全で安全な状態に保つことを意図している。大きく貢献した要員、組織および企業が表彰される。
V. 民間セクター
民間保有地
カナダ国内の森林は、90パーセント近くの林業用の森林が、州政府の管理下にあるなど、大半が公的保有下にある。しかしながら、リース契約により、これらの土地においてはほとんどが民間林業会社により伐採されている。
各州およびリース期間により正確な条件は異なるが、リースの合意は一般的に、林業会社に対して、産業の商業的目的と政府および公のより広範な目的のバランスをとるため、厳格な要件を満たすよう要求する。こういったパートナーシップは、複雑かつ変化しており、市場の力、環境条件、政府の取り組み、国際趨勢およびカナダ国民の態度の変化や価値観により影響を受けるものである。カナダの歴史上一貫して、公的な関心が森林法制および経営の形成に寄与してきており、今日でも引き続き寄与しており、以前に比べ、より直接的になっている。
1997年CCFMは課税政策およびその民間植林地の持続可能な経営への影響について検討するタスクフォースを発足した。その1998年9月の会合において、関係閣僚は、政府のすべてのレベルにおける課税体制が多くの懸念を引き起こしていることを確認した調査結果を受け取った。関係閣僚は、勧告の全般の評価が終了した段階で、それぞれの大蔵大臣にこの調査結果を手渡すことに同意した。
認証
1999年7月現在、370万ヘクタール以上がカナダ国内において3システムのいずれかにより認定された。1森林地域(23万ヘクタール)はカナダ基準協会(CSA)により認定、3地域(21万ヘクタール)が森林管理会議(FSC)により認定、また6社(370万ヘクタール)は自社の林業運営が、国際標準化機関(ISO 14000)により認定された。これらは広大な面積ではあるが、カナダの森林の中では、ごく一部分にすぎない。
カナダの中央政府および地方政府は、いかなる特定の認定方式をも、市場中心で市場により動かされるべきものであるとして、公式に承認していない。この点において、各政府は、貿易障壁にならないよう留意しつつ技術的および研究支援を提供している。
他国への支援
カナダは、カナダ国際開発庁および国際開発研究所を通じて、開発途上国および経済移行期の国家における商業的林業関連活動に関心のある民間企業に対して支援を行っている。こういった支援は、カナダ国内および開発途上国の民間セクターのパートナーに対して、合弁企業が機能するように支援することを目的としている。しかしながら、カナダ国内の産業界における熱帯林での投資機会およびパートナーシップを追求する関心は、増加傾向にあるものの、依然低水準である。
VI. 違法伐採
違法伐採が、大規模な違法な木材収穫、加工または輸出と解釈される場合、カナダ国内においては、計画、伐採および木材加工に関する手続きを明確に定義した法制および規則が存在するという理由のため、大きな懸念ではない。もう一つの理由は、希少熱帯品種に比べてカナダの森林資源の価値が低いためである。
カナダの立場からすると、違法伐採とは、個人が自らに帰属しない叉は運営する許可のない土地から生きた樹木または伐採された木材を持ち去る行為である。この観点から、州および連邦当局は、公的教育、技術開発、監視、捜査、違法行為を行った者の訴追に至るまでの施策を実施している。現在、ブリティッシュコロンビア州では違法伐採者1年に1,000万から2,000万ドルの損害が発生している。
カナダは研究活動の幾つかを通じて、この問題に取り組んでいる。例えばCFSによる樹木DNA分析技術への取り組みは、違法伐採者の逮捕および手がかりを得るなどの法廷において応用がきく副産物となる可能性がある。CFSの科学者が樹木のDNA特定技術をより精密なものにすると、特定の黄または西洋赤スギをその切り株と一致したり、その材木が無許可で伐採されたかを断定することが可能となるかも知れない。すべての生命体と同様に、樹木も指紋同様に個体によってすべて異なるDNA遺伝的物質を、細胞に含んでいる。
国内で利用するのに加えて、この将来有望な技術は、他国に対して、広範に影響を及ぼす問題解決を助けるために、容易に技術移転が可能である。
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