1999年11月に世界貿易機関(WTO:World Trade Organization)への加盟、2004年に欧州連合(EU:European Union)、北大西洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)加盟を果たし、政治、経済、安全保障面で欧州への統合を加速させている。
経済面では、農業の他、木材加工、繊維、加工食品、軽機械などの製造業が主要産業である。一方、近年は運輸・通信、金融等を中心に経済の拡大が続いている。エネルギー関連ではオイル・シェールを産出し、一定の自給力を有している。
独立後に急落した国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)成長率は1995年よりプラスに転じ、1997年には10.6%と大幅増を記録した。1998年のロシア危機の影響で一時的にマイナス成長となったが、2000年の段階的税制改革が効を奏して成長率は回復した。財政収支の均衡や通貨の安定等を背景とし、1999年にインフレ率は3.3%にまで低下した。通貨クローンの安定は投資家の信頼を得て、国営企業の民営化も順調に進んでいる。
従来ロシアに大きく依存していた貿易も、近年は北欧諸国を中心とした西側諸国との貿易の比重が高まり、2003年の対ロシア貿易は全輸出の3.9%、全輸入の8.6%となっている。経済面での近年の懸案として、生産性を上回る急激な賃金上昇があり、2000年以降は年10%以上の上昇が続いている。また、貿易収支の大幅赤字を外国からの直接投資が一段落した後、どのように解消し経済発展を図っていくかが喫緊の課題である。