[32]ナミビア

1.ナミビアの概要と開発課題

(1) 概要
 ナミビアは1990年3月に南アフリカ共和国から独立を果たした。民主的憲法の下、ヌヨマ大統領率いる南西アフリカ人民機構(SWAPO:South-West African People's Organization)が、独立以来一貫して政権を担当しており、民主主義、経済自由化に基づく国造りを積極的に推進し、国民的和解を極めて平和裡な形で達成することに成功した。しかし白人と黒人との間の貧富の差は大きく、政府は貧困層の生活水準の向上に取り組んでいる。2004年11月に行われた大統領・国民議会選挙では、SWAPOが圧勝し、ポハンバ新大統領が選出された。
 外交面では、アフリカ連合(AU:African Union)、南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)、南部アフリカ関税同盟(SACU:Southern African Customs Union)等に加盟し、南部アフリカの一員としての行動を重視しているほか、特に経済面において先進諸国との関係強化を図っている。
 ダイヤモンドを始めとする鉱物資源、農業、漁業、観光を基盤に、1990年代においては3~5%の比較的堅調な経済発展を遂げるなど、経済は安定している。自由主義経済を基調とした経済体制作りを目指しているが、人口の6%に過ぎない裕福な白人層と大部分の低所得層との間で二重構造が生じており、黒人を中心とした多数の失業者が存在する。産業の中心は、ウラン、ダイヤモンド等の鉱業及び農林水産業である。農業は輸出向けの牧畜が中心である一方、穀物の自給率は低く、南アフリカ共和国から多くを輸入している。また、ナミビア沖は豊かな漁場を形成しており、水産業の振興は、雇用創出、輸出振興に大きく貢献している。我が国は、ナミビアからエビ、カニ等を輸入し(2003年度輸入額約17億7千万円)、ナミビアに自動車・部品、電気機器等を輸出している(同輸出額約8億3千万円)。
 ナミビアにおいては、第二次国家開発計画(2001~2005年度)が策定され、地域間不均衡の是正、貧困削減、雇用機会の創出、経済成長の促進が、国家レベルでの開発方針として位置付けられており、各所管省庁は、この計画を踏まえて具体的施策を実施している。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ナミビアに対するODAの考え方

(1) ナミビアに対するODAの意義
 ナミビアは、1990年の独立以降、アフリカの中で最も民主的な政治運営を行っている国の一つであり、また、自由主義を基調とした経済体制造りを着実に進めている。他方で、国内の貧富の差は大きく、黒人層に多数の貧困層が存在するといった課題を抱えていることから、ODA大綱の基本方針の一つに掲げられている「公平性の確保」の考え方の下、社会的弱者の状況改善や貧富の差を考慮しつつ支援を行うことは、ODA大綱の重点課題の一つである「貧困削減」の観点から意義は大きい。
(2) ナミビアに対するODAの基本方針
 ナミビアにおける貧しい黒人層の状況や貧富の差に考慮しつつ、同国の社会・経済開発を支援していく。同国の一人当たり国民総所得(GNI:Gross National Income)の水準(2003年は1,870ドル)は、我が国の無償資金協力の供与基準を上回っているため、貧困層の生活向上に視点を当てた支援を、円借款及び技術協力を中心に実施していく方針である。
(3) 重点分野
 我が国は、これまで食糧増産援助、地下水開発、住宅建設などの社会インフラ整備に対する無償資金協力、社会インフラ整備・行政等の分野での研修員受入れ等の技術協力を実施している。

3.ナミビアに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のナミビアに対する無償資金協力は0.10億円(交換公文ベース)、技術協力は0.77億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力62.66億円(交換公文ベース)、技術協力18.43億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 草の根・人間の安全保障無償資金協力による協力を実施した。
(3) 技術協力 
 農業、保健・医療、教育等の分野における専門家派遣や研修員受入れによる協力を実施した。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ナミビア経済協力実績

表-6 諸外国の対ナミビア経済協力実績

表-7 国際機関の対ナミビア経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図



前ページへ  次ページへ