[23]セーシェル

1.セーシェルの概要と開発課題

(1) 概要
 1978年以来、セーシェル人民進歩党による独裁であったが、1991年12月に複数政党制の導入を経た。1993年6月に制定された新憲法の下で同年7月大統領選挙及び国民議会選挙が実施されて以来、内政は安定的に推移している。2004年4月、27年間政権を運営したルネ大統領が任期途中で引退し、ミッシェル大統領がルネ路線を継承している。
 外交では、独立以来一貫して非同盟主義を基本政策とし、社会主義的政策を推進しながらも、経済的には欧米からの観光客に依存しているため、西側諸国との良好な関係維持に努めている。また、近年次々とアジア・アフリカを中心に多数の国との間で外交関係を樹立し、外交の幅を広げる努力を行っている。しかし、財政的な理由から、複数の在外公館の閉鎖を余儀なくされ、また、1998年に加盟したばかりの南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)からも分担金負担の問題もあり、脱退した。
 主要産業は観光業及びまぐろを中心とした漁業で、観光業は労働人口の30%を雇用し、外貨収入の70%を産み出している。しかし、観光業への依存体質は外的環境の変化に影響されやすいという弱点を有していることから、政府は農業、漁業、小規模工業の開発にも取り組んでいる。2001年の米国での同時多発テロによる観光不振の影響もあり、経済成長は停滞ぎみで、外貨不足も顕著となっている。1人当たり国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)は2002年(推定値)で7,800ドルとアフリカ諸国の中にあっては群を抜いて高い。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.セーシェルに対するODAの考え方

(1) セーシェルに対するODAの意義
 セーシェルは1人当たりGDPも他のアフリカ諸国と比べて極めて高い国であるが、対外環境の変化に脆弱な観光業に依存する経済の多角化を進めるため、基幹産業の一つである漁業を始め、農業、小規模工業等の分野に対する開発ニーズは高いところ、同国の経済の多角化をODAにより支援していくことは、ODA大綱の重点課題の一つである「持続的成長」の観点からも意義が大きい。
(2) セーシェルに対するODAの基本方針
 我が国は、セーシェルの1人当たりGDPがアフリカ諸国の中で最も高い水準にあることから、工業、人的資源分野等での研修員受入れ等による技術協力を中心に援助を実施しているほか、水産無償を実施している。今後とも、同国の経済改革努力を支援するため、研修員受入れ等技術協力を中心に援助実施を検討していく方針である。

3.セーシェルに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のセーシェルに対する無償資金協力の実績はなく、技術協力は0.31億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの我が国の援助実績では、無償資金協力29.55億円(交換公文ベース)、技術協力11.34億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 技術協力
 研修員受入れによる協力を実施した。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対セーシェル経済協力実績

表-6 諸外国の対セーシェル経済協力実績

表-7 国際機関の対セーシェル経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細


プロジェクト所在図


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