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経済


開発援助委員会
(DAC:Development Assistance Committee)


1.概要

(1) 目的

 開発援助委員会(DAC)は、(イ)対途上国援助の量的拡大とその効率化を図ること、(ロ)加盟国の援助の量と質について定期的に相互検討を行うこと、(ハ)贈与ないし有利な条件での借款の形態による援助の拡充を共通の援助努力によって確保することを主な目的として活動しています。

(2) メンバー

 現在のメンバーは、OECD加盟国(30カ国)中のアイスランド、トルコ、メキシコ、チェコ、ハンガリー、ポーランド、韓国及びスロバキアを除く22ヶ国と、欧州委員会。

(3) 主要な会合

 主な会合としては、閣僚を含む各国のハイレベルの援助関係者が参加するハイレベル会合(年1回)、援助実務を担当するハイレベルの関係者が集まるシニアレベル会合(年1回)、DACの年間活動計画の策定・実施状況の確認等を行う本会合(月1回程度)があります。その他、援助効果作及びドナー慣行作業部会、統計作業部会、評価ネットワーク、ジェンダー平等ネットワーク、環境ネットワークなどでより専門的な議論が行われています。また、貧困削減ネットワーク、ガバナンスネットワーク、紛争・平和・開発協力ネットワークなどの非公式のフォーラムにおいても個別のテーマについて活動を行っています。


(組織図)

組織図


(4) DAC議長報告

 DACは、メンバーの援助実績を取りまとめ、例年4月頃に前年のメンバー毎のODA実績並びにDACメンバーと国際機関による途上国向けのODA以外の資金の流れ(その他公的資金・民間資金)の統計(いずれも暫定値)を発表しています。さらに、例年2月頃には「DAC議長報告(確定値)」が発表され、開発協力の国際的動向(過去1年の主要なトピック、ODA実績の統計的データ:地域配分、分野別配分等)や加盟国の活動概要の報告等を公表しています。

(5) 援助国審査(ピア・レビュー)

 DACの各メンバーは、2~3年に一度の割合で、援助実績及び政策について審査を受けます。審査においては、DAC事務局とともに、メンバーの内2ヶ国が審査国として事前調査等の準備にあたります。事前調査を踏まえて、DAC本会合の場で全メンバー国により審査が行われ、審査結果は、報告書として公表されます。
 次回の対日援助審査は2003年12月に行われる予定です。


2.最近の活動内容

(1) DACハイレベル会合(2003年4月)の概要

 本年は、(a)援助効果((2)(二)参照)、(b)相互説明責任とNEPAD、(c)経済成長と貧困削減が議題となりました。
 援助効果については、援助効果改善を引き続き開発のアジェンダに据え、現場での取組に繋げるべしとのメッセージを発出しました。特に、調和化については、ローマ会合を評価し、国際レベル、現場レベルでの取組を推進すべしとの立場を確認しました。また、後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)向けアンタイド化勧告のスコープを更に広げるべしとの意見がノルウェーから出され、数メンバーにより支持されました。
 相互説明責任については一様にその重要性が指摘されたものの、定義は国によってさまざまでした。アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)については、オーナーシップの重要性を指摘しつつ、NEPADとOECDの共同レビュー・メカニズムに関し、ドナー側のみで検討を進めず、現実的な方法を探るべし等の慎重な発言が目立ちました。
 貧困削減と経済成長については、両者密接不可分との見解で一致しました。政策一貫性を含むドナーの役割、経済成長や民間資金を導く被援助国の環境整備(ガバナンス等)の重要性等が主張され、経済成長を扱うマンデートを新たに与えられたPOVNET(貧困削減ネットワーク)にて議論を行うべしとの方向性が出されました。

(2) 主要分野

(イ) 貧困削減と経済成長

 98年6月より、「貧困削減ネットワーク」が設置され、貧困削減のための有効な開発協力のあり方等に関する議論を行っています。2001年5月には貧困削減ガイドラインを策定しました。2003年からは経済成長と貧困削減の関係に重点を置くことでネットワークの活動内容が一新され、民間セクター開発、農業、インフラの3分野を中心に専門家会合を設置して、議論を行っていくことになりました。

(ロ) 紛争・平和と開発協力

 2003~2004年は、開発協力と紛争予防の一体化、安全保障と開発、テロ防止、困難なパートナーシップ、戦時下の政治経済、ODA適格基準、紛争と天然資源等のイシューを扱う予定です。また2002年5月にはアフガニスタン支援に関する意見交換と今後の方向性を議論する目的で、アフガニスタン専門家会合が開催されました。2003年7月には、イラク復興に関するシニアレベル会合を開催しました。

(ハ) ガバナンスと能力開発

 開発協力の重要な視点の一つである良い統治と、それを実現するために必要な能力開発を実現するための協力のあり方を検討しています。2001年に「参加型開発と良い統治アドホック作業部会」と「制度構築に関するネットワーク」を統合して、「ガバナンスと能力開発ネットワーク」が発足しました。2003~2004年は、困難なパートナーシップ(プア・パフォーマー)、汚職対策、ガバナンス指標、公共サービス改革、キャパシティ・ビルディング、人権と民主化、政治プロセス等のイシューを扱う予定です。

(ニ) 援助効果(Aid Effectiveness)の向上

 援助量の増大のみならず援助の質向上の重要性に対する認識が高まり、「資金面作業部会」の一部と「援助手続き調和化タスクフォース」の活動を統合して2003年5月に援助効果と「ドナー慣行作業部会」が新設されました。本作業部会では、援助効果(Aid Effectiveness)の改善に関する広範なイシュー(調和化、アンタイド化問題、結果重視アプローチ等)を扱っています。

(a)手続き調和化
ドナーが援助実施にあたり個別の複雑な手続きが途上国側に過度の負担を課し、援助の実施が円滑に行われないという問題が指摘されています。2001年より2年間設置された援助手続き調和化タスクフォースでは、途上国の調和化ニーズ調査、6分野を対象とした調和化グッドプラクティス文書の策定を行いました。また、2003年2月には、多国間・二国間のドナー国およびLDC諸国が一堂に会し、調和化ハイレベルフォーラムがローマで開催され、2005年の第2回フォーラムに向けてローマ会合の合意事項の実施促進、調和化の進捗をはかる指標の作成に取り組んでいます。

(b)アンタイド化
 2001年5月に採択されたLDC向けODAのアンタイド化勧告が2002年1月に発効しました。DACメンバーはLDC向けODAのうち、勧告が適用される範囲(注:技術協力を除く、有償と無償が対象。但し、投資関連技術協力と食料援助をアンタイド化するかは各国の任意)において援助をアンタイド化する必要があり、現時点で一部のわずかな例外(注:ベルギー、ポルトガル、デンマーク、NZ、ルクセンブルク)を除き、アンタイド化は実施されています。このほか、アンタイド案件についてはDAC事務局に対する報告制度があるほか、勧告がODAの量や質に与える影響、各メンバーの勧告実施状況について毎年レビューが行われています。

(ホ) その他(ODAの定義に関わる検討)

 ODAの定義に用いられるグラント・エレメント(援助条件の緩和度を示す指標)の割引率が現在10%に固定されていることに対し、一部メンバーから市場実勢に合っていないとの問題提起があり、現在、統計作業部会で議論が行われています。



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