[22]スワジランド

1.スワジランドの概要と開発課題

(1) 概要
 スワジ族を中心とした王制国家であるスワジランドでは、東西冷戦の終了とともに国民の民主化意識が高まり、1993年、1998年に総選挙が実施されたが、依然として政党活動が認められていないなど、民主化が今後の課題となっており、現在進められている新憲法の制定が注目されている。
 外交面では、現実的かつ穏健な外交政策を取っている。また、国土の三方を接する南アフリカ共和国に経済的に大きく依存しているため、同国との関係に細心の注意を払っている。
 経済面では、輸出用農産物を生産し、鉱産物を産出する一方、自給自足の小農が国民の多数を占め、貧富の差が非常に大きい。製造業では、砂糖精製やウッドパルプ等の一次産品の加工に加え、近年、米国によるアフリカ成長機会法(AGOA:African Growth and Opportunity Act)の恩恵を受け、順調に繊維輸出産業が発展している。農林業分野では、輸出用換金作物として砂糖、木材、柑橘類等を生産しており、特に砂糖は代表的輸出品となっている。レソト、ナミビアとともに南アフリカ共和国のランド通貨圏に属し、また、南アフリカ共和国、ボツワナ、レソト及びナミビアと南部アフリカ関税同盟(SACU:Southern African Customs Union)を結成している。我が国は、スワジランドから柑橘類、木材等を輸入し(2003年度輸入額約7億4千万円)、スワジランドにスライドファスナー部品、自動車等を輸出している(同輸出額約4億5千万円)。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.スワジランドに対するODAの考え方

(1) スワジランドに対するODAの意義
 スワジランドは第2回アフリカ開発会議(TICADII:The Second Tokyo International Conference on African Development)及び第3回アフリカ開発会議(TICADIII)にムスワティ3世国王が出席するなど、我が国の対アフリカ外交に対する積極的な協力者であり、スワジランドと安定した関係を維持していくことは重要である。
 スワジランドでは、近年頻発する干ばつによる食糧危機や蔓延するHIV/AIDS等の問題を抱えており、我が国がODAによる支援を行うことは、ODA大綱の重点課題の一つである「貧困削減」の観点からも意義が大きい。
(2) スワジランドに対するODAの基本方針
 スワジランドは、一人当たりの国民総所得(GNI:Gross National Income)が比較的高く(2003年に1,350ドル)、援助実績は少額に留まっているが、今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針である。
(3) 重点分野
 我が国はこれまで、無償資金協力として主に食糧援助・食糧増産援助及び給水分野における支援を実施するとともに、技術協力として主に食糧増産援助、農業、保健・医療、行政分野での援助を実施してきている。2000年9月には同国に対して初めて円借款を供与したが(「北部幹線道路建設計画」)、今後、案件規模及び債務残高に留意しつつ、道路整備などの分野につき案件の規模を考慮しながら検討していく。

3.スワジランドに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のスワジランドに対する無償資金協力は7.73億円(交換公文ベース)、技術協力2.23億円は(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、円借款44.12億円、無償資金協力73.62億円(以上、交換公文ベース)、技術協力33.69億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 食糧援助、食糧増産援助及び給水分野に係る協力を実施した。
(3) 技術協力
 保健・医療、農業等の分野における研修員受入れによる協力を実施した。また、感染症対策を目的とした医療機材の供与を行った。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対スワジランド経済協力実績

表-6 諸外国の対スワジランド経済協力実績

表-7 国際機関の対スワジランド経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度実施済及び実施中の開発調査案件

表-10 2003年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図



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