我が国の欧州に対する2003年の二国間援助は、約2億1,547万ドルで、二国間ODAに占める割合は3.6%である。
欧州地域は所得水準が高い国が多いため、環境分野の研修員受入、専門家派遣等の技術協力を中心に援助を行っている一方、疲弊した経済インフラの再建のため円借款による援助を行っている。
一方、旧ソ連崩壊後の混乱により開発の遅れたウクライナ、モルドバ、旧ユーゴ紛争により経済に大きな影響を受けたボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・モンテネグロ(コソボ地域含む)、マケドニア等の西バルカン地域の国々に対してはインフラ整備への無償資金協力なども活用した支援を行っている。
円借款については、インフラ整備だけではなく環境保全に資する資金供与も前向きに検討することとしている。2003年度にはマケドニアの「ズレトヴィッツァ水利用改善計画」に約97億円の資金供与を決定したが、これは周辺住民に衛生的な飲料水を供給すると伴に、周辺地域での農業のための灌漑用水を提供することを目的としている。また、灌漑対象地域の土壌汚染の状況を調査する技術協力(開発調査)を併せて提供し、マケドニアの土壌汚染対策能力向上にも同時に資することを目指している。
無償資金協力は、旧ユーゴ諸国を中心とする西バルカン地域並びにウクライナ及びモルドバに対し、人道・復興支援として、保健医療(医療機材供与等)などの分野に支援を行っている。
技術協力については、市場経済化支援、環境保全支援といった分野への専門家派遣、技術協力プロジェクトの実施などの協力を行った。
市場経済化支援については、2003年度は、EU加盟に向けて市場経済化改革を進めるブルガリアに対するビジネス人材育成技術協力プロジェクトの実施、今後持続的な経済発展を目指すボスニア・ヘルツェゴビナ等への投資促進アドバイザーの派遣などを行った。また、我が国が支援を行ったポーランド・日本情報工科大学においては、ウクライナに対する三角協力が行われている。
環境保全支援については、ハンガリーへの環境工学技術者育成に係る技術協力プロジェクトの実施などを行った。