[37]ボツワナ

1.ボツワナの概要と開発課題

(1) 概要
 1966年の独立以来複数政党制による安定した政治運営が行われており、ボツワナはアフリカの中でも最も民主的な国の一つと言うことができる。独立以来ボツワナ民主党(BDP:the Botswana Democratic Party)が政権を維持しており、2004年10月に実施された国民議会選挙においてもBDPが第一党の座を維持し、モハエ大統領が再任された。
 外交面では、南部アフリカ近隣諸国との友好平和路線を基調としており、南アフリカ共和国の民主化に伴い同国との関係の改善を進めている。また、南アフリカ共和国を中心として構成される南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)に加盟しつつ、その事務局を首都ハボローネに有するなど、積極的な南部アフリカ外交を展開している。
 ボツワナの一人当たり国民総所得(GNI:Gross National Income)は、3,430ドル(2003年)と南部アフリカ諸国においては高い水準にあるが、ダイヤモンドがGNIの約30%、輸出総額の約70%を占めているため、ダイヤモンドに偏った産業構造の多角化を目指している。また、感染率の高いHIV/AIDSへの対策等の課題を抱えている。
 我が国は、米国と並びボツワナ産のダイヤモンドを最も多く輸入している。(2003年度輸入額23.2億円)。我が国は同国に対し、自動車、自動車部品等を輸出している(同輸出額3.5億円)。
(2) 第9次国家開発計画
 経済面では、ダイヤモンド依存型経済からの脱却を目指している。第9次国家開発計画(2004年4月~2009年3月)は、経済多角化、雇用創出、貧困削減、マクロ経済の安定、エイズとの闘いを含む人材開発等を内容としている。貿易面では、南部アフリカ関税同盟(SACU:Southern African Customs Union)諸国及びヨーロッパ連合(EU:European Union)との貿易を最も重視している。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ボツワナに対するODAの考え方

(1) ボツワナに対するODAの意義
 SADC事務局が置かれていることもあり、ボツワナの安定は南部アフリカ地域の安定にとっても重要であることから、同国の民主化及び経済構造改革を支援していく必要がある。
 また、ボツワナにおけるHIV/AIDSの高い感染率は、同国のみならず、南部アフリカ地域全体の持続的成長を阻害する要因となり得るため、HIV/AIDSへの対応を支援していくことは、ODA大綱の重点課題の一つである「地球的規模の問題への取組」の観点からも有意義であるとともに、HIV/AIDSは人間に対する直接的な脅威となり得るところ、「人間の安全保障」の観点から支援を実施していくことは重要である。
(2) ボツワナに対するODAの基本方針
 ボツワナは、一人当たりGNIが我が国の無償資金協力の供与基準を上回っており中進国にあたるため、円借款及び技術協力を中心として、同国の民主化と経済構造改革を支援すべく、援助を検討していく。なお円借款での支援を検討する場合には、基本的に4分野(環境・人材育成・地震対策・格差是正)に限定されることになる。
(3) 重点分野
 これまで、円借款による電力及び運輸分野における経済インフラの整備、技術協力による農業、行政、人的資源等の分野における能力向上を中心に支援を実施してきており、今後とも、民主化と経済構造改革に資する分野を中心に支援していく。

3.ボツワナに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のボツワナに対する無償資金協力は0.74億円(交換公文ベース)技術協力は2.83億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、円借款132.46億円、無償資金協力28.81億円(以上、交換公文ベース)、技術協力37.03億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 債務救済を実施した。
(3) 技術協力 
 保健・医療、農業、教育等の分野における研修員受入、青年海外協力隊員及びシニア海外ボランティアの派遣による協力を実施した。また、HIV/AIDS対策を目的とした医療機材の供与を行った。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ボツワナ経済協力実績

表-6 諸外国の対ボツワナ経済協力実績

表-7 国際機関の対ボツワナ経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図


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