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経済


2004年OECD閣僚理事会議長サマリー(仮訳)


2004年5月


:この文書の原文は英語なので、より正確な内容をお調べの方は、OECDのウェブサイトの原文をご参照下さい。)


経済見通し
  1. 閣僚は世界経済における強固な景気回復を歓迎した。この景気回復は米国及びアジアにより導かれた。そして、閣僚は、ユーロ圏が追随することに自信を示した。低いインフレ率と以前に増して非常に良い民間部門のバランスシートとともに、経済ファンダメンタルズは、将来の経済成長にとって健全なものである。しかしながら、この景気拡大を健固かつ持続可能なものにするために、適切な政策が求められる。

  2. 閣僚は、最も回復が進んでいる国においては、金利の引き上げが必要であることを認識した。現在低金利であることを考慮すれば、この認識は市場を混乱させるべきではない。引き締められた金融スタンスは、強く持続する成長に資する低いインフレ率を保護する。日本や幾つかのユーロ圏諸国では、金融緩和が引き続き必要である。

  3. 殆どの国は財政上の整理統合の必要性を認識した。拡大的な財政政策は景気後退を乗り切る助けになるものの、高齢化社会の進展に伴う公的支出面でのプレッシャーを考慮すれば、財政赤字を今減らす必要がある。閣僚は、財政上の整理統合が回復の具合に依るべきか、整理統合を遅らせることによって構造改革が緩和されるかについては見解が分かれた。

  4. 殆どの閣僚が、構造改革の必要性、特に欧州大陸と日本における構造改革の必要性については認識した。

  5. 閣僚は、石油価格に由来するリスクを含む多くのリスクを特定したが、石油価格の指標(weighted index)は深刻に上昇してはいないことから、それらリスクは管理可能であるとの自信も示した。

  6. 閣僚はアウトソーシングに関し議論した。アウトソーシング自体は国際統合に向けた継続的なトレンドの一部であり、アウトソーシングはより高い生産性そして真の収入へつながるものであり、歓迎されるべきことである。しかしながら、多くの閣僚はOECDがこの問題にかかる恐怖を取り去ることができると考えている。

  7. 成長を促進し、構造改革政策に関する調査を改善するとの文脈で、多くの国は、ユーロ圏諸国の経済サーベイが、欧州連合以外のOECD加盟国に対する経済審査と類似した包括的なやり方で政策をレビューすべきであるとの要求を支持した。これらの国は欧州委員会から近い将来回答があることを期待している。

人口変動時代における成長強化
  1. 閣僚は、人口の高齢化は人々がより長く健康な生活を送るという点において望ましいものであるということを認識する一方、その結果として経済成長と健全な予算の維持には政策調整が極めて重要であることを強調した。多くの国においてなすべきことは多いものの、残された時間は少ない。

  2. 閣僚は、多くの場合逆効果的な政策に左右されている退職パターンを、変更しなければならないことを認識した。多くの社会において改革が行われているが、殆どの国が年金制度改革及び給付金制度改革に一層取り組む必要がある。年金支給レベルと退職年齢は、寿命とリンクさせることによって年金制度をより強固なものにするだろう。

  3. 年金制度及び他の給付金制度が、労働継続への意欲をそぐものとなってはいけないとの一般的な合意があった。しかし、税優遇措置は、退職時期を遅らせることについてさらに活用されるべきであるという点については意見が分かれた。

  4. 幾つかの国が、多くの高齢労働者供給を吸収するのに問題はほとんどないと予測したのに対し、その他の国は、高齢労働者供給の吸収には、よりダイナミックな労働市場が必要であると述べた。この問題に関して、多くの国は生涯教育を通じた技術レベルの向上が非常に重要であることに留意した。何人かの閣僚は、雇用者及び高齢労働者の態度はこれら改革を成功させるために変化する必要があると強調した。

  5. また、高齢化社会においては、若者、女性、障害者といった社会的弱者の就職率向上により大きな努力を払う必要がある。この点につき、多数の閣僚は、移民をよりうまく受け入れていくことの必要性を強調した。これは経済的な感性を向上させ、社会目標の達成の助けにもなる。

  6. 多くの閣僚が、退職後の収入源はより多様化されなければならないと考えていた。民間年金貯蓄は、幾つかの国においてより一層重要な役割を果すであろう。しかし民間年金貯蓄は、その対象範囲が広範かつそのリスクがより良く理解されるよう、適切な規制が必要である。

  7. 閣僚はより高い生産性が高齢化社会における全体的成長維持を助けるものであることを認識した。この点に関して、何人かの閣僚は、生産性強化や競争的なグローバル市場における成長維持に資する人的資本、技術革新及びビジネス・ネットワークを含む「知的資産」の重要性を強調した。閣僚は、知的資産の役割、知的資産が経済パフォーマンスに果す重要性に関する理解の促進を目的とした作業プログラムを提案した。この共同提案は、理事会において検討されることとなった。
保健財政
  1. 保健及び財務担当閣僚は、保健医療への需要は、長寿化成功の結果として、今後も増え続けるであろうことに留意した。しかしながら、閣僚は、この増大する需要及び現代医療における更なる技術進歩は、公的部門の予算に対する圧力を増やすであろうことにも留意した。なぜならば、焦点は貨幣単位当たりの効率性を最大化することに当てられるべきであるからである。

  2. 多くの閣僚は、保健医療への公的支出には若干の増加の可能性があることを認識した。しかしながら閣僚はまた、いかなる追加的費用についても費用効率性を確保する必要性についても合意した。多くの国では一般家庭が保健医療の費用をより多く支払うことが可能であるとしても、低所得の家庭や慢性的な病人が今後も引き続き保健医療にアクセスできるよう確保することが重要である。更に、閣僚は各個人がそれぞれの健康についてより大きな責任を負うべきである点に留意した。

  3. 保健医療制度はより長い期間にわたり財政的に持続可能であるべきである。この文脈で、財政シーリングなどのマクロ経済面でのコントロールが多くの国においてうまく費用を制御してきた。しかしながら、これらの措置の実施にあたっては、政府は、保健医療の効率性及び質に対するネガティブな影響が最小化するような方法で行う必要がある。

  4. 需要の封じ込め及び財政面での持続可能性を確保する上での共同負担方式及び私的健康保険の役割に関する閣僚の見方は異なっていた。ある閣僚は、私的健康保険は消費者に対してより幅広い選択を提供し、公的支出の抑制に役立ち、より一般的には適切な規制と併用することでより重要な役割を果たすことを主張した。他の閣僚は、私的健康保険が費用の抑制に資することに疑問を提示し、また、その役割の増大自体が全ての人々に健康保険を適用するという公的な目的を脅かすことを懸念した。

  5. 閣僚は、保険制度は国毎に異なっており、安易な解決策は存在しないことに留意しつつ、疾病予防への投資及び保健医療に関する貨幣単位当たりの効率性の増加が、需要と財政費用のギャップを埋めるのを助けることに合意した。この点に関し、閣僚は、予防措置の効率性を強化するための代替的な財政戦略について議論した。情報収集と分析と政策評価を通じて、OECDは加盟国を助けることができる。

  6. 閣僚は、保健医療システムの良好な機能、健康な国民及び経済発展の間の緊密な関係について留意した。健康な国民は持続可能な経済発展に資することから、公的な保健医療支出は財政面での負担であるのみならず、我々社会の将来の経済社会発展への投資となるものである。

貿易
  1. 閣僚は、多角的貿易体制の代替は存在しないこと、ドーハ開発アジェンダ(DDA)での積極的な成果が多角的貿易体制への信頼を新たにし強化する助けとなるであろうことに合意した。

  2. 閣僚は、今年の7月までにドーハ・アジェンダの鍵となるイシューに関する基本的な枠組み合意に至る決意を有している。閣僚は、これらの合意がカンクンにおける第5回WTO閣僚会議の教訓、及びそれ以来行われてきた作業及び貢献の上に築き上げられる必要があるという見解を共有した。閣僚は、モメンタムが形成されつつあり、開かれた可能性の窓を活用すべきであるとの点に留意した。

  3. 閣僚は、農業改革が進捗のための鍵であることを認識した。励ましとなるシグナルが見え始めているが、バランスの取れた合意が可能な地点に至るためには、7月前に全ての3つの柱(輸出競争、国内助成、市場アクセス)につき多くの作業が行われる必要があることを認識した。

  4. 農業における動きは、非農産品の市場アクセス、サービス、ルール、開発問題といったDDAの他の中核的なイシューにおける進捗をもたらすだろう。

  5. シンガポール・イシューについて、議長は、シンガポール・イシューのうち貿易円滑化についてはDDAの一括受諾の下で多角的交渉が行われるべきであることにつき、WTO加盟国の間で合意が形成されつつあることを感じ取った。他のシンガポール・イシュー(政府調達透明性、投資、競争)については、コンセンサスは、現存の作業部会にこれらイシューを維持する方向に向かいつつあるように見受けられる。

  6. 議論のもう一つの焦点は、「貿易と開発」であり、この分野においてはDDAの開始以来多くの成果が達成されつつあるが、さらなる進捗が必要である。閣僚は、7月にそして最終的なDDAの合意において最貧国の懸念に応える必要があることに合意した。これは、1つの最も重要な分野である。

  7. 最後に閣僚は、今、全ての参加者が政治的意思を具体的かつ断固とした行動に変えなければならず、そのような行動は、7月までのジュネーブにおける技術的作業への起動力となり、世界中の市民の利益のためにDDAを前進させることに合意した。

OECDコーポレート・ガバナンス原則の改訂
  1. 企業と金融市場に対する一般国民の信頼を取り戻し、維持する必要性に照らして、閣僚はOECDのコーポレート・ガバナンス原則の改訂版が最近合意されたことを心から歓迎した。閣僚は改訂された原則を幅広く普及し、積極的に活用するとともに、各国政府と他の関係者との政策対話を継続させることを勧奨した。

持続可能な開発
  1. 閣僚は持続可能な開発に関する3ヵ年プロジェクトの成果を歓迎した。この成果において特筆すべきは、多くの国において費用対効果の高い手法を一層活用することにより、政府が環境保護に関し、現在と同じ成果をはるかに低いコストで達成できることを示した。言い換えれば、追加的費用なしで、もしくはごくわずかな追加的費用のみで、環境面でのより野心的な目標が達成できたはずであった。この潜在的な便益が追求されてこなかった理由の一つには、政策決定において環境と経済の問題が統合的に検討されていないことが挙げられる。閣僚は、OECDの持続可能な開発に関する更なる作業についての提言を支持した。

金融活動作業部会(FATF)
  1. 閣僚は、FATFが過去数年をかけて行った、マネーロンダリング及びテロ資金対策の重要な取組、特に40の勧告の改訂及び8の特別勧告の発表といった重要な成果を賞賛した。閣僚は、FATFの同僚がその重要な作業を一層掘り下げ拡大させていくべく、作業部会のマンデートをさらに8年間延長するという決定を歓迎した。

OECD改革
  1. 閣僚は、拡大及び非加盟国との関係強化のための戦略、特定の場合における新たな意思決定方式の確立、OECD予算の各国による分担率算定方式の改訂の決定を含む、OECDの将来の役割及びガバナンスのあり方についての多くの改革措置が最近合意されたことを歓迎した。

  2. 閣僚は事務総長に対し、次回会合において、合意された今後の作業の実施に関する報告を行うよう招請した。閣僚は、強化された評価プロセスにより明らかになる優先順位の高い作業へ予算を再配分していくことを支持した。何人かの閣僚は、OECDの予算安定化の重要性を強調した。また、いくつかの国は、OECDに対し、そのグローバルな影響力を高めるため、非加盟経済との作業に対するより戦略的なアプローチを策定するよう要請した。最後に、多くの閣僚は、OECDに対し、他の国際機関と協力し、中東及び北アフリカ諸国と共に同諸国の良好なガバナンス、投資、経済発展を促進するために取り組むことを勧奨した。



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