[13]マルタ

1.マルタの概要と開発課題

(1) 概要
 マルタは1964年に英国から独立し、1974年に共和制に移行した。人口はわずか39万人だが、地中海地域における交易の重要な位置を占める。
 1987年以降、親西欧、自由主義経済を推進する国民党が政権を担当していたが、1996年の総選挙で国民党は消費税導入に対する有権者の反発を受け労働党に敗北した。しかし、1998年の総選挙で再び政権に復帰し、欧州連合(EU:European Union)加盟を最大の政策目標として、経済の自由化、公営企業の民営化、産業再編・合理化、輸出復興、外国資本の誘致等を推進してきた。その結果、マルタは2004年5月1日EU加盟を果たしたが、競争力のある産業構造構築、農業及び運送分野の強化に向けて更なる努力が求められている。
 マルタは、国土が狭く、天然資源も乏しく、主要な物資を輸入に依存している。造船・船舶修理、観光が伝統産業であるが、近年は半導体など産業の多様化、高度化に努めている。
(2) 「貧困・社会的弱者対策計画2004-2006年」
(イ) 経済:超過財政赤字の削減、雇用創出、公的資金の持続的保証
(ロ) 労働市場:特に女性に焦点を当てた雇用の増大
(ハ) 教育:非識字率への取組、生涯教育及び若者層に対する大学進学の奨励
(ニ) 社会保障:福祉制度の強化、住宅事情改善

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数


2.マルタに対するODAの考え方

(1) マルタに対するODAの意義
 1987年の国民党政権成立以来、両国関係は友好に推移しており、今後も安定した協力関係を維持する意義は大きい。また、マルタでは産業の多様化・多角化に取り組んでいることから、同国のかかる取組を支援することは、ODA大綱の重点課題の一つである「持続的成長」の観点からも、意義が大きい。
(2) マルタに対するODAの基本方針
 マルタは比較的高い技術水準(特に造船技術等)を有し、かつ所得水準も高いことから、技術中心に援助を実施している。
 2004年5月のEU加盟を受けて、支援分野等を一層絞り込む必要がある。
(3) 重点分野
 これまで都市衛生、電気通信等の研修員の受け入れ、投資、電気通信等の専門家の派遣、造船関係の調査団派遣等を行っている。

3.マルタに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のマルタに対する援助実績はない。2003年度までの援助実績は、技術協力3.99億円(JICA経費実績ベース)である。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対マルタ経済協力実績

表-6 諸外国の対マルタ経済協力実績

表-7 国際機関の対マルタ経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図


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