ベネズエラでは、1958年以降、民主的な政治体制が継続している。1999年2月に就任したチャベス大統領は、同年12月の新憲法制定等を通じて、大統領権限の強化、国会の一院制への移行、国家主導的な経済運営等のための体制を構築した。2000年7月の大統領選挙で圧勝した同大統領は、2000年11月に成立した経済社会、財政・金融、行政近代化の分野に関する大統領授権法に基づき、翌2001年末に炭化水素法、土地・農村開発法等、国家経済の根幹に関わる49法を制定したところ、経済界を中心に政府への反発が強まり、2002年4月には国軍主導による暫定政権の発足という政変が発生した。チャベス大統領は2日後に復権し、国民各層と対話に取り組むが、同年12月には、石油セクターを始めとするゼネストが全国規模で行われ、国内経済は悪化した。こうした中、2004年8月、国際投票監視団による監視活動の下で大統領罷免国民投票が実施されたが、罷免反対票が賛成票を上回った結果、2007年1月10日までの任期を全うすることが確認された。
外交面では、ベネズエラは、石油輸出国機構(OPEC:Organization of Petroleum Exporting Countries)の穏健派としてOPEC加盟国間の協調のために努力している。また、中米・カリブ諸国との関係を重視し、サン・ホセ協定及びカラカス・エネルギー協定を通じて、これら諸国に特恵的に石油の供与を行っている。チャベス政権は、米国主導の一極主義を批判し、米国主導の米州自由貿易地域(FTAA:Free Trade Area of the Americas)に反対するとともに、まずは南米統合を推進すべきとの立場をとり、2004年10月にはメルコスールの準加盟国となった。
経済は石油に大きく依存しており、石油部門が国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)の約4分の1、国家予算の総収入の5割、総輸出の約8割を占めている。天然ガス、石炭及び水力のエネルギー資源並びに金、ダイヤモンド、鉄鉱石、ボーキサイト等の資源も豊富である。また、オリノコ川流域に超重質油が豊富に存在する。
1980年代後半までは国民総生産(GNP:Gross National Product)が中南米でトップであったが、その後、原油市況の低迷により経済は状況は悪化した。財政赤字、景気後退、高インフレの中で発足したチャベス政権は、対外債務返済履行、OPEC生産枠厳守による国際石油価格の上昇への寄与、貧困削減、雇用創出などを経済政策として挙げたが、景気は本格的には回復せず、2002年12月からの上記ゼネストは、石油セクターの参加により原油生産が激減した。2003年は石油価格が高水準で推移したにもかかわらず、外貨不足と資本逃避抑制等のため、実質GDP成長率が-9.4%、インフレ率が27.1%、失業率が16.8%(下半期実績)と大きな改善は見られていない。
我が国はベネズエラに対し、主に自動車、機械等を輸出して、アルミ地金(全輸入額の6割以上)、オリマルジョン、鉄鉱石等を輸入している。我が国からの投資は1980年代末に鉄鋼、石油化学、自動車等の分野で大型投資が行われたが、特に2000年以降はベネズエラの政治的混迷の影響もあり停滞している。