[7]ナウル

1.ナウルの概要と開発課題

 1968年、オーストラリア、ニュージーランド、英国の三国を施政権者とする国連信託統治下より南太平洋初の共和国として独立した。2003年3月、ドウィヨゴ大統領が急逝して以降、任期満了に伴う総選挙や内閣不信任動議等のため政権が次々と交代し、2004年6月にスコティ大統領が就任した。スコティ大統領は、政情安定化をねらい、非常事態宣言を発出し、議会を解散させ、10月の総選挙で勝利し、大統領に再選された。
 外交面では、地理的近接性と歴史的背景から、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ他の太平洋島嶼国との結びつきが強い。2001年9月、ナウル政府はオーストラリアからの要請に応じてオーストラリア領海で庇護された庇護申請者の受入を行っており、その見返りとして経済援助を受けている。また、2002年にはそれまで国交を有してきた台湾との関係を断絶し、中国と国交を樹立した。
 経済面では、かつて燐鉱石採掘によって財政が潤っていたが、燐鉱石の枯渇に伴い、財政は逼迫している。燐鉱石に代わる収入源の確保及び燐鉱石採掘で荒廃している国土の回復を、財政再建と平行していかに進めるかが緊急の課題である。政府は公務員の削減、給与凍結、海外資産の整理等経費節減を実施しているが、財政再建は困難を極めている。このため、2004年8月にサモアで開催された太平洋諸島フォーラム(PIF:Pacific Islands Forum)総会において、スコティ大統領はナウルに対する支援を要請した。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ナウルに対するODAの考え方

(1) ナウルに対するODAの意義
 かつて産油国並みの所得水準を誇っていたことから、援助対象となっていなかったが、事実上国家財政が破綻した状態にあるナウルの現状に鑑み、他のドナー国と協調しつつ財政再建を支援していく必要がある。
(2) ナウルに対するODAの基本方針
 2003年5月の第3回太平洋・島サミットで採択された「沖縄イニシアティブ:より豊かで安全な太平洋のための地域開発戦略及び共同行動計画」において、我が国は、安全保障、環境、教育、保健、経済成長の5つを太平洋島嶼国地域における重点政策目標として表明した。
(3) 重点分野
 現在、ナウルの国家財政は事実上破綻した状態にあり、国民の所得水準も大幅に低下していると見られる。同国の財政再建状況等を見極めながら、下記分野を中心に支援を検討していく。
(イ) 環境
 環境保全体制の強化、限られた資源の持続的利用。
(ロ) 水産
 港湾整備等。
(ハ) 人的資源開発
 政府職員の行政能力向上。

3.ナウルに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のナウルに対する援助実績は技術協力0.04億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力6.75億円(交換公文ベース)、技術協力1.67億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 技術協力
 2003年度には、若干名の研修員受入を実施した。

4.ナウルにおける援助協調の現状と我が国の関与

 我が国は、現地ODAタスクフォースにより、援助国会合などの場を利用して、主要援助国であるオーストラリア他との意見交換を行っている。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ナウル経済協力実績

表-6 諸外国の対ナウル経済協力実績

表-7 国際機関の対ナウル経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図


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