(1) 概要
ナミビアは1990年3月に南アフリカ共和国から独立を果たした。民主的憲法の下、ヌヨマ大統領率いる南西アフリカ人民機構(SWAPO:South-West African People's Organization)が、独立以来一貫して政権を担当しており、民主主義、経済自由化に基づく国造りを積極的に推進し、国民的和解を極めて平和裡な形で達成することに成功した。しかし白人と黒人との間の貧富の差は大きく、政府は貧困層の生活水準の向上に取り組んでいる。2004年11月に行われた大統領・国民議会選挙では、SWAPOが圧勝し、ポハンバ新大統領が選出された。
外交面では、アフリカ連合(AU:African Union)、南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)、南部アフリカ関税同盟(SACU:Southern African Customs Union)等に加盟し、南部アフリカの一員としての行動を重視しているほか、特に経済面において先進諸国との関係強化を図っている。
ダイヤモンドを始めとする鉱物資源、農業、漁業、観光を基盤に、1990年代においては3~5%の比較的堅調な経済発展を遂げるなど、経済は安定している。自由主義経済を基調とした経済体制作りを目指しているが、人口の6%に過ぎない裕福な白人層と大部分の低所得層との間で二重構造が生じており、黒人を中心とした多数の失業者が存在する。産業の中心は、ウラン、ダイヤモンド等の鉱業及び農林水産業である。農業は輸出向けの牧畜が中心である一方、穀物の自給率は低く、南アフリカ共和国から多くを輸入している。また、ナミビア沖は豊かな漁場を形成しており、水産業の振興は、雇用創出、輸出振興に大きく貢献している。我が国は、ナミビアからエビ、カニ等を輸入し(2003年度輸入額約17億7千万円)、ナミビアに自動車・部品、電気機器等を輸出している(同輸出額約8億3千万円)。
ナミビアにおいては、第二次国家開発計画(2001~2005年度)が策定され、地域間不均衡の是正、貧困削減、雇用機会の創出、経済成長の促進が、国家レベルでの開発方針として位置付けられており、各所管省庁は、この計画を踏まえて具体的施策を実施している。