[45]リベリア

1.リベリアの概要と開発課題

(1) 概要
 ドー大統領政権下での政権腐敗、国内対立等を主因として1989年の反乱軍の武装蜂起により始まった内戦は、断続的にその後14年以上続いた。1995年のアブジャ合意に基づき和平プロセスが徐々に進展し、内戦がいったん終結した1997年に、国連、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS:Economic Community of WestAfrican States)等の国際監視団の下、大統領・副大統領選挙及び上院・下院選挙が実施された。この選挙の結果、チャールズ・テーラー国民愛国党議長を大統領とする新政権が発足した。しかし、その後、ギニア国境における戦闘の発生を端緒に政府と反政府勢力との戦闘に発展し、不安定な状態が続いた。
 2003年8月、チャールズ・テーラー大統領はナイジェリアに亡命し、リベリア政府と反政府勢力諸派の間の和平会議、国連PKO(国連リベリア・ミッション(UNMIL: United Nations Mission in Liberia))の展開の設立を経て、10月にブライアント議長の下で移行政府が発足した。今後は、2005年に選挙、2006年に本格政府が発足する予定。
 外交面では、内戦以前は、非同盟中立の立場をとりつつ、米国をはじめとする西側諸国との基本的には良好な関係を保つとともに、近隣アフリカ諸国との関係強化を図っていた。1997年に内戦がいったん終結し新政権が発足すると、先進諸国はリベリアに対し、民主化の促進、保健・医療等の分野での支援を実施する意向を示したが、2001年3月、リベリア政府がシエラレオネの反政府勢力を支援し、同国の内戦状況に介入しているとして、国連安保理は同国に対する制裁を決議。リベリア産ダイヤモンド原石の禁輸及びリベリア政府関係者の渡航禁止等からなる措置を講じ現在に至っている。
 経済面では、内戦以前は、天然ゴム、鉄鉱石、カカオ、木材等の一次産品の輸出を主たる柱としていたが、内戦で推定15万人の死亡者、220万人以上の難民が出たと言われ、国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)総額も1989年の11億ドルから近年は2.5億ドルへと激減するなど、経済は著しく疲弊している。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.リベリアに対するODAの考え方

(1) リベリアに対するODAの意義
 我が国は、アフリカにおける平和構築を支援するひとつのモデルケースとしてリベリア支援を捉え、西アフリカにおける域内不安定要因の解消との観点から、緊急援助から武装解除、兵員の社会復帰(DDR:Disarmament, Demobilization and Reintegration)に至る国連諸機関の活動を支援している。こうした支援は、ODA大綱の重点課題の一つである「平和の構築」の観点からも重要である。同国では、政情不安のため国による十分な保護が期待できない中で、内戦や極度の貧困といった人間に対する直接の脅威が存在するところ、「人間の安全保障」の観点から支援を実施する必要がある。
(2) リベリアに対するODAの基本方針
 我が国は、従来、食糧増産援助、保健・医療及び電力分野等を中心とする無償資金協力、また、研修員受入及び青年海外協力隊派遣等を中心とする技術協力により国造りを支援してきた。しかし、1990年5月以降は、内戦の激化に伴い、二国間援助は事実上停止している。現在は、国連諸機関などを通じた人道援助、DDR支援が中心となっている。また、2004年にはジャパン・プラットフォームを通じた日系非政府組織(NGO:Non Governmental Organization)の人道・社会復帰促進プログラムの支援を実施した。
 今後の援助実施については、当面、和平の定着、社会の安定を確保することを前提に、民主化等の動きを促進し、同国の復興・再建に資する支援につき、検討していくこととしている。
(3) 重点分野
 従来、食糧増産援助、保健・医療及び電力分野等を中心に支援してきている。現在は、国連諸機関などを通じた人道援助、DDR支援が中心となっている。

3.リベリアに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のリベリアに対する無償資金協力は、6.44億円(交換公文ベース)であった。2003年度までの援助実績は、円借款58.00億円、無償資金協力94.91億円(以上、交換公文ベース)、技術協力38.31億円(JICA経費実績ベース)である。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対リベリア経済協力実績

表-6 諸外国の対リベリア経済協力実績

表-7 国際機関の対リベリア経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図



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