[25]バルバドス

1.バルバドスの概要と開発課題

(1) 概要
 1966年に英国から独立した。1994年以降バルバドス労働党(BLP:Barbados Labour Party)が再び政権を担当しており、2003年5月に実施された総選挙の結果、第三次アーサー政権が発足している。
 外交面では、米国、カナダとの関係を最優先に、欧州諸国との友好関係の維持を図る一方、キューバ、中国、韓国、北朝鮮とも外交関係を有している。また、比較的恵まれた経済力を背景に、2003年4月~2005年3月にはカリコム外相理事会議の議長を務める等、中心的な役割を果たし、国連等国際場裡において積極的な外交を展開している。
 経済は農業(砂糖)と観光業に大きく依存している。1993年~2000年まで、観光業、製造業、建設業の伸びを主因としてプラス成長を維持していた。しかし、米国の景気後退に加えて、2001年9月の米国における同時多発テロ事件が、欧米からの観光客に大きく依存している観光業に打撃を与えたこともあり、2002年の実質国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)成長率は-0.4%に落ち込んだが、2003年には、2.5%となっている。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.バルバドスに対するODAの考え方

(1) バルバドスに対するODAの意義
 バルバドスは、カリブ諸国において、強い発言力を有する国である。近年カリブ諸国との間で、政治的な対話を通じて良好な関係を築いており、同国の安定がカリブ諸国の安定に大きく寄与している。同国はカリブ諸国においてバハマに次いで、所得水準が高いが、基幹産業の観光業、農業と水産業は気候に影響され易い不安定な経済状況であるなどの開発課題を抱えているところ、同国の社会経済発表をODAにより側面的に支援することはODA大綱の重点課題の一つである「持続的成長」の観点からも意義は大きい。
(2) バルバドスに対するODAの基本方針
 バルバドスは、人口が約27万人と少ないこと、また所得水準が高いため(1人当たりのGDP:約1万USドル2002年)、小規模な技術協力のみを実施してきている。
(3) 重点分野
 2000年11月8日に東京で開催された第1回日・カリブ共同体(カリコム)閣僚級会合において、策定された「21世紀における日・カリコム協力のための新たな枠組み」に基づき、以下を重点分野としている。
(イ) 良い統治、(ロ) 貧困と削減、(ハ) 環境と防災、(ニ) 中小企業開発、(ホ) 観光・水産・農業、(ヘ) 貿易・投資促進、(ト) 通信技術

3.バルバドスに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のバルバドスに対する技術協力は1.46億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、技術協力6.99億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 技術協力
 2003年度は、行政、通信、環境等の分野における研修員を5名受入れ、防災分野の専門家を6名派遣した。
 また、同国に本部を置くカリブ災害緊急支援機関(CDERA:Caribbean Disaster Emergency Response Agency)に対して、2002年8月より「カリブ災害管理計画」広域プロジェクトを実施し、同プロジェクトに5名の専門家を派遣している。同機関は、今般のハリケーン被害の際に円滑に機能し、カリブ諸国内及び他国との調整等を行った。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対バルバドス経済協力実績

表-6 諸外国の対バルバドス経済協力実績

表-7 国際機関の対バルバドス経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度までに実施済及び実施中の技術協力プロジェクト案件


プロジェクト所在図



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