[20]ジブチ

1.ジブチの概要と開発課題

(1) 概要
 1977年にフランスから独立して以来、部族間の対立を背景とする紛争と国民融和に向けた努力が繰り返された。1991年に政府軍と反政府軍(統一と民主主義回復のための戦線FRUD:Front for the Restoration of Unity and Democracy)の内戦が勃発し、両者の和平対話が行き詰まる中、グーレド大統領は民主化を推進、1992年には複数政党制を含む新憲法を国民投票により採択した。
 1994年12月、政府とFRUDは和平合意に署名し、3年余りの内戦が終結した。1997年12月には和平合意後初めての国民議会選挙がなされ、連立与党(RPP)進歩人民同盟とFRUDが全議席を獲得し、新政府が発足した。1999年にはグーレド大統領が勇退し、後任候補にゲレ大統領府官房長官を指名し、同年4月に行われた大統領候補の結果、ゲレ大統領が就任した。2000年2月、新政府とFRUDの間で和平枠組合意に署名がなされ、2001年には最終和平案が合意されている。
 国土の大部分が不毛で農業は未発達であり、地下資源にも恵まれていない。国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)の70%以上を占めるサービス部門が産業の中心であり、エチオピア向け輸出品の鉄道輸送・中継貿易・港湾役務提供、フランス軍及び米軍駐留による経済的利益、外国援助による収入に依存している。
 1996年以来、世界銀行、国際通貨基金(IMF:International Monetary Fund)等の協力の下、ジブチは構造調整政策に取り組んでおり、2003年からは、貧困削減ファシリティを実施するなどマクロ経済安定化に向けた努力を行っている。また、財政赤字の削減、公務員数の削減、公営企業の民営化促進等を引き続き行っている。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ジブチに対するODAの考え方

(1) ジブチに対するODAの意義
 ジブチでは、1990年代以降、国内の民主化と内戦の終結に向けた努力が行われてきており、また、同国に事務局を置く地域協力機関である政府間開発機構(IGAD:Inter-Governmental Authority on Development)を通じてスーダン和平、ソマリア和平、エチオピア・エリトリア国境問題等に関与してきている。同国の社会経済開発を支援することは、東アフリカ地域の安定に資するものである。特にジブチで主要課題となっている貧困対策に向けた取組を支援することは、ODA大綱の重要課題の一つである「貧困削減」の観点から意義は大きい。
(2) ジブチに対するODAの基本方針
 ジブチの経済的安定を支援するため、食糧援助及び基礎生活分野等を中心とした一般無償及び青年海外協力隊員派遣・研修員受入といった技術協力を継続する。1999年3月に青年海外協力隊派遣取極を結んで以降2003年度までに延べ32名の隊員が同国で活動しているが、草の根レベルの協力隊員の活動はジブチ政府からも高く評価されている。
(3) 重点分野
 我が国は、医療、教育、水供給、運輸、放送分野等に対する無償資金協力及びインフラ整備、農業、医療分野における研修員受入等の技術協力を実施している。

3.ジブチに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のジブチに対する無償資金協力は9.37億円(交換公文ベース)、技術協力は1.90億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、無償資金協力184.36億円(交換公文ベース)、技術協力18.93億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 就学率が低く、劣悪な環境の下での教育を強いられているジブチに対し、「基礎教育強化計画」(7.87億円)により小学校3校40教室、中学校2校74教室の建設を行っている。また、慢性的な食糧不足に加え、近年の隣国からの難民流入により更に悪化した同国の食糧事情にかんがみ、2003年には、米の購入資金として1.5億円を供与した。
(3) 技術協力
 2003年度は、11名の研修員受入を行ったほか、第三国研修(エジプトでの看護管理、モロッコでの船員教育など)に5名が参加、また青年海外協力隊も11名を派遣した。その他、ユニセフとのマルチ・バイ協力による医療特別機材供与として長期残効果蚊帳(約2,000万円)を供与している。

4.ジブチにおける援助協調の現状と我が国の関与

 ジブチでは、水分野において日仏協力が行われており、我が国がジブチ市内で帯水層の塩水を食い止めるため大規模な井戸の掘削等の事業を行い、フランスが塩水化防止の基礎研究を行っている。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ジブチ経済協力実績

表-6 諸外国の対ジブチ経済協力実績

表-7 国際機関の対ジブチ経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図


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