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2002年OECD閣僚理事会コミュニケ
仮訳

2002年5月

:この文書は日本語仮訳なので、より正確な内容をお調べの方は、原文をご参照ください。)

  1. OECD閣僚理事会は、2002年5月15日から16日まで、ベルギーのギー・ヴェルホフスタット首相の議長の下、スペインからロドリゴ・デ・ラト・イ・フィガレド第二副首相兼経済大臣及びニュージーランドからジム・サットン貿易交渉大臣が副議長として補佐を務めて開催された。会合の中心的テーマは、「成長及び開発のためのパートナーシップ」であった。閣僚は、主要な非OECD加盟国・地域の代表が「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」運営委員会の閣僚との昼食会を兼ねた討議を含む二つのセッションに参加したことを歓迎した。また、閣僚は、OECD経済産業諮問委員会(BIAC)及び労働組合諮問委員会(TUAC)との協議の機会を歓迎した。ベルギーのアヌミー・ネイツ=アイトブルック外務担当国務大臣は、閣僚理事会と前後して開催されたOECDフォーラム2002について報告した。フォーラムは、市民社会、経済界及び労働団体の指導者が重要な政策課題について政府閣僚及び国際機関の指導者と議論し、閣僚理事会の成果に貢献する機会を提供した。

  2. 前回の会合以来の12ヶ月の間、我々の政府は、難しい経済問題を成功裡に取り扱い、貿易及び開発に関する将来に向けた課題に順調な進展をもたらしてきた。景気の低迷は相対的に短く浅いものであったことが判明し、その後、回復が始まった。世界経済は、2001年9月のテロ事件のショックを吸収し、概ね克服して、回復力を示した。更なる構造改革及び適切な金融・財政政策が、我々の経済の成長を強化するために必要である。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の分野では問題が明らかになったが、このことにより、政府及び民間部門がこうした重要な問題に取り組むとのコミットメントを強め、もって国際経済における信頼を維持するのに役立っている。ドーハ開発アジェンダ、モンテレイ・コンセンサス及び来るべきヨハネスブルグ・サミットは、新世紀における最も大きな課題の一つ ―世界のより貧しい地域において生活の質を相当程度改善し、すべての国における開発を持続可能なものにすること― に取り組むために、開発途上国と先進国の新しいパートナーシップを構築しつつある。これらの分野すべてにおいて、OECDは、加盟国及び非加盟国・地域がその目的達成に必要な政策を立案し、実施するのを支援することについて、大きな役割を有している。この点に関し、我々は、非加盟国・地域がOECDの活動への参加に関心を高めつつあることを歓迎する。

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経済の見通し及び景気回復

  1. 我々は、景気回復が進んでいることを喜ばしく思う。経済成長は、2001年の様々な時点に米国その他のいくつかの国で回復し、2002年中に欧州及びOECDの殆どの地域で勢いを増す見込みであり、日本では2002年後半には緩やかな回復を始めることが期待されている。殆どの国における金融政策の果断な緩和及びいくつかの国における財政刺激は、成長の回復に強く貢献してきた。これらの政策は、それぞれ、低く安定したインフレ、財政の中長期的な持続可能性並びに成長及び雇用の増加を目的とした構造改革を促進することによって、容易になった。このような希望を持たせる見通しにもかかわらず、リスクと不確実性が残っている。我々は、景気回復を持続させ、力強い生産性の向上を支援するため、健全なマクロ経済政策及び構造改革を実施することに引き続き責任を有している。

  2. この観点から、

    金融政策は、引き続きインフレなき成長を支援するものであるべきである。景気回復が定着し、インフレについて苦労して得た成果を害する危険がある国においては、いずれかの時点において、景気への刺激を縮小することを検討すべきである。物価の下落が継続している国においては、金融政策は引き続き十分な流動性を供給していく必要がある。

    我々は、景気回復を利用して財政状況を強化する。

    我々は、構造改革に引き続き取り組み、もって経済効率、高水準の雇用及び生活水準の改善が一層実現されるような環境を醸成する。我々は、次のことを強調する。

    物品及びサービスの市場における競争を促進する政策、貿易を歪曲し、環境に有害な補助金の削減、より包括的な規制改革並びにより効率的な公的部門。
    教育及び訓練に焦点を当てた人的資源の開発並びに雇用創出及び雇用機会均等のためのよりダイナミックな環境を醸成する政策。
    租税、年金及び給付制度の更なる改革を通じた高齢化社会の財政的課題に対応する努力を強化する。他方において、高齢労働者の就業及び雇用維持への障壁を下げることを含む高齢労働者が職にとどまるよう奨励する政策が実施されるべき。この点、生涯学習が極めて重要である。
    ブロードバンドなどの情報通信技術(ICT)を含む新技術の便益を獲得するための政策の改革、並びにそれによって、電子商取引を通じたものを含め、技術革新、起業家精神、投資及び新たなビジネスの機会を育てること。我々は、ICTが政府へのアクセス及び政府の対応を拡大するのに役立つことを期待する。


  3. 我々は、OECDが、これらすべての分野において、我々を支援するための比較分析などを通じて各国の経済改革の経験から得られる政策上の教訓を導き出し、その進捗状況を監視することを期待する。特に、我々は、OECDに対し、加盟国による「OECD成長スタディー」の勧告の実施状況をより一層監視し、また、「OECD雇用戦略」を評価することを求める。また、OECDは、移民の受入国及び送出国双方での経済的及び社会的影響の分析を続けるべきである。我々は、事務総長に対し、これらの課題のうちいくつかにつき討議するため、2003年に労働大臣会合を開催するとの提案を出すよう要請する。

  4. テロリズムとの戦いにおいて、我々は、開放的で競争的な市場を損なうことなく、人権と民主主義の価値を守る方法で、必要なセキュリティーのための政策を実施する。OECDは、市場の開放性及び貿易にかかる費用の増加に与える影響を含め、テロリズムが経済に及ぼす影響及びテロリズムに対抗するための経済政策を引き続き監視する。

  5. 我々は、テロリズムのリスクに備えるための適当な保険が減少していることの悪影響を認識する。我々は、いわゆる「メガ・テロリズム」のリスクのカバーに関するものを含め、テロリズムのリスクを如何に定義し、カバーするか、また、保険業界、金融市場及び政府のそれぞれが果たすべき役割を如何に評価するかに関するOECDの政策分析及び助言を歓迎するであろう。

  6. 我々は、2002年9月11日までに、1992年の「OECD情報システムの安全のための指針(ガイドライン)」の改定作業が終わることを期待する。我々は、政府、民間部門及び市民社会による改定された指針の実施をOECDが促進することを奨励する。また、我々は、OECDが電子商取引に対する消費者の信頼の強化を目的とする活動を継続することを奨励する。
国際経済における倫理及び透明性の確保
  1. 企業及び金融機関並びに市場の倫理は、我々の経済の健全性及び安全性にとって中心的なものである。政府及び監督機関は、金融基準、規制及び市場監視の方法が投資家の信頼を維持し、利害関係者の利益を保護するために効果があることを確保するために警戒する必要がある。

  2. 金融における犯罪及び濫用は、主権国家の戦略的、政治的及び経済的利益を脅かし得るものであり、その範囲は、金融市場の拡大及び新技術の使用によって拡がってきている。資金洗浄(マネー・ロンダリング)、贈賄、税に関する不正な行為、会社形態の悪用及び証券詐欺は、しばしば結びついており、世界経済の倫理を危うくしている。テロリズムへの資金供与の脅威は、国内及び国際の双方において一貫的且つ補完的に対応する必要性を一層緊急のものにしている。

  3. 我々は、次のことに合意する。

    企業及び金融のガバナンス(統治)の分野における最良の慣行(ベスト・プラクティス)の実施は、政府規制と自主規制の間でバランスの取れた、インセンティブ(奨励策)の適切な組み合わせによる。我々は、透明性及び説明責任(アカウンタビリティー)を強化するためにこのようなガバナンスを改善し、もって投資家の信頼を高め、金融市場の安定性と回復力を強める考えである。コーポレート・ガバナンス(企業統治)に関するルールの効果的な執行が必要である。

    OECDは、加盟国における企業及び金融分野におけるガバナンスに関する進展を調査して、学ぶべき教訓及び「OECDコーポレート・ガバナンス原則」の評価への影響を特定する。この関係で、我々は、この評価を2005年から2004年に前倒しすることに合意する。

    OECDは、コーポレート・ガバナンス改革の努力を世界中に広めるために、「OECDコーポレート・ガバナンス原則」を基準として活用して成功裡に行っている世界銀行との協力プログラムを継続する。

    我々は、OECD及び金融活動作業部会(FATF)に対し、1999年の閣僚コミュニケに従った税に関する犯罪との戦いに関する現行の活動を含む、共に懸念を有している課題につき協力を強化することを奨励する。我々は、資金洗浄(マネー・ロンダリング)及びテロリズムへの資金供与と戦うFATFの活動を賞賛する。我々は、FATFのテロ資金供与に関する特別勧告を速やかに実施することをすべての国に要請する。

    我々は、OECD贈賄防止条約の締約国に対して、この条約を厳格に実施することを要請し、未だそのようにしていない締約国にできる限り速やかに実施法を制定するよう要求する。他の締約国は、当該国の実施法につき指摘された不備を遅滞なく是正すべきである。我々は、すべての締約国に、実施法を厳格に実施することを要求する。我々は、この条約が条約とその注釈の規定に従って非署名国に対して開放されているという原則、厳格な監視の必要性及び条約を強化するための作業を継続するというマンデート(任務)を改めて表明する。我々は、すべての締約国に対し、促進された相互監視プロセス及び各国のコミットメントの実施の双方につき、十分な予算等が利用可能となることを確保するよう要求する。条約の締約国は、この条約及び関連する贈賄防止のための文書に欠陥があるかどうかを評価し、あり得べき解決策を特定する。我々は、2003年に閣僚に報告が行われることを期待する。

    我々は、透明性や腐敗対策等の分野における責任ある企業の振る舞いのための勧告を提供する「OECD多国籍企業行動指針」の実施を促進することを継続する。


  4. 有害な税制に関する1998年及びそれに続く報告書を承認した閣僚は、31の国・地域が透明性及び税に関する実効的な情報交換につきコミットメントを行ったことを歓迎し、「非協力的なタックス・ヘイブン・リスト」に掲載された国・地域に同様のコミットメントを行うよう奨励する。閣僚は、すべての関係する国際機関に対して、これらの国・地域がこうした分野におけるコミットメントを履行するのを支援するために共に取り組むよう奨励する。より一般的に、我々は、2000年にコンセンサスで採択された租税目的のための銀行情報へのアクセスの改善に関するOECD報告書において想定されている措置の時宜を得た更なる実施を図り、もって税当局間の実効的な情報交換を改善することを期待する。

ドーハ開発アジェンダ

  1. 我々は、ドーハ開発アジェンダの立ち上げを歓迎し、保護主義の行使を拒否するとの我々の誓いを再確認する。すべてのOECD加盟国は、多角的貿易体制が効率的に機能すること、即ち、ドーハ開発アジェンダの実施が妨げられるべきでないことを確保する責任を有している。我々は、2003年9月10日から14日までメキシコのカンクンで開催される第5回WTO(世界貿易機関)閣僚会議の成功に必要な条件をつくり出すために、ドーハからのモメンタムを基礎とし、ドーハで合意されたすべての要素につき、重要な進展をもたらすことにコミットする。我々は、合意されたスケジュールに基づいて交渉を行い、2005年1月1日までに交渉を終える意図を有する。我々は、市場アクセスの漸進的な自由化、WTOルール及び規律の強化、並びに投資、競争、貿易円滑化及び政府調達における透明性に関する交渉プロセスの促進について、協力する。また、我々は、WTO関連の技術協力及びキャパシティー・ビルディング(能力構築)の必要性並びに実施に関わる懸念に対処することについて、協力する。

  2. 強化された多角的なルールにより支えられ、適切に策定された政策と結びついた貿易及び投資の自由化は、先進国及び開発途上国における福祉の改善、持続可能な開発及び貧困削減に直接貢献する。そのような自由化は、調整のための社会的費用を最小化し、環境保護を支援し、公共の利益にかなう政府の規制権限を維持するように行うことができる。我々は、引き続き、非加盟国・地域、経済界、労働団体及び市民社会と協議する。我々は、国際労働機関(ILO)の「グローバル化の社会的側面世界委員会」が創設されたことを歓迎し、その活動に建設的に貢献することを追求する。モンテレイにおいて述べられているように、我々は、すべての後発開発途上国の輸出に対する無税・無枠の市場アクセスという目的に向けて作業を行う。

  3. 交渉プロセスにおいて、我々は、すべてのWTO加盟国に対し、開発途上国が農業、繊維、衣類を含む種々の分野に特に関心を有していることを認識しつつ、市場アクセスを含む開発途上国の懸念に取り組むよう要求する。また、我々は「TRIPS協定(注)と公衆の健康に関するドーハ宣言」に示されている作業計画を達成するため、積極的に貢献する。開発途上国が維持している実質的な障壁が自由化され、多角的なルール及び規律が強化されるならば、開発途上国は更なる利益が得られるだろう。我々は、OECDに、WTOと協力しつつ、できる限り速やかに国別データベースを構築するよう要求し、また、開発途上国及び移行期の低所得国とともに、ドーハ開発アジェンダを進めるために、これらの国のWTO関連の技術協力及びキャパシティー・ビルディング(能力構築)の必要性に対処するために協力することを約束する。これは、開発途上国における健全な政策と良いガバナンス(統治)と結びつけば、最も便益が大きくなるであろう。
    (注)知的所有権の貿易関連側面に関する協定

  4. 我々は、多角的なルールを遵守することに対する我々のコミットメントを再確認する。我々は、多角的貿易体制に懸念を生じさせている鉄鋼部門における緊張状態に対処するために協力する。我々は、この部門における構造調整政策が力強く遂行されなければならないということに合意する。この関連で、我々は、OECDの主催で行われている鉄鋼に関する政府間のハイレベル会合において行われた活動についての事務総長による報告に留意する。この会合は、喫緊の及びより長期的な問題に取り組むことを目的として、世界の非効率的な過剰生産能力の削減並びに市場歪曲的な措置及び産業慣行に関する規律の強化に関連した問題に焦点を当てている。我々は、2002年末までに更なる進展を期待する。

  5. 我々は、世界の造船業において正常な競争条件をもたらすためになされている、新たな造船協定についての幅広い参加を得た多国間交渉に向けたOECDにおける最近の努力を支持する。

  6. 我々は、助成水準並びにその生産及び貿易への影響に関する現在進行中の取組を含め、上記の分野すべてにおいて、OECDがその極めて重要な政策分析及び活動を継続し、強化することを期待する。OECDは、その活動を市民社会及び非加盟国・地域と共有することによって、貿易自由化及び強化されたWTOルールへの支持基盤を拡げ、架け橋となり、多角的貿易交渉を促進するのに役立つことができる。

モンテレイからヨハネスブルグ及びその後へ:OECDの役割

  1. 我々は、貧困削減及び持続可能な開発が国際社会の緊急の優先事項であると認識している。我々は、「ミレニアム宣言」に含まれている国際的に合意された目標を達成するための包括的で、パートナーシップに基づき、成果志向型のアプローチを支援するモンテレイ開発資金国際会議で達成されたコンセンサスを基礎とする。「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」の原則はこのようなアプローチの良い例なので、我々は、こうした地域的なイニシアティブを歓迎し、本日NEPAD運営委員会の閣僚に会う機会を持てたことを評価した。我々は、どのようにすればNEPADのイニシアティブを前進させるために我々が最も適切に協力できるかを見出すためにNEPADとOECDとが更なる対話を持つことを期待する。我々は、民間部門が開発のために果たす極めて重要な貢献を認識するとともに奨励し、また、開発途上国及び移行期の国・地域において投資環境を改善するための技術協力及びキャパシティー・ビルディング(能力構築)の必要性に対処する。ベルギー首相は、後発開発途上国の債務削減のためにグローバルな基金を創出するという「将来援助・債務救済(PAIR)」提案を行った。他にも、生産物価格の下落のため、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの下で如何にして我々が持続可能な債務救済を達成するかについて現在議論されている諸提案がある。

  2. OECDは、このコミュニケに添付されている「共通の開発課題に向けたOECDの行動」に示されているように、モンテレイ・コンセンサスを前進させるにあたり重要な役割を有している。この役割は、開発に関する政策の一貫性の確保、開発途上国のガバナンス(統治)及び政策能力の支援、援助の効率性の向上及び適切な援助量の確保、並びにパートナーシップ及び説明責任(アカウンタビリティー)の強化を伴うものである。

  3. 我々は、来るべき「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」が提起している重要な機会を認識し、すべての国がその成功を確保するために積極的な役割を果たすよう奨励する。OECDのWSSDに向けた報告書は、経済成長の強化、人的及び社会的開発の促進並びに環境の保全によって持続可能な開発及び貧困削減に貢献するためのOECD加盟国の責任及び能力を示している。我々は、1992年にリオ・デジャネイロで合意された「アジェンダ21」の実施を強化することを含め、これらの目的を我々の国内及び国際政策に引き続き統合する。ヨハネスブルグ・サミットに至る過程において、我々は、2001年の閣僚理事会コミュニケに示された政策勧告への我々のコミットメント及びOECDの「21世紀の最初の10年間のための環境戦略」への支持を強く再確認する。また、我々は、すべての国において持続可能な成長及び開発に資する良いガバナンス(統治)及び効果的な政策を促進するため、OECD非加盟国との協力及びパートナーシップを強化する。我々は、特に投資を通じた民間部門の積極的な関与及び市民社会の積極的な関与の重要性を認識する。

  4. 我々は、OECDに対し、経済成長の拡大、人的及び社会的開発の促進並びに環境の保全という持続可能な開発の三つの側面のすべてにわたって進捗状況を監視することを含む、2001年に閣僚により付与されたマンデート(任務)を遂行するために引き続き作業するよう要請する。我々は、OECD及び適当な場合には「持続可能な開発ラウンド・テーブル」に対し、我々が持続可能な開発の目的を達成することができるよう、引き続き政策を発案し、また、行動につきコンセンサスを築くことを奨励する。

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  1. 我々は、現在行われている組織改革に関するイニシアティブを強く支持する。OECDは、広範囲の専門性を有している。OECDは、強固な経済分野における基盤に基づいた分野横断的な政策分析及び対話を促進することについて、並びに国際標準を設定すること及び加盟国政府における、更には最近ますます見られる傾向として非加盟国・地域とのパートナーシップを通じて、いくつかの重要な分野において最良の慣行(ベスト・プラクティス)を促進することについて、主要な役割を果たしている。我々は、この貢献を評価する。我々は、OECDが、新たな課題に取り組む柔軟性を高めると同時に、中核的な活動に対する焦点を鋭くすることを可能にするため優先課題を調整する能力を更に強化しようと努力していることを歓迎する。我々は、事務総長及び理事会がこの改革のイニシアティブを進めることを期待し、事務総長に対し、更なる進展を2003年の閣僚理事会に報告することを要請する。


(別添)

共通の開発課題に向けたOECDの行動
仮訳

OECDの役割と強み

  1. 世界的な開発への貢献は、経済協力開発機構(OECD)の主要目的の一つである。OECDは、設立条約において、「経済的発展の途上にある加盟国及び非加盟国の経済の健全な拡大に貢献する」(第1条(b))政策を推進するよう求められている。相互依存が一層深まる中、この目的は、今日、世界的に貧困削減及び持続可能な開発を達成するため、かつてなく重要である。OECDが推進する原則及び価値 ―良いガバナンス(統治)により支援された、民主主義、市場経済及び開放的でルールに基づいた、無差別の貿易・金融システムへのコミットメント― は、多様性や文化的アイデンティティーを尊重する形で、全人類の経済的及び社会的な福祉という最終的な目標を達成する上で不可欠である。

  2. OECDの強みには、分析及び政策対話のための分野横断的な能力、相互審査(ピア・レビュー)を通じた最良の慣行(ベスト・プラクティス)の共有及び加盟国どうしの監視、並びに70以上の非加盟国・地域、国際機関その他の利害関係者との間における広範な政策対話及びキャパシティー・ビルディング(能力構築)が含まれる。OECD開発援助委員会(DAC)は、開発途上国の開発及び貧困削減を支援するため、協調的で良く調整され、効果的かつ適切な形で資金手当がなされている国際的な努力を援助国間に醸成するための能力を提供している。

  3. 効果的な開発のためには包括的で、パートナーシップに基づいた、成果志向型のアプローチが必要であるとの広く共有された認識に支えられ、「ミレニアム宣言」の国際的に合意された目標を達成するための基盤は、既に存在している。開発途上国は、国内資源の動員及び民間投資の誘致のため良いガバナンス(統治)及び健全な政策を確立して、自国の経済的及び社会的開発をはかることにつき、第一義的な責任を有しており、その一方で、先進国は、自国の政策が開発途上国に与える影響につき更なる関心を払うとともに、開発途上国、特に後発開発途上国が貧困削減及び持続的な開発のため、貿易、投資及び援助を効果的に活用するのに必要な能力を構築する努力を支援する。

如何にしてOECDが貢献するか

  1. 他方、OECDは、この共通の開発課題を推進するため、以下の方法により、その強みを発揮する。

開発のための政策一貫性の奨励

  1. 貧困削減の成功には、経済、社会及び環境問題における広範な課題にわたって相互に支え合う政策が必要である。OECDは、開発のための政策一貫性に関する活動計画を通じ、加盟国の政策の開発に関する側面及びかかる政策が開発途上国に及ぼす影響に対する理解を促進する。その分析においては、国際的に合意された開発目標に資するよう更なる政策一貫性を奨励するため、貿易、投資、農業、医療、教育、環境及び開発協力などの分野にわたってトレード・オフの関係(両立不可能な関係)及び相乗作用の潜在性が考慮されるべきである。

  2. こうした活動は、ルールに基づいた貿易及び投資が開発にもたらす利益に対する理解を促進することにより、開発途上国の多角的貿易体制へのより良い統合を促進するための努力を含め、輸出主導の成長を可能にすべく先進国と開発途上国の間及び開発途上国どうしにおけるより開放された市場を達成するための努力に資するとともに、開発途上国、特に後発開発途上国原産の産品に対する市場アクセスの改善という我々の目的を一層進めることになろう。

開発途上国のガバナンス(統治)及び政策能力の支援

  1. OECDは、情報通信技術の利用を含む手段を通じ、開発途上国及び移行期の国が人的及びガバナンス(統治)面での能力に関する主要な必要性を把握し、満たすのを支援するため、引き続き開発途上国に協力する。OECDグローバル・フォーラム及び地域的な対話は、国内資源の動員及び投資資本の誘致に資するような良いガバナンス及び市場を支える制度の確立に向けた開発途上国の努力を支援することができる。こうした資源は、持続的な経済成長を達成するための開発途上国による努力にとって、また、環境、教育、医療その他の極めて重要な必要性に対処するための開発途上国の能力を支援するにあたって、決定的に重要である。我々は、「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」のような地域レベルのイニシアティブを歓迎し、政治的及び経済的ガバナンスの強化に対する持続的なコミットメントを支援するOECDの特にピア・レビュー(相互審査)に関する経験及び専門性を開発途上国と共有する用意がある。

援助の効率性の改善及び適切な援助量の確保

  1. 援助は、引き続き重要な政策手段であり、貧困を削減し、紛争を予防し、良いガバナンス(統治)を促進し、民間部門に牽引された成長を達成するのに資するような環境を醸成する国内及び国外の民間資本を補完するものである。OECDは、世界の主要な援助国が集まる場として、援助の効率性を改善し、もって援助量を維持するための主要な役割を担っている。OECD開発援助委員会(DAC)のピア・レビュー(相互審査)は、この役割を支援する重要な手段である。OECDは、多国間援助機関及び開発途上国と協力しつつ、援助の実施手続の複雑さを軽減するとともに、すべての後発開発途上国に対する援助のアンタイド化に関するOECD開発援助委員会勧告のあらゆる側面の効果的な履行を確保するための活動を行っている。

パートナーシップ及び説明責任(アカウンタビリティー)の強化

  1. OECDは、分析作業、政策対話及び助言を通じ、特に開発途上国を中心とする非加盟国及び国際機関その他の利害関係者とのパートナーシップを強化する。より広範で効果的な対話により、開発を支援する我々の努力の質が向上するだろう。OECDは、定期的な評価や進捗報告を通じ、この共通の開発課題を推進する行動をとる責務を有する。


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