2.中南米地域に対するODA実績

 二国間ODAについてみると、我が国は2003年に支出純額ベースで二国間ODA総額6013.65百万ドルの7.7%に相当する463.87百万ドルを中南米地域に供与した。中南米地域に対するODAのシェアは、ここ10年間、1998年を除き10%前後(1996年の11.8%が過去最高)で推移している。
 中南米地域に対する我が国ODA支出額の形態別構成をみると、1970年代初めには円借款が約70%のシェアを占め、技術協力のシェアは約20%、無償資金協力のシェアは数%に過ぎなかったが、その後は、技術協力、無償資金協力のシェアが増加している。2003年においては、円借款16.4%、技術協力53.6%、無償資金協力30.0%となっている。近年は、所得水準が高い国が多いため、他の地域と比較して技術協力のシェアが高いことが、中南米地域の特徴となっている。
 円借款は、中南米各国が民主化や経済改革に真剣に取り組んでいることを踏まえ、協力分野もインフラ整備から環境保全に広がっている。
 技術協力は、中南米地域のニーズが高く援助吸収能力も高いなど受入れ条件が比較的整っていることから、活発に行ってきている。メキシコからは中米・カリブ諸国向け、ブラジルからは南米及びポルトガル語圏アフリカ諸国向けの第三国研修が拡充されている。我が国は南南協力への支援を強化するための枠組みとして、チリ(1999年6月)、ブラジル(2000年3月)、アルゼンチン(2001年5月)、メキシコ(2003年10月)とパートナーシップ・プログラムを結び、中南米、カリブ等の開発途上国に対し、これら各国と共同で、域内国の経済・社会開発支援事業を実施することとしている。
 無償資金協力では、一般プロジェクト無償として、保健・医療、民生・環境、教育分野を始め、ハリケーンからの復興支援を含む道路・橋梁建設等のインフラ分野における協力も多数実施している。また、食糧増産援助、食糧援助、ノンプロ無償、災害復興支援、水産無償及び文化無償協力等の実績も多い。また、同地域の特徴的な所得格差、貧困問題にも配慮し、よりきめの細かい援助ニーズに応えるため、一般プロジェクト無償の対象外の国に対しても草の根・人間の安全保障無償を積極的に実施しており、先方政府及び裨益住民より高い評価を得ている。
 さらに、2004年には、集中豪雨災害を受けたドミニカ共和国や、ハイチに対する緊急無償資金協力、ハリケーンの被害を受けたジャマイカ、グレナダ、パナマ、バハマ等に対する緊急援助物資の供与等を行った。このように、近年エル・ニーニョなどの影響から、集中豪雨、洪水、寒波など災害が多発している同地域に対して、我が国は人道的観点から様々な形で積極的に支援を行っており、同地域並びに国際社会から高い評価を得ている。

表-3 中南米地域に対する我が国二国間ODA実績

図-1 中南米及び全世界に対する我が国二国間ODAの形態別構成

表-4 中南米地域に対する我が国国別二国間ODA実績

表-5 中南米地域に対する我が国二国間ODAの形態別・国別・年度別実績

表-6 中南米地域に対する我が国無償資金協力の分野別実績

表-7 中南米地域に対する我が国技術協力の年度別・形態別実績

表-8 中南米地域に対するDAC主要援助国の二国間ODAの推移

表-9 中南米地域諸国に対するDAC主要援助国の国別二国間のODA実績

表-10 中南米地域に対するDAC諸国のODA実績

表-11 中南米地域に対する国際機関のODA実績

図-2 中南米地域


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