1975年の独立以来クーデターが頻発するなど政情は不安定である。1996年3月に初の民主的大統領選挙が実施され、新体制が確立されたが、公務員給与遅配や停電・断水等により国民生活に困難が生じていた。また、同国はフランスへの合併を望む一部地域の分離独立運動という問題を抱えていたが、1997年8月、アンジュアン島とモヘリ島が一方的に独立を宣言した。1999年4月には、政府がこの問題に対する施策を行わなかったとして、軍部によるクーデターが発生し、軍参謀本部長アザリ大佐が政権を掌握した。2001年12月には、国民投票により新憲法が採択され、翌2002年4月の大統領選挙を経てアザリ大佐が大統領に就任した。
その後も周辺諸国による国際的政治努力にもかかわらず、連合政府と各自治島政府間の勢力争いにより政情不安定が続いたが、AU(アフリカ連合)及び南ア大統領の仲介により、2003年12月、連合政府と構成3島自治政府は、2004年4月までに議会議員選挙を実施するなどの「国内危機打開に関する合意」を達成した。これを受けて、2004年には議会選挙(3~4月)、連合議会の開設(6月)、新内閣の組閣(7月)等一連の国民和解プロセスが完了し、現在政情は比較的安定している。
外交面では、旧宗主国フランスとの関係に加え、中国、リビア、アフリカ連合(AU:African Union)及び国際機関との関係が深い。
経済面では、国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)の約40%を農林漁業が占めているが、恒常的に食糧が不足し、全輸入の3分の1を食糧が占めている。一次産品国際価格低迷の影響を受け、バニラ等の香料をはじめとする輸出は伸び悩み、貿易収支は大幅な赤字となっている。
経済安定化のための施策として、金融・財政の引き締め、公務員数削減、貿易自由化、バニラ生産促進等を実施しているが、インフレや失業問題を抱え経済は依然低迷している。2003年5月に行われた世界銀行ミッションによるコモロ視察覚書によれば、ドナー機関によるコモロ援助の難しさが指摘され、融資者側の懸念材料として、憲法が適用されていないこと、制度上の混乱、長期開発戦略の不在、政府当局の一貫性のなさが挙げられた。
我が国は、コモロからバニラ、精油等を輸入し(2003年輸入額1億6756万円)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額17億697万円)。