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OECDによる世界水フォーラムへの貢献
(報告書の公表)


 OECDは、3月、日本で開催された「第3回世界水フォーラム」への貢献として作成した報告書(Improving Water Management: Recent OECD Experience)を公表しました。
 この報告書では、水をめぐって現在世界が直面するさまざまな問題をとりあげ、これらについてOECD諸国の経験とOECD自身が行ってきた作業を基礎に政策提言を行っています。
 報告書の概要は以下のとおりです。

I.水管理分野の課題

1.現状

 水の管理が持続可能な開発の制約要因として台頭しつつあることを指摘し、具体例として、過去50年に人口はほぼ倍増したが水の消費量は4倍になったこと、都市人口の増大による水道の需要が財政を圧迫しつつあること、全世界で安全な水へのアクセスがない人口が11億人基本的な下水施設へのアクセスがない人口が24億人存在すること、環境への負担も深刻であり開発途上国では排水の90%が未処理のまま排出されていること、OECD加盟国でも肥料、化学品、重金属等を汚染源とする地下水の質の低下が進んでいること、また水の費用が問題になりつつあること等を挙げています。

2.OECD加盟国が得た教訓

 OECD加盟国がこれまでに得た教訓として、(1)水資源管理のための市場メカニズムの利用、(2)意思決定の統合、(3)科学技術の活用、(4)開発途上国とのパートナーシップ、の4点が効果的な水管理のために重要な要素であるとし、以下に詳細を述べています。

II.課題克服のためのOECDの取組

1.水資源管理のための市場メカニズムの利用

(1) OECD加盟諸国の経験を踏まえ、水資源管理には市場主義に根ざしたアプローチ(水の使用・汚染料金の導入、特定の汚染物質の排出量取引の導入等)をとることが有効であるとの見解を披瀝しつつ、低所得層などの社会的弱者に対する水関連サービスの提供を経済・環境と両立しつつ確保する政策が必要であることを指摘しています。そのような政策としては、一般的に、社会的弱者を対象とする(所得補助のような)政策の方が、普遍的な補助金政策よりも効果的であるとしています。

(2) また、苦しい財政状況にある一方でコストを全て回収し得る料金設定を行うことも困難であることが多い非加盟国(東欧、中央アジア、中国等)の状況に触れ、OECDがこれらの国と協力し、水道料金の設定を他の資金調達と組み合わせることにより上下水道を整備するための現実的な財政戦略を策定していくプロジェクトについても紹介しています。

2.意思決定の改善

(1) 水資源管理を行うためには幅広い政策目標を勘案する必要があり、それらの政策目標の中には相互に相容れないものもある(例えば、全ての人々に安全で安価な飲料水及び下水施設へのアクセスを確保するという社会面での政策目標を達成しようとすると水資源に対する環境面での負荷が大きくなる可能性がある)ことから、これら複数の政策目標を相応に反映させた政策決定を行うためには、強化されかつ一貫した意思決定手続き(制度)が必要であると指摘しています。

(2) OECD加盟国における意思決定システムの改善例として、行政区域の境界にとらわれず河川の地理的な境界を反映した上下水管理制度を採用し始めている(whole-of- basin approach)ことに触れています。

(3) また、OECD加盟国における傾向として、政府の役割が水サービスの「供給者」から「規制者」に変容しつつあること、公共部門と民間部門の協力が進んでいることを挙げ、環境・経済・社会面の政策目標を両立させるためには、官民の協力が必要との認識がOECD加盟国において広まりつつあることを指摘しています。

3.科学技術の利用

 水道管の洩れ防止技術、水使用量の少ない洗濯機、水のリサイクルシステムの開発等、水の効率的な利用及び水質浄化において科学技術が果たし得る貢献は大きいとしています。飲料水の浄化に関しては、年間約500万人が飲料水の汚染が原因で死亡していること、特に子供へのリスクが高いこと、先進国においても飲料水汚染の問題があること等に言及するとともに、OECDにより進められている飲料水の浄化に関する作業が紹介されています。

4.開発途上国とのパートナーシップ

 開発途上国の中には、最も基礎的な水サービス供給インフラすら整備が間に合っていない国があることを指摘しつつ、水サービスのインフラを拡張するためには年間750億ドルが必要である一方で、水分野の開発援助額は年間30億ドルに過ぎず、資金不足が明白であるとしています。OECDは、引き続き、非加盟国における水分野の援助のレベルと効率性の評価を行っていく旨述べています。


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