(1) 概要
リトアニアは1991年にソ連からの独立後、民営化等の経済改革を推し進め、市場経済体制推進を図っている。他のバルト諸国に比べその進展が遅れていたが、国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)成長率は1994年にプラスに転じた。1998年のロシア危機の影響による一時的なマイナスはあったが、その後、堅調な成長軌道に乗っている。インフレ率も1996年に15%と大幅に低下した後は低く維持され、2003年には-1.2%とデフレに転じている。
一方では、緊縮財政による失業率は2000年以降、深刻な問題となり年率10%を超え続けていたが、2001年12.5%を境に失業率は減少傾向にある。リトアニアは、農業、繊維、加工食品、木材加工等が主要産業である。
貿易面では、1995年1月に、EUとの自由貿易協定が発効し、西側との貿易が年々増加傾向にある。現在の主要貿易相手国はドイツ、英国、ロシア等となっている。
2004年5月には欧州連合(EU:European Union)加盟を達成したが、今後は、いかに国民所得の向上を図 るかが課題である。
(1) リトアニアに対するODAの意義
我が国は、リトアニアが民主化、市場経済化へ積極的に取り組んでいること、我が国との関係も良好で、かつ、近年着実に進展していることを踏まえ、非ODAスキームによる支援も併せ実施してきている。
(2) リトアニアに対するODAの基本方針
今後は、EU加盟(注:2004年5月に加盟)を達成したことを踏まえ支援分野の絞り込み等を行っていく必要がある。
音楽、舞台芸術などが豊かな同国へは、音楽アカデミーやバレエ劇場への協力など、文化協力について援助需要が引き続き存在しており、支援を行っていく。
(1) 総論
2003年度のリトアニアに対する無償資金協力は0.44億円(交換公文ベース)、技術協力は3.00億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力2.54億円(交換公文ベース)、技術協力10.21億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 技術協力
技術協力としては、省エネルギー、貿易促進、財政金融等に関する研修員受入などを実施した。
(3) 無償資金協力
無償資金協力としては、リトアニア国立博物館への調査・保存機材供与を実施した。これは、リトアニアにおける考古学・民俗学の中心機関であるにも関わらず、同博物館の厳しい財政状況により持ち込まれる考古学遺物の保存完了率は10%に留まるという現状を改善するために実施されたものである。
リトアニアでは、我が国の支援と、日本文化に対する真摯な受け止めかたがなされ、全国的にテレビや新聞等でとりあげられる等、我が国協力への評価は非常に高い。