[5]ツバル

1.ツバルの概要と開発課題

 ツバルは、1978年に独立し、英国女王を元首とする立憲君主国となった。2002年7月、任期満了に伴う総選挙が実施され、ソポアンガ議員が首相に選出された。2004年8月、内閣不信任動議が可決されたが、これに伴い辞職したソポアンガ首相は、10月に実施された補欠選挙で再選を果たした。新政権の首相にはトアファ選挙管理内閣首相が就任し、ソポアンガ氏は副首相兼通信・運輸相兼事業・エネルギー相に就任した。
 外交面では、オーストラリア、ニュージーランド及び太平洋島嶼国、旧宗主国である英国との関係が深い。我が国との関係では、政府間漁業協定が1986年に発効するなど、漁業分野をはじめとして友好関係を構築している。また、近年は我が国をはじめとするアジア諸国及び国連等国際機関との関係強化に努めている。ツバルは、各種国際問題に関し、我が国と立場を同じくする友好国である。2000年9月には国連への加盟が認められ、2001年より常駐代表を派遣している。
 海抜の低いツバルにとって、地球温暖化に伴う海面上昇問題が最大の関心事の一つであり、1998年12月の気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)に代表を派遣し、各国に本問題の重要性を訴えるなど、小島嶼国の代表格として精力的に働きかけを行った。
 経済面では、ツバルは国家財政の収入源を、入漁料、海外の労働者よりの本国送金、ツバル信託基金(旧宗主国である英国からの財政援助の終了に備え、ツバルの財政を支援するために1987年に設立された基金。拠出国はツバル、オーストラリア、ニュージーランド、英国、韓国、我が国)の運用益、ドメインコード(インターネットのドメイン名に使用される国別コード)「tv」の使用権収入等に依存している。しかし、近年では、入漁料の減少、隣国ナウルの経済破綻に伴う海外労働者の帰国、米国をはじめとする国際経済の低迷に伴う信託基金運用益の減少、ドメインコード使用権収益の減収等により政府歳入が減少の一途を辿っている。ツバル政府は、政府支出の抑制、輸出事業の開拓、インフラ整備、教育の充実等を重点政策としているが、資源に乏しく、有望な産業のないツバルにとっては、経済的自立は非常に困難な状況にある。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ツバルに対するODAの考え方

(1) ツバルに対するODAの意義
 我が国は、ツバルに対する主要援助国の一つであり、後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)である同国の経済・社会基盤の整備に大きな役割を果たしている。このことは両国の友好親善関係の強化・促進に大きく貢献している。
(2) ツバルに対するODAの基本方針
 2003年5月の第3回太平洋・島サミットで採択された「沖縄イニシアティブ:より豊かで安全な太平洋のための地域開発戦略及び共同行動計画」において、我が国は、安全保障、環境、教育、保健、経済成長の5つを重点政策目標として支援を表明した。
(3) 重点分野
 上述の基本方針を踏まえ、以下の4点を重点分野としている。また、ツバルについては、人口1万人程度の国家規模の小さなLDCであること、海抜の低い小島嶼国であり地球温暖化のため国土が水没する可能性も指摘されていること、及び、海洋資源(水産資源及び鉱物資源)開発に力を入れていること等を念頭に置いて、今後の経済協力について検討する。
(イ) 水産
 (a) 漁業開発
 (b) インフラ整備支援、維持管理能力の向上
(ロ) 環境保全
 (a) 環境保全体制の強化と環境保全啓発教育の普及
 (b) 上下水道施設整備
(ハ) 教育
 教育関連施設の拡充
(ニ) 保健・医療
 医療施設の整備改善

3.ツバルに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のツバルに対する援助実績は、技術協力0.28億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力40.78億円(交換公文ベース)、技術協力10.66億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 過去の援助の例として、2002年度には「離島港湾荷役機械供与計画」や「ヌクラエラエ島給水施設整備計画」など4件の草の根無償資金協力を行った。2003年度の実績はない。
(3) 技術協力
 研修員受入を中心に協力を実施しており、2003年度には研修員受入のほか、船舶保守・整備の専門家派遣も行った。

4.ツバルにおける援助協調の現状と我が国の関与

 我が国は、現地ODAタスクフォースにより政府・ドナー間会合等の場を利用して、主要援助国であるオーストラリア、ニュージーランド他と積極的に意見交換を行い、必要な調整や効率的な援助の実施に努めている。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ツバル経済協力実績

表-6 諸外国の対ツバル経済協力実績

表-7 国際機関の対ツバル経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図


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