[15]セントクリストファー・ネーヴィス

1.セントクリストファー・ネーヴィスの概要と開発課題

(1) 概要
 セントクリストファー島とネーヴィス島からなる、人口(約4.6万人)、面積(約260km2)とも中南米諸国の中では最も小さい国である。1983年に英国から独立した。外交面では、カリブ共同体(カリコム)諸国及び英国との関係が緊密である。
 経済面では、農業、特に砂糖生産に依存してきたが、近年の経済多角化政策の下で、農産物の多様化、観光業の育成が進められている。1990年代に入り、観光、農業、製造業が高い伸びを示し、比較的高い成長率と低い物価上昇率を維持している。2002年の国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)成長率は、2001年9月の米国同時多発テロ事件による欧米からの観光客数の減少の影響もあり0.5%となったが、翌2003年は3.9%となっている。
 我が国とは1985年に外交関係を樹立した。1993年より開始された日・カリブ協議(カリコム諸国との政策対話)等を通じ、二国間関係は強化されつつある。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.セントクリストファー・ネーヴィスに対するODAの考え方

(1) セントクリストファー・ネーヴィスに対するODAの意義
 セントクリストファー・ネーヴィスは、基幹産業は観光、農業、水産業であるが、いずれも天候に大きく左右されるため、経済基盤は脆弱である。同国経済の安定のためODAにより同国の社会経済開発を側面的に支援することは、ODA大綱の重点課題の一つである「持続的成長」の観点から重要である。
 漁業に関しては、昔ながらの漁法を採っているため、非効率的でありかつ全世界的な傾向として資源の枯渇が懸念されている。同国は今後持続的海洋水産資源の利用、観光資源の確保等の観点から環境保全にも関心を有しており、我が国に対して支援を求めている。カリブ地域と我が国は、同じ島国としての立場から漁業分野において共通の利害を有し、国際場裡では、では捕鯨問題等連携を取っきており、今後も有効な関係を継続する必要がある。
(2) セントクリストファー・ネーヴィスに対するODAの基本方針
 セントクリストファー・ネーヴィスは比較的所得水準が高く(2002年の一人当たりGNI:6,540ドル)、これまで我が国の援助実績は多くないが、技術協力及び無償資金協力を中心とし他支援を実施してきている。
 技術協力では、1987年度以来研修員を受け入れている。無償資金協力では、2000年及び2001年度に「バセテール漁業複合施設建設計画」(総額:9.48億円)を実施したほか、1989、1995及び1998年度のハリケーン被害に対する緊急援助、1992年度に文化無償、1997年度以降は草の根無償資金協力を実施している。
(3) 重点分野
 2000年11月8日に東京で開催された第1回日・カリコム閣僚級会合において、策定された「21世紀における日・カリコム協力のための新たな枠組み」に基づき、以下を重点分野とした。
(イ) 良い統治、(ロ) 貧困と削減、(ハ) 環境と防災、(ニ) 中小企業開発、(ホ) 観光・水産・農業、(ヘ) 貿易・投資促進、(ト) 通信技術

3.セントクリストファー・ネーヴィスに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のクリストファー・ネーヴィスに対する無償資金協力は0.02億円(交換公文ベース)、技術協力は0.19億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力は9.89億円(交換公文ベース)、技術協力は1.72億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 2000年及び2001年度に「バセテール漁業複合施設建設計画」を実施した他、1989年、1995年及び1998年度のハリケーン被害に対する緊急援助、1992年度に文化無償、1997年度以降は草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施している。
 2003年に草の根・人間の安全保障無償資金協力で「農村部成人教育のための車両供与計画」を実施した。なお、2000~2001年には水産無償資金協力でバセテール漁業複合施設建設計画を実施した。
(3) 技術協力
 1987年度以来研修員を受け入れている。行政、水産分野から3名の研修員を受入れた。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対セントクリストファー・ネーヴィス経済協力実績

表-6 諸外国の対セントクリストファー・ネーヴィス経済協力実績

表-7 国際機関の対セントクリストファー・ネーヴィス経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度草の根人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図



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