(1) |
外国公務員に対する贈賄(第1条)
締約国は、国際商取引において商取引又は他の不当な利益を取得し又維持するために、外国公務員に対し、金銭上又はその他の不当な利益を申し出、約束し又は供与することを、自国の法令の下で犯罪とするために必要な措置をとる。(不正競争防止法第18条、刑法第8条、第60-第65条)
|
(2) |
法人の責任(第2条)
締約国は、自国の法的原則に従って、外国公務員に対する贈賄について法人の責任を確立するために必要な措置をとる。(不正競争防止法第22条)
|
(3) |
制裁(第3条)
締約国は、外国公務員に対する贈賄について、効果的で、均衝がとれたかつ抑止力のある刑罰を科し、また、賄賂及び贈賄を通じて得た収益等の押収若しくは没収又は同等な効果を有する金銭的制裁の適用のために必要な措置をとる。(不正競争防止法第21条及び第22条)
|
(4) |
裁判権(第4条)
締約国は、自国の領域内において外国公務員に対する贈賄が行われた場合においてこの犯罪についての自国の裁判権を設定する。また、国外において自国の国民によって行われた犯罪について裁判権を設定している締約国は、同一の原則により、外国公務員に対する贈賄についても、国外において自国民によって行われた場合に自国の裁判権を設定するため、必要な措置をとる。(刑法第1条、同第3条、不正競争防止法第21条第6項)
|
(5) |
出訴期限(第6条)
外国公務員に対する贈賄に適用される出訴期限は、この犯罪の捜査及び訴追のために適切な期限を与えるものとする。(刑事訴訟法第250条)
|
(6) |
資金洗浄(第7条)
資金洗浄に係る法制の適用において自国の公務員に関する贈賄又は収賄を前提犯罪としている締約国は、外国公務員に対する贈賄についても、同一の条件で資金洗浄に係る法制を適用する。(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第2条2及び第10条)
|
(7) |
会計(第8条)
締約国は、自国の法令の範囲内で、外国公務員に対して贈賄を行い又はその贈賄を隠蔽することを目的として、簿外勘定を設定し、架空の支出を記載し、不正な書類を使用すること等を禁止するため必要な措置をとり、企業の帳簿、財務諸表等における欠落や虚偽の記載に関し、効果的で、均衝がとれたかつ抑止力のある罰則を設ける。(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第5条、会社法第976条、金融商品取引法第10条、第18条、第22条、第24条の4、第172条、第172条の2、第172条の4、第197条、第207条、公認会計士法第30条、第34条の21)
|
(8) |
法律上の相互援助(第9条)
締約国は、国内法及び関連する条約等に基づき最大限に可能な範囲で、捜査、刑事手続及び刑事手続以外の手続について、迅速かつ効果的な法律上の援助を他の締約国に与える。(国際捜査共助法、外国裁判所の嘱託に因る共助法)
|
(9) |
犯罪人引渡し(第10条)
外国公務員に対する贈賄は、締約国の国内法及び締約国間の犯人引渡条約における引渡犯罪とみなされる。(逃亡犯罪人引渡法、日米犯罪人引渡条約、日韓犯罪人引渡条約)
|
(10) |
監視及び事後措置(第12条)
締約国は、この条約の完全な実施を監視し及び促進するため、組織的な事後措置の計画を実行することに協力し、事後措置の計画及び費用を負担する。当該計画は、締約国がコンセンサスにより別段の決定を行わない限り、国際商取引における贈賄に関する作業部会の枠組みにおいて、その付託事項に基づき、実行する。
|
(11) |
効力発生(第15条)
OECDの輸出額上位10ヶ国の中の5ヶ国であって、その輸出額の総計がこれらの10ヶ国の輸出額の総額の60%以上を占めるものにより批准書等の寄託が行なわれた日から60日後に効力発生が生ずる。
|