(1) 概要
1978年以来、セーシェル人民進歩党による独裁であったが、1991年12月に複数政党制の導入を経た。1993年6月に制定された新憲法の下で同年7月大統領選挙及び国民議会選挙が実施されて以来、内政は安定的に推移している。2004年4月、27年間政権を運営したルネ大統領が任期途中で引退し、ミッシェル大統領がルネ路線を継承している。
外交では、独立以来一貫して非同盟主義を基本政策とし、社会主義的政策を推進しながらも、経済的には欧米からの観光客に依存しているため、西側諸国との良好な関係維持に努めている。また、近年次々とアジア・アフリカを中心に多数の国との間で外交関係を樹立し、外交の幅を広げる努力を行っている。しかし、財政的な理由から、複数の在外公館の閉鎖を余儀なくされ、また、1998年に加盟したばかりの南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)からも分担金負担の問題もあり、脱退した。
主要産業は観光業及びまぐろを中心とした漁業で、観光業は労働人口の30%を雇用し、外貨収入の70%を産み出している。しかし、観光業への依存体質は外的環境の変化に影響されやすいという弱点を有していることから、政府は農業、漁業、小規模工業の開発にも取り組んでいる。2001年の米国での同時多発テロによる観光不振の影響もあり、経済成長は停滞ぎみで、外貨不足も顕著となっている。1人当たり国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)は2002年(推定値)で7,800ドルとアフリカ諸国の中にあっては群を抜いて高い。