(1) 概要
1978年に英国から独立した。ドミニカ労働党のピエール・チャールズ首相が、2004年1月に急逝したことにより、ルーズベルト・スリケット教育相が首相に就任した。
外交面では、米国、カリブ共同体(カリコム)諸国との協調を基本方針としている。また、英国、フランス等西欧諸国との関係も重視している。
経済面では、バナナ生産を中心とする農業や石鹸生産等の小規模な製造業が主要産業である。1990年代に入り観光業が高い伸びを示しているが、空港やホテルが未整備のため、関連産業は未発達である。米国の景気後退に加え、2001年9月の米国における同時多発テロ事件が、欧米からの観光客に大きく依存している観光業に打撃を与え、2001年の国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)成長率は、-3.3%に落ち込み、翌2002年、2003年もマイナス成長で推移している。
また、国際通貨基金(IMF:International Monetary Fund)や世界銀行からの融資を受けているため、緊縮財政を強いられている。
我が国との関係は、1993年より開始された日・カリブ協議等を通じ強化されつつある。
(1) ドミニカに対するODAの意義
ドミニカの基幹産業は観光、農業と漁業であるが、天候等の外的要因に大きく左右されるなど、経済基盤が脆弱ある。同国経済の安定のためにODAにより同国の社会経済開発を側面的に支援することは、ODA大綱の重点課題の一つである「持続的成長」の観点からも重要である。
漁業に関しては、昔ながらの漁法を採っているため、非効率的でありかつ全世界的な傾向として資源の枯渇が懸念されている。同国は今後持続的海洋水産資源の利用、観光資源の確保等の観点から環境保全にも関心を有しており、我が国に対して支援を求めている。カリブ地域と我が国は、同じ島国としての立場から漁業分野において共通の利害を有し、国際場裡では、捕鯨問題等連携を取っきており、今後も有効な関係を継続する必要がある。
(2) ドミニカに対するODAの基本方針
ドミニカは比較的高い経済発展が進んでいるため、技術協力を中心に協力を行ってきている。カリブ諸国は、海洋資源分野や人材育成等共通した開発目標を持っており、我が国はカリブ地域の広域に裨益する協力を実施することとしている。
(3) 重点分野
2000年11月8日に東京で開催された第1回日・カリコム閣僚級会合において、策定された「21世紀における日・カリコム協力のための新たな枠組み」に基づき、以下を重点分野とした。
(イ) 良い統治、(ロ) 貧困と削減、(ハ) 環境と防災、(ニ) 中小企業開発、(ホ) 観光・水産・農業、(ヘ) 貿易・投資促進、(ト) 通信技術
(1) 総論
2003年度のドミニカに対する無償資金協力は12.10億円(交換公文ベース)、技術協力は0.66億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力は57.30億円(交換公文ベース)、技術協力は8.85億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
水産無償資金協力で「マリゴット漁港整備計画」を実施し、その他、草の根・人間の安全保障無償資金協力では、「ロゾー青少年職業訓練施設改善計画」、「ポーツマス青少年職業訓練施設改善計画」の2件を実施した。
なお、水産分野では、1993年から沿岸漁業開発計画、ロゾー水産施設改修計画、沿岸漁業開発拡充計画等を実施している。
(3) 技術協力
行政、保健・医療分野などにおける研修員を10名受入れ、水産分野の広域専門家の派遣を行っている。2001年1月に青年海外協力隊派遣取極が締結され、青年海外協力隊員を4名派遣した。