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経済


OECD「閣僚理事会」
第43回OECD閣僚理事会(概要)

平成16年5月

 5月13日、14日、パリにて開催された第43回OECD閣僚理事会には、日本により、荒井外務政務官、中山経済産業大臣、伊藤内閣府副大臣が出席しました。議長はメキシコのデルベス外務大臣、カナレス経済大臣、ヒル大蔵大臣が就任し、副議長国は、オランダとアイスランドが務めました。



(1)経済の見通し

12日に出されたOECDのエコノミック・アウトルックは、本年のOECD諸国全体の経済成長率を3.4%、日本についても3.0%と高い成長率を予測しているが、このような中で本年の閣僚理は開催された。

今次閣僚理事会において世界経済は強固な景気回復を示しているとの認識で一致し、原油高騰のリスクが指摘されたがそれらは管理可能であるとして深刻な問題たり得ないとの認識が示された。

他方、OECD全般として高齢化社会の進展に伴う財政赤字の拡大に対し懸念が表明され、優先的に取り組むべき課題として指摘された。

同時に欧州諸国と日本における構造改革の必要性も指摘された。

さらに米国等で顕著になりつつある所謂アウトソーシングにつき、積極的な議論が行われ、グローバル化におけるアウトソーシングは不可避の現象であり、生産性の上昇及び所得水準の向上に繋がるとの前向きな面が強調された。

同時に本件に伴う短期的な社会的コストの増大を抑えるために構造改革の推進の重要性が改めて強調された。



(2)少子化高齢化社会における成長強化と保険財政のあり方

OECD諸国が共通の問題として直面する少子高齢化と財政赤字の拡大という問題につき、掘り下げた議論が行われた。

議論の結論として、高齢労働者が末永く働くことが重要であり、これに逆行する年金制度は是正されるべきであること、また、若者、女性、障害者といった社会的弱者に対しては生涯学習を同時に行いながら、就職率向上に真剣に取り組む必要があること、また、移民の果たす役割につき前向きな評価を行うべきであるとの評価も多数出された。

また、民間年金制度の果たすべき役割についても前向きな意見が多数出され、そのリスクをより良く理解せしめた上での積極的な活用を主張する意見も見られた。

なお同時に、増大する医療保険をいかにコントロールするかにつき、保健大臣の間で議論がなされた。財政シーリング等のマクロ経済面でのコントロールにより、費用を制御してきた国もあるとの指摘がなされた。さらに、今後増大が予想される保健医療に対する財政支出を抑制するために、効率的な医療を追求する必要性が指摘された。

この点で、公的支出の抑制の見地から私的健康保険の活用についても前向きな検討が必要との意見もあったが、これに対し疑問を提示し私的健康保険が公的な目的を脅かすとの懸念を表明する意見もあった。この面についてのOECDの知的貢献の役割は大きいとのコンセンサスがあった。

また、我が国より生産性向上に資する「知的資産」に関する作業を提案し、各国の賛同を受け、今後理事会で検討を進めることとなった。



(3)貿易

多角的貿易体制の重要性が強調されると共に、7月までにドーハ開発アジェンダ(DDA)の鍵となるイシューに関する基本的な枠組み合意を形成する決意が確認された。これらイシューとして、多くの参加国が農業、非農産品市場アクセス、シンガポール・イシュー及び開発を指摘した。

農業改革が進捗のための鍵であり、農業における動きは、非農産品の市場アクセス、サービス、ルール、開発問題といったDDAの他の中核的イシューにおける進捗をもたらすことが指摘された。

シンガポール・イシューについて、貿易円滑化につきDDAの一括受諾の下で多角的交渉が行われるべきことに合意が形成されつつあること、政府調達透明性、投資、競争については、現存の作業部会にこれらイシューを維持する方向に向かいつつあることが確認された。

開発についてもさらなる進捗が必要であり、7月にそして最終的なDDAの合意において最貧国の懸念に応える必要があること、開発が最も重要な分野の一つであることに合意した。



(4)OECD改革及びその他の作業に関する報告

今般の閣僚理事会において、歴史的とも言える改革のパッケージが承認された。その内容は、予算の配分等に際しては分担率に基づく加重投票制の導入、増大する加盟申請国に適切に対応するための拡大・アウトリーチ戦略が承認され、また我が国の長年の懸案であった分担率改訂についても承認がなされた。

さらに我が国より、中東・北アフリカ諸国の安定のためにOECDの持てる知見を積極的に活用すべきと主張し、これら諸国のパブリック・ガバナンス及び投資促進のための対話の必要性を強調し、米・英の賛同もあり、議長サマリーにこの点が盛り込まれた。今後、理事会での議論を経て、プロジェクトとして推進されていく見込み。

同時にこれまで作業が行われてきた「持続可能な開発プロジェクト」及び「コーポレート・ガバナンス原則」改定作業の結果が報告された。各閣僚より両者に対し高い評価が与えられると同時に、前者についてはさらなる作業に関する提言が支持され、また後者についてはその成果の普及を図るべきであるとの指摘がなされた。



(5)FATF

これまでFATF(金融活動作業部会)はマネーロンダリング、テロ資につき重要な活動を行ってきており、今回本件に関する閣僚会議が開され、本作業部会の活動を新たに8年間延長すること及び改訂された40の勧告及びテロ資金対策に関する8の特別勧告の真剣な取り組みを推進していくとの決定がなされた。




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