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経済


エコノミック・アウトルック


平成15年11月


11月26日、OECD事務局は『エコノミック・アウトルック』を公表しました。概要は以下のとおりです。


1.景気の現況
  • OECD諸国経済は、石油価格急上昇の懸念が解消したことや地政学的緊張の緩和を受けて春以降持ち直し始めた。現在も、株価上昇等にみられるように金融市場が改善を続けていること、設備投資が持ち直しに向かいつつあることなどを受け、全体として回復を続けている。
  • こうした回復は、マクロ経済政策が最も積極的に実施された米国を中心とするものであるが、英国や日本でも目立ったものとなっている。ユーロ圏経済は回復を始めたものの、そのテンポは非常に緩やかである。
  • 2003年のOECD経済は2.0%の成長となる見通し。2003年の米国経済の成長率は2.9%となる一方で、ユーロ圏のそれは0.5%に止まる見通し。日本経済は年後半に減速するものの、2003年全体では2.7%の成長となる。

2.OECD域内経済の見通しと課題(2004-2005年)
  • 2004-2005年にかけてOECD域内全体にわたる回復が明らかになる見通し。米国経済は回復の勢いを維持。日本経済も循環的な回復が持続する。世界経済の拡大を受け、ユーロ圏経済も回復に向かう。
OECD全体及び主要国・地域の実質GDP成長率
  2002年 2003年 2004年 2005年
実績 見通し 見通し 見通し
OECD全体 1.8 2.0 3.0 3.1
米国 2.4 2.9 4.2 3.8
日本 0.2 2.7 1.8 1.8
ユーロ圏 0.9 0.5 1.8 2.5
(注)前年比成長率、%。2003年以降はOECDによる予測値。

【米国】
  • 米国経済は2004年から2005年にかけて4%近辺の成長が続く(それぞれ4.2%、3.8%)。設備投資は減税や企業の在庫投資の動きを受けて堅調な増加が続く。消費も減税及び雇用により下支えされる。ドル安や世界経済の回復により、輸出は加速の見通し。
  • 減税やイラク戦争等に伴う追加支出により、財政赤字は2003から2005年にかけGDP対比5%以上で推移する見通し。米国政府は、財政赤字は対GDP比で徐々に低下すると予想しているが、これは楽観的な前提に基づいており、今後10年間大規模な財政赤字が続く可能性もある。
【日本】
  • 現在の日本経済の回復は、大企業のリストラの成功を反映している。ただし、経済のその他の非効率な部分ではリストラの進展が遅れており、回復の基盤は狭い。このため、日本経済の回復は今後も緩やかなものに止まる見通し。個人消費が労働市場の持ち直しを背景に安定的に推移すること、円高の下押し要因がある一方で、アジア地域との貿易が輸出にプラスの影響を与えることから、2004、2005年の実質GDP成長率はともに1.8%となる
  • 日銀はデフレが継続的に克服されるまで量的緩和を続けるべき。ただし、金融政策の効率性は、銀行部門の健全性にかかっている。
  • 高齢化関連支出の増大等を考慮すると、政府支出に上限を設定する政府の中期目標を達成するためには、更なる支出内容の見直しが行われるべき。課税ベースの拡大や付加価値税率引き上げ等による税収拡大を含む、包括的な財政再建プログラムが必要。
【ユーロ圏】
  • ユーロ圏経済は底打ちしており、今後も輸出が牽引役として働き続ける。これを受けて、設備投資や消費も回復に向かう。こうした結果、ユーロ圏の実質GDP成長率は徐々に高まり、2004年に1.8%、2005年に2.5%となる見通し
  • ユーロ圏では安定成長協定を修正する多くの提案が浮上。しかし、現状での財政政策の緩和は、非生産的なものと判明する可能性がある。高齢化に備えるためにも、主要国の構造的な財政赤字の削減が必要である。

3.回復に対する懸念材料

  • 先行きのダウンサイドリスクは春の見通し時点と比較して縮小。ただし、先行きには重大な不確実性と緊張要因が残存。国内または国際的な緊張や不均衡の調整が急激な形で行われた場合、世界経済が回復の経路を踏み外す可能性がある。

    • 米国の経常赤字は回復の持続可能性に対する脅威となりうる。経常赤字は2003年にGDP対比で5.0%と過去最大の水準に達している。こうした不均衡の調整が急激なドル安を通じて行われた場合、米国以外の国・地域の回復が押し止められる可能性がある。
    • OECD全体の財政赤字は2003年にGDPの3.8%となり、2004-2005年にも大きな改善はみられない見通しである。政府債務の増加は金利上昇圧力を高め、民間投資を抑制することにより、回復を損なう可能性がある。
    • 家計の債務が所得に占める割合が上昇している。このため、金利が予想を上回って上昇した際には、利払い費の上昇や住宅価格の下落により、消費が急速に勢いを失う可能性がある。
    • 設備投資は回復途上にあるが、株価下落などの要因により下押しされる可能性がある。


4.構造改革推進の重要性

(1)力強い経済成長を実現するためにも、OECD諸国経済は構造改革を加速するべき。特に、ユーロ圏及び日本では労働力の利用改善や、より一般的な構造改革の分野においてなすべきことが多く存在している

(2)日本の構造改革における課題
  • 日本が優先的に取り組むべき分野は、金融・企業部門のリストラ継続と加速。主要行の不良債権比率を2005年3月までの3年間で半減するという政府目標の達成は依然困難である。金融部門の再建においては、政府金融機関の役割を縮小し、銀行の中小企業向け融資に関する政府の規制を再検討することなどが重要である。銀行システムに対する公的資金の更なる注入は、しっかりした選択のもとで、厳格な事業再構築の条件が伴うものであるべき。
  • 日本の労働市場にも多くの課題がある。有期雇用、一時雇用、民間職業紹介企業に対する規制の一層の緩和、常用雇用者に対する手厚い保護の縮小が必要。加えて、教育や農業への参入障壁の除去は遅れている。
  • 競争政策の強化が重要。海外直接投資の流入増加は競争を促進するため、対内直接投資増加に向けた政府のアクションプランが遂行されるべきである。


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