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第38回OECD閣僚理事会
コミュニケ(仮訳)平成11年5月27日
序文1.OECD閣僚理事会は、1999年5月26日から27日まで、メキシコのアンヘル・グリア大蔵大臣の議長の下、イタリアのジュリアノ・アマ-ト財務・予算・経済計画大臣及びポーランドのレスゼック・バルセロヴィッツ副首相兼大蔵大臣が副議長として補佐を務めて開催された。また、5月26日、理事会に先立ち、OECD閣僚は、アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア及びスロバキア共和国の7つの非加盟国の閣僚との特別対話を行った。OECD経済産業諮問委員会(BIAC)及び労働組合諮問委員会(TUAC)との協議が行われた。
経済見通しと政策課題
2.閣僚は、世界金融市場の信頼を改善し、その一層の安定に貢献したOECD諸国及び非OECD諸国双方による政策措置を歓迎した。しかし、深刻な課題は依然残っており、政府は満足してはならない。閣僚は、インフレ無き成長を指向する健全なマクロ経済政策及び競争的で柔軟な市場を促進する構造政策双方の必要性を強調した。このような政策は、相互に補強し合うものであり、雇用を創出し、社会問題に対処する強い経済パフォーマンスを促進する。閣僚は、経常収支の不均衡を削減し、失業を低下させ、危機の影響を受けた新興経済の回復を支援するために、OECDの主要地域間のより力強くかつより均衡のとれた成長及び積極的な構造改革が必要であることに合意した。成長と回復のための安定的な環境を確保する国及び地域レベルの努力を補完するために、国際金融機関を強化するモメンタムが維持されなければならない。
3.OECD地域内においてもまたその他の地域においても景気動向はまちまちである。米国及び他のいくつかの諸国では、インフレ無き力強い成長が続いている。欧州では、個別の国の見通しが若干異なる一方で、全体としては景気拡大が鈍化しているが本年後半には好転すると予測される。日本では、主要銀行の資本増強を含め、重要な政策措置がとられてきた。日本経済は、現在いくらか改善のきざしを示しているが、短期的な見通しは引き続き不確実である。経済危機を経験したいくつかのアジアの国々、特に韓国は、支援的なマクロ経済政策、より開放的でかつよりよく監督された銀行及び金融市場並びに実施されなければならないその他の構造改革により、予想されていたよりもより急速に回復を始めた。中央ヨーロッパの殆どの国は、最近の市場混乱によく対処し、ロシア危機がそれらの経済に対し永続的な被害を与えることを防いだ。しかしながら、その他多くの非OECD新興・移行経済の状況には、引き続き注意を払う必要がある。総じて、OECD地域及び世界経済双方の成長は依然として満足なものではない。
4.閣僚は、OECDの主要な経済における顕著に異なる景気循環の状況が、異る経済政策設定を必要としていることに合意した。
- 米国では、一時的及び構造的な要因が、良好なインフレ実績と組み合わされた急速な成長及び雇用創出を促進しているが、当局は、引き続き健全な政策を維持し、景気過熱の徴候に対し警戒しなければならない。
- 欧州では、ユーロが成功裡に導入され、最近の金利引き下げが成長への刺激となっている。改善された成長及びより高い雇用に向けての見通しを強めることを目指して、マクロ経済政策の適切な組み合わせ及び積極的な構造対策が探求されなければならない。
- 日本では、デフレ圧力が弱まり内需主導の成長の回復が確実なものとなるまで、政策が支援的なものであることが重要である。日本当局は、銀行に不良資産をより活発に処理するよう促すことを含めて、金融セクターの問題を解決し、回復と長期的な成長に不可欠な広範囲の構造改革を更に実施する意思を固めている。
5.成長実績は、OECD諸国間及び国内でかなり異なっている。閣僚は、OECDに対し、これらの成長格差の原因を研究し、長期的な成長のパフォーマンスを強化し得る要因及び政策(例えば、急速な技術革新並びに知識社会及びその要請が人的資源に与える影響、新たなサービス産業の到来、中小企業を含む新しい企業の創設と成長を促進する最良の枠組み条件等)を明らかにするよう要請した。
6.閣僚は、いくつかのOECD諸国において高水準の失業が続いていることに懸念を表明した。これまでの経験は、「OECD雇用戦略」と整合的な包括的かつ継続的改革のパッケージを通じて、失業が持続的に削減されることを示している。閣僚はこの雇用戦略をさらに実施するとの決意を強調した。特に若年者、女性、高齢労働者及び未熟練移民の間における高く継続的な失業状態は、殆どのOECD諸国政府にとって引き続き主要な政策課題である。これらグループの雇用を促進する最良の方法は、全体の雇用を増加させることを目的としたマクロ経済政策と構造政策の組み合わせによるものである。政策は、社会のもっとも脆弱な人々に対する支援を提供する効果的な社会的セーフティー・ネットとともに、柔軟な労働市場を促進するものでなければならない。また、労働市場の外辺に位置するグループの雇用見通しを改善し、雇用実績の地域格差に対処し、労働が報われるような税制及び給付制度の改革を行い、生涯教育を国民全てのために実現する政策に対しても注意が払われるべきである。また、「活力のある高齢化」に資する環境を整備することも引き続き優先課題である。社会の一体性を高めるために全ての分野での進展が必要である。閣僚は、OECDに対し「雇用戦略」のモニターと評価の作業を継続するよう要請した。
7.気候変動、天然資源の持続的な管理及び生物多様性の保護といった地球規模の課題を含む、持続可能な開発の追求は、OECD諸国にとっての重要な目的である。この目的を達成するためには、特にコストの内部化並びに環境的に健全な技術の世界全体での開発及び普及により、経済、環境及び社会的考慮を政策決定に統合することが要求される。OECDは、京都議定書におけるコミットメントを達成する最良の方法についての経済及び環境当局間の議論を引き続き促進する。一連の主要な指標を開発することは、持続可能な開発に向けた進捗状況を評価するために極めて重要である。OECD諸国は、政策及び制度的な枠組みを改善するため非OECD諸国との協力を継続する。OECDは、2001年に、政策提言とともに、閣僚に報告する。
多角的体制と新WTOラウンド
8.貿易と投資は、世界経済の成長、繁栄及び統合の原動力であり、世界的な貧困削減にとって基本的に重要である。多角的貿易体制は、世界経済の要めである。開放的で、透明性の高い、規則に基づく貿易体制が引き続き極めて重要である。各国は保護主義圧力に抵抗し、また現行の市場アクセスの水準を踏まえ、さらなる自由化のモメンタムを高めていかなければならない。第二回情報技術合意(ITA-2)の早期終結はこのモメンタムに貢献するであろう。閣僚は、現在ジュネーブで継続中の政府調達の透明性に関する交渉の先進国及び開発途上国双方にとっての重要性に鑑み、WTOシアトル閣僚会合までに実質的に合意することを目指す。相互に受け入れ可能で商業的に意味のある市場アクセスについてのコミットメント及びWTOの規則の遵守に基づく、申請国のWTO早期加盟は、多角的貿易体制を強化するであろう。
9.閣僚は、引き続きWTOの規則に従って貿易紛争を解決する必要性及びこの点に関して各国政府が有する責任について認識した。より良く機能しかつより透明性の高いWTO紛争解決了解が極めて重要である。閣僚は、WTOのパートナーとともにWTOにおける紛争解決了解の見直しを予定された期限までに成功裡に完了することを目指す。紛争解決制度は、引き続き開発途上国のニーズに応えるものでなければならず、閣僚は、開発途上国がより効果的に紛争解決制度を利用するための支援を提供する最も効果的な方法を検討することの重要性を確認した。
10.閣僚は、WTOにおける多角的貿易交渉新ラウンドの必要性を支持し、本年末シアトルにおける新ラウンドの成功裡の開始に向けて全てのWTO加盟国と建設的に作業を進めることを支持した。閣僚は、全ての人々の要請と願望に応える野心的で、広範囲でかつ均衡のとれた交渉課題に向けて努力する。閣僚は、時宜を得た成果を、出来れば3年間で得ることを目指し、また「一括受諾」の原則及び交渉途中で成果を得る可能性を含め、交渉のための選択肢及び方法について合意を得るべくWTO加盟国と作業することに合意した。開発途上国及び移行国の多角的体制への統合と参加が進むことは、OECD諸国政府にとって引き続き優先課題である。新ラウンドは、開発途上国の経済成長及びこれらの国が自由化による利益を十分に享受することを確保するため、キャパシティ・ビルディングを通じ、全ての開発途上国のニーズに応えなければならない。この観点から、市場アクセスの改善を含め、後発開発途上国の特別なニーズが特に強調されなければならない。
11.閣僚は、既存のWTO協定の効果的な実施並びに新ラウンドの不可分な一部として、「合意済課題(ビルト・イン・アジェンダ)」としてマンデートを与えられた農業及びサービスを含む交渉の重要性を強調した。これに加えて、非農産品関税の更なる自由化、非関税障壁の除去、貿易円滑化及び政府調達機会の拡大は、より広い分野で市場アクセスを向上させ、全ての参加国に実質的な利益をもたらすであろう。WTOは、また、世界経済及び社会の変化するニーズに引き続き十分に対応していかなければならない。閣僚は、将来の貿易交渉において環境問題が適切に考慮されることを含め、マラケシュにおいて合意されたとおりWTOが持続可能な開発に貢献することが極めて重要と考える。シンガポールにおいて設定された「貿易と投資」及び「貿易と競争」に関するWTO作業計画は建設的なものである。シアトル第3回WTO閣僚会合の準備過程において、これら作業計画の結果は、同閣僚会合に提出される、規則に基づく多角的貿易体制を強化するために望ましい適切な勧告に関するコンセンサスを築く基礎として、WTO一般理事会に提出されるべきである。
12.閣僚は、国際的に認知されたコア労働基準の遵守に対する支持を新たにした。閣僚は、保護主義的な目的のために労働基準を使用しないことを再確認した。閣僚は、新しい「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」を推進するILOの作業を歓迎した。閣僚はILO、WTO及びOECD事務局間の協力が継続されることを支持し、加盟国内及び加盟国間において、関連する問題についての広範な理解を促すことの重要性を強調した。閣僚は、良い統治と共に、労働の権利の尊重並びに貿易及び投資の自由化を促進することにより、それぞれが全体的な生活条件の向上に貢献することを認識した。
13.閣僚は、WTO体制の機能におけるより高い透明性と明確性を確保することの重要性を強調した。市民社会との活発かつ積極的な意志疎通と協議は国民が自由化の利益と課題について理解するために極めて重要である。閣僚は、多角的体制及び特に将来のWTOの交渉を支援するOECDの重要な分析作業を支持した。閣僚は、OECDに対し、国民の議論を啓発するため、その作業結果がより広い人々に利用可能となるよう奨励した。
14.閣僚は、国際的な造船市場における正常な競争条件の実現のため、また、その他の国がOECD造船協定の締約国となることを慫慂するために、当該協定の全ての署名国に対し早期批准を促した。OECDは、造船市場の透明性を高める作業を継続すべきである。
15.閣僚(注)は、有害な租税慣行に関するフォーラムの創設、フォーラムの付託事項の実施にあたっての進展を歓迎し、次回閣僚理事会会合において、タックス・ヘイブンの特定に関する報告を受理することを期待する
(注)「有害な租税競争:新たなグローバルな問題」報告書参照。
16.閣僚は、いかにして、反資金洗浄システムの有効性を損なうことなく、同システムが租税関連の犯罪に対処するのに効果的に貢献できるのかを探求するためにOECDと金融活動作業部会との間で開始された対話も歓迎する。
17.電子商取引は、世界経済の成長と雇用に関して多大な機会を提供する。1998年10月にオタワにおいて開催された閣僚会議において合意された電子商取引に関する「OECDの行動計画」は、電子商取引の経済的及び社会的な影響についての理解を深めるとともに、消費者保護、プライバシー及び安全性、コミュニケーションのためのインフラ、電子認証、並びに租税に関する更なる政策的議論と技術的分析のための基礎を提供する。閣僚は、民間部門を含む市民社会及び他の国際機関との協力的アプローチを維持することの重要性を強調し、また、進捗状況を報告し、優先課題を評価するフォロー・アップのための会議が1999年10月に開催されることを歓迎した。
18.閣僚は、輸出信用アレンジメントの参加国がウルグアイ・ラウンドにおいてマンデートを与えられた農業に関する了解についての合意に未だ達していないことを遺憾とした。閣僚は、参加国が努力を強化し、この了解を迅速に、可能であればシアトル会合までに完了し、次回閣僚理事会会合に報告するよう、今一度、強く求めた。閣僚は、公的支持を受ける輸出信用との関連で「大規模プロジェクトについての環境情報の交換に関するOECD合意」に向けての進展を歓迎し、また、共通のアプローチを強化するために作業を継続し、次回閣僚理事会会合において進捗状況を報告するよう求めた。
19.農業は、なお極めて重要である。農業政策改革において進展がみられたが、更なる改革が必要である。助成及び保護の水準は全般的になお高く、農業に関する貿易紛争及び緊張が継続しており、また、この分野は開発途上国にとっての重要な関心分野である。閣僚は、1998年3月に農業大臣会合において合意され、また、同年4月に閣僚理事会において留意されたとおり、農業政策の改革のための、一連の共通の目標及び政策原則を実施するための努力を継続することに合意するとともに、この分野の多面的機能という特性、農業食糧政策が重点的であり、透明で、費用効率的であることを確保し、かつ生産及び貿易の歪曲を回避することを確保する必要性、及び根本的改革をもたらすように助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという長期的目標について認識した。
20.漁業資源の効果的かつ持続可能な管理及び資源管理と貿易との関係について、時宣を得た国際的な合意及び行動が求められている。閣僚は、FAO(食糧農業機関)の「漁獲能力の管理に関する国際行動計画」を歓迎し、OECDが現在進めている過剰漁獲問題を含む漁業資源の持続性に対する政府の財政支援や他の関連する要因の影響についての検証を支持した。
21.バイオテクノロジーは、多大な機会をもたらすとともに、重大な課題を提供するものであり、また、その影響についての公共の議論を惹起した。閣僚は、国民がバイオテクノロジーの進歩のもたらす利益を享受することを可能にしながら、人の健康及び環境を保護することの重要性を強調した。科学的研究は、このプロセスにとって極めて重要である。OECDは、この問題の様々な側面について、来る科学技術大臣級会合及び他のフォーラムにおける議論も含め引き続き検討すべきである。
22 OECDは、早い段階において、コンピューター2000年問題(Y2K)による混乱が世界経済に対しもたらしうる深刻な影響について認識した。閣僚は、政府及び民間部門、特に中小企業の本件に対する注意を喚起するためのOECDの努力を歓迎した。閣僚は、すべての政府、国際機関及び民間部門に対し、2000年問題に対する準備状況についての情報を引き続き共有すること、事後の救済策に高い優先順位を与えること、及び全てのレベルにおける危機管理計画に取り組むことを求めた。開発途上国のニーズに対して特別の注意が払われるべきである。
統治(ガバナンス)
23 良い統治は、多元的な民主主義を強化し、持続可能な発展を促進するために不可欠な要素である。閣僚は、とりわけ、公的部門の管理、贈賄防止、規制改革、コーポレート・ガバナンス、公的生活における倫理上の原則、地方・地域行政に関する作業、及び統治の世界的な進展についての指標に関する現在行われている作業を通じて、加盟国及び非加盟国におけるより効果的、効率的及び透明性のある統治の体制を奨励するOECDの努力を歓迎した。閣僚は、OECDに対し、適当な場合には他の国際機関と協力しつつ、この分野における既存のOECDの作業結果を、関心を有する非加盟国とよりよく共有する「良きガバナンスに関するイニシアティブ」についての提案を検討するよう要請した。閣僚は、更に次回閣僚理事会会合に向けて、このイニシアティブについて進捗報告を求めた。
24.閣僚は、OECDコーポレート・ガバナンス原則を歓迎し承認した。この原則は、OECDの大きな成果である。この原則は、各国の枠組みを評価し及び改善する努力を行う各国政府を支援し、また、民間当事者のための指針を提供することとなろう。この原則は、国際金融システムの強化にも重要な貢献をするだろう。閣僚は、加盟国内におけるこの原則の実施、利用及び、その経験についての情報交換を奨励した。閣僚は、OECDに対し、世界銀行、国際通貨基金(IMF)及び他の国際機関と協力しつつ、非加盟諸国におけるこの原則の実施及び利用を促進することを求めた。閣僚は、OECDが各国の経験及び状況の変化に照らし、適当な時期に、可能であれば2年後、この原則を評価することに合意した。
25.閣僚は、OECD規制改革国別審査が日本、メキシコ、オランダ及び米国について完了したことを歓迎する。バランスがとれ、包括的な規制改革は、消費者及び市民のための費用対効果の良いかつ高水準の保護を促進しつつ、持続的な成長と将来の繁栄への大きな貢献をなすことができる。閣僚は、これらのレビューの検討結果がOECD加盟国及び非加盟国の双方における一層の改革に向けての指針を提供するものと考える。閣僚は、2000年のデンマーク、ハンガリー、韓国及びスペインに対する第2巡目のレビューが成功裡に完了すること、及びレビュー・プロセスがより多くの加盟国に拡大されることを期待する。
26.「外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」が2月15日に発効したことは、腐敗に対する国際的な戦いにおける重要な一里塚である。閣僚は、OECDを通じ、この条約の効果的な実施について積極的にモニターしていく。閣僚は、この条約を批准及び実施していない全ての署名国政府に対し、可及的速やかに、この条約を批准し、また、賄賂の税制上の控除を廃止する「OECD勧告」とともにこれを完全に実施することを強く促す。OECDは、他の国際機関と協力しつつ、贈賄防止条約の目的を世界的に推進すると共に、贈賄及び腐敗との戦いにおける非加盟国との協力を継続する。閣僚は、OECDに対し、外国の政党に関連した贈賄行為、外国公務員になることが期待される者に対して約束または供与された利益、資金洗浄に関する法制に対する前提犯罪としての外国公務員に対する贈賄、贈賄取引における海外子会社及びオフショア・センターの役割といった問題についての検討を含め、その腐敗に対する戦いを強化する作業を継続するよう要請した。閣僚は、国際貿易規則が腐敗に対する戦いにおいて貢献する役割を有するものであることを認識し、この観点からの更なる分析的作業を奨励した。
非加盟国との関係
27.OECD及び非OECD経済は、急速に統合されつつある世界において益々相互依存的な課題及び機会に直面している。閣僚は、政策対話を深める必要性を強調し、OECD非加盟国との協力を強化するために現在進められている議論を奨励した。
28.閣僚は、多年にわたる広範な非加盟国との互いに有益な協力に基づく非加盟国との特別対話に多くの非加盟国が参加したことを歓迎した。この特別対話は、成長の促進、持続可能な開発と社会の一体性、及び貿易・投資の自由化の利益を如何に享受し共有するか、といったグローバルな政策課題についての共通の理解を醸成した。
29.OECDは、同じ価値観を共有する新規加盟国に対し、選択的であり、高い加盟基準は維持しつつも、開かれた機構であり続ける。閣僚は、スロバキア共和国のOECDへの加盟プロセスが完了することを期待した。
南東ヨーロッパ
30.閣僚は、南東ヨーロッパにおける深刻な状況について、特に同地域の国々への経済的影響に重点を置いて議論した。一貫性のある長期的開発戦略が成功するものであるためには、関係するすべての当事者によるコミットメントが必要である。従って、閣僚は、民主的で平和な、かつ経済的に繁栄する南東ヨーロッパを築くことを目的とした、この地域のための「安定化協定」策定の国際的なイニシアティブを歓迎した。この関連において、閣僚は、世界銀行と欧州委員会によって設立された機能的な調整のためのメカニズムに留意した。
31.閣僚は、移行経済への支援におけるOECDの比較優位及び多大な経験を活用しつつ、OECDが国際社会による努力に積極的に参画し、また、このプロセスを支持することを誓約した。OECDは、同地域において影響を受けた国に対して、マクロ経済、構造、及び社会政策の策定について助言し、必要な法的及び制度的な枠組みの構築を支援し、同地域及び世界経済への統合を促進するにあたって重要な貢献を行うことが可能である。同地域内の国とのOECDの既存の協力プログラムは強化されるべきであり、またOECDは、実際的である場合には、影響を受けた他の国とのプログラムを開始すべきである。
開発
32.閣僚は、OECDの開発パートナーシップ戦略の重要性を再確認し、また、その開発協力政策をパートナーシップの原則及び実践に適合させるために一層の進展を図る必要があることを認識した。閣僚は、援助協調を改善するために多国間機関との対話が強化されたこと、及び国際的な開発目標に関する国際連合及び世界銀行との共同作業を歓迎した。これらの目標を達成するためには一層の政策の一貫性が極めて重要である。閣僚は、貿易、投資及び開発に関する報告に留意し、また開発途上国に対し自らの政策枠組みが与える影響について一層考慮するべくOECDで引き続き協力することに合意した。OECDは、本分野における分析的作業を行い、報告するであろう。
33.閣僚は、特に最貧国のために、近年の政府開発援助水準の低下傾向に対応して、実質的な量の援助を維持し、また、このような援助の質を改善することの重要性を強調した。閣僚は、後発開発途上国に対する援助のアンタイド化に関する合意を達成するための条況が整わなかったことを遺憾に思った。しかしながら閣僚は、援助のアンタイド化のための原則と方法に関し、OECDにおいて1998年以来達成された進展に留意し、合意されたマンデートに対応し、「勧告」を完成させるための更なる努力が払われることを奨励した。
34.OECDは、世界経済における分配された成長と繁栄を追求する中で重要な役割を果たしている。閣僚は、OECDの近年における改革努力を認識し、OECDがこのような努力に基づき強化し発展することを期待する。大幅な予算削減が完了し、閣僚は、今後数年間のOECD活動のための財政的安定という目標を支持した。閣僚は、この財政的安定が達成されるためには、年金財源問題に関する包括的な解決が不可欠であることについて合意した。
35.次世紀の政治的、経済的及び社会的な課題は、情報を有し、積極的に参加する国民を必要としている。閣僚は、政策決定における透明性と明確性を確保するためのより重要な責任を認識し、市民社会との意志疎通及び協議を改善するという重要な課題について、OECDが各国政府を支援することを期待した。
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