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米国
- 米国経済は潜在成長率を上回る成長が持続。実質GDP成長率は2004年に4.7%、2005年に3.7%となる見通し。家計需要は低金利などの要因や先行きの雇用・賃金持ち直しが下支え要因となるものの、幾分鈍化の見通し。一方で、良好なキャッシュフローや金融環境などにより投資回復がITセクター以外に広がるほか、輸出も堅調に推移する。
- FRBは長期にわたり極度に景気刺激的なスタンスを維持してきた。2004年半ば以降、景気刺激的な金融政策を徐々に撤回し始めることが必要。米国の財政赤字は90年台初頭の歴史的水準まで拡大。政府は2009年までに財政赤字がGDP比1.5%に低下することを予想しているが、こうした前提は楽観的にすぎる。今後べビーブーマー世代が退職年齢に達することを考慮すると、より野心的な財政目標が必要。
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(2) |
- 輸出の二桁成長を背景に、2005年までの日本経済は成長が持続する見通し。設備投資は2003年後半の急速な回復テンポからは鈍化するものの、景気拡大の主要な要因であり続ける。失業率は低下するが、これに対する消費の回復は部分的なものに止まる。実質GDP成長率は2004年に3.0%、2005年に2.8%となる見通し。
- 2005年までの予測期間中にはデフレからの決定的な脱出は見込めない。政策金利は実質的にゼロ近辺で維持される見通し。財政赤字残高が2005年にGDP比で169%という記録的水準に達し、高齢化による強い財政支出増加圧力がすでに顕在化しつつ状況を踏まえると、財政再建は他の諸国と比べてもずっと緊急の課題となっている。
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欧州経済
- ユーロ圏経済も遅れて回復に向かう。ユーロ件の実質GDP成長率は2004年に1.6%、2005年に2.4%となる。拡大傾向にある国際環境を背景に輸出が増加することに伴い、経済活動は徐々に加速。これにより、設備投資が堅調に推移するとみられるほか、雇用の増加により消費も回復。英国経済は堅調な消費や設備投資回復により堅調な成長が持続。
- ユーロ圏・英国の財政は、独・仏・伊を中心に悪化。2003年には独・仏の財政赤字はGDP比で4%近辺となった。高齢化関連の支出圧力はより切迫しており、今後、過去の回復期のように財政再建に向けた努力が後退した場合、そうした政策的失敗のコストは近年の場合と比べてずっと大きなものとなる可能性がある。財政収支が赤字の国は、最低GDP比で年0.5%のペースで財政再建を行い、景気回復がしっかりするにつれて、再建ペースを高めていくことが必要。
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