[7]ガボン

1.ガボンの概要と開発課題

(1) 概要
 1993年12月、複数政党下での初の大統領選挙を実施。選挙結果の不正を唱えて政府と対立していた野党側も、その後政府との対話路線に方向転換するなどして内政は安定化に向かった。1998年12月の大統領選挙でもボンゴ・オンディンバ大統領が6選を果たし、1967年以来の長期安定政権が継続している。2001年12月には国民議会選挙が実施され、2002年1月、野党も含めた「開かれた内閣」が発足した。
 外交面では、非同盟中立路線を掲げるが、旧宗主国フランスとは行政、軍事、教育等の点で緊密な関係を有している。また、政治的安定及び石油輸出による経済力を背景に、積極的な中部アフリカ外交を展開している。またガボンは、中部アフリカ諸国経済共同体(CEEAC:Communaute Economique des Etats de l'Afrique Centrale)等地域経済機構の主要メンバーでもある。
 石油、マンガン等の鉱物資源及び良質の森林資源に恵まれ、石油関連収入が国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)の約40%、全輸出額の約80%を占め、アフリカ諸国中、最も所得水準の高い国の一つとなっている。しかし、石油産出量は1997年をピークに減少に転じ、2002年時点では年産12.6百万トンと1997年の2/3に落ち込み、2003年度予算では、初めて歳入に占める石油部門収入の割合が非石油部門収入を下回る結果となった。こうした状況下、政府は脱石油依存経済を目指し、漁業、観光業及びサービス業等の振興による産業の多角化を図り、また、農業分野(ゴム、牧畜、パーム油)を始めとした国営企業の民営化も徐々に進めている。
 我が国は、ガボンから木材等を輸入し(2002年輸入額43億9487万円)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額34億5792万円)。
(2) 貧困削減戦略文書(PRSP:Poverty Reduction Strategy Paper)
 ガボンは拡大重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの対象国ではないが、同国西部は貧困削減と脱石油依存経済構造の観点からPRSPを作成し、2005年初めの完成を目指している。同文書においては、戦略機軸として、貧困削減に直結する教育、保健等のセクターにおけるマスター・プランの策定、民間セクター開発、産業多様化、地方経済の発展等を掲げている。

表-1 主要経済指標等

表-2 我が国との関係

表-3 主要開発指数

2.ガボンに対するODAの考え方

(1) ガボンに対するODAの意義
 ガボンでは1人当たりの国民総所得(GNI:Gross National Income)は高い水準にあるが、過度の石油依存型の経済構造であり、また、石油産出量の減少傾向が指摘されている。ガボン政府は、石油依存型の経済構造から脱却するための国内産業の多角化に向け、自主的なPRSPの策定に代表される主体的な取組を行ってきている。このようなガボン政府の取組をODAによって側面的に支援することは、ODA大綱は重点課題の一つである「持続的成長」の観点からも有意義である。
(2) ガボンに対するODAの基本方針
 ガボンは、一人当たりの国民総生産(GNP:Gross National Product)が3,600米ドル(世銀、2002年)と高い水準にあることから、一般無償の非適格国となっているが、同国の民主化と経済改革を支援するため、人造りに資する技術協力、水産無償資金協力や草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用した援助を実施している。
(3) 重点分野
 ガボンの石油依存型経済構造からの脱却を支援する観点から、同国の基幹産業の一つである水産業に対して、水産無償資金協力や技術協力による支援を実施してきているほか、1997年度より地域住民に直接裨益するよう草の根・人間の安全保障無償も実施している。

3.ガボンに対する2003年度ODA実績

(1) 総論
 2003年度のガボンに対する無償資金協力は4.78億円(交換公文ベース)、技術協力は0.83億円(JICA経費実績ベース)であった。2003年度までの援助実績は、円借款30.00億円、無償資金協力16.00億円(以上交換公文ベース)、技術協力8.99億円(JICA経費実績ベース)である。
(2) 無償資金協力
 同国の基幹産業の一つである漁業振興に資する協力として、水産無償により「零細漁民センター整備計画」を実施し、水揚施設の建設や製氷機等の調達を支援した。この計画の実施により、市街地や内陸部へ流通する水産物の品質向上および安定的供給が確保され、漁業者の収入増加が期待される。またこのほかにも、草の根・人間の安全保障無償資金協力を2件供与している。
(3) 技術協力
 水産、保健医療分野などで10名の研修員の受け入れを行った。

表-4 我が国の年度別・援助形態別実績

表-5 我が国の対ガボン経済協力実績

表-6 諸外国の対ガボン経済協力実績

表-7 国際機関の対ガボン経済協力実績

表-8 我が国の年度別・形態別実績詳細

表-9 2003年度草の根・人間の安全保障無償資金協力案件


プロジェクト所在図


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