我が国の大洋州地域に対する援助は、島嶼国の国家規模が小さいこともあり2003年において総額約5,214万ドル、我が国二国間援助全体に占めるシェアは0.9%である。
国際機関を通じた援助としては、我が国は2000年4月の第2回太平洋・島サミットで発表した宮崎イニシアティブに基づき、国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)への拠出金により、女性の所得創出への機会向上等のための地球規模問題(WID:Women in Development)プロジェクトやIT推進プロジェクト等を実施した。また、国連に設置された「人間の安全保障基金」を通じ、保健医療、教育、平和の定着等の分野でのプロジェクトを実施した。さらに、域内での共通の課題に対処するため、PIF事務局を通じ、資金協力を行った。
無償資金協力については、水産、教育、保健・医療、運輸等の分野を中心に供与してきており、2003年度実績は約42.52億円(交換公文ベース)となった。
円借款については、PNGに対して、1978年度から2000年度までに水力発電、道路・空港等のインフラ整備、農業開発及び構造調整のための円借款(合計12件供与。累計総額621.85億円(交換公文ベース))、フィジーに対して1997年度に上水道整備のための円借款(22.87億円(交換公文ベース))を供与した。
技術協力は、教育、水産業、保健・医療等を主な分野として専門家派遣、研修員受入れ、青年海外協力隊の派遣等を行っている。特に近年この地域に対しては、機材供与も含めた感染症対策への協力を進めている。また、水産資源、海底資源、上水道、運輸インフラ等に関する開発調査を行ってきている。
島嶼国が拡散性、狭隘性、遠隔性を克服し、持続可能な開発を進めるためには、運輸・通信手段の充実とともに、大洋州地域を総合的に捉えたアプローチも不可欠である。具体的には、地域協力の枠組みで地域国際機関に対する協力として、1988年度よりPIF(2000年10月までは南太平洋フォーラム(SPF:South Pacific Forum)と呼称)に対し資金協力を行っている(2003年度は約28.9万ドルを拠出)。また、経済的自立を支援するためには民間セクターの育成が不可欠であるため、1996年10月、我が国はSPF事務局(現在のPIF事務局)と共同で東京に「太平洋諸島センター」(PIC:Pacific Islands Centre)を開設し、島嶼国と我が国との間の貿易・投資・観光開発の促進に努めている。