(1) 総論
我が国の対アフリカ二国間ODAの特徴は無償資金協力の比重が高いことであり、2003年支出純額では、その80.3%が無償資金協力である(参考:我が国二国間ODA全体に占める無償資金協力のシェアは26.8%)。一方、我が国二国間ODA全体の約30%を占める円借款について、対アフリカ援助のシェアは0.52%に留まっている。これは、累積債務問題の中でアフリカにおいて債務負担能力の問題から円借款を供与し得る国が減少したこと、国連貿易開発会議(UNCTAD:United Nations Conference on Trade and Development)の貿易開発理事会(TDB:United Nations Trade and Development Board)決議を受けた対LDC援助の原則無償化という基本的方針に基づき多くのアフリカ諸国を含むLDCに対し、積極的に無償資金協力で対応してきたことなどによるものである。
また、アフリカにおける難民問題については、人道的考慮から、また地域の平和と安定の維持の観点からもその解決に努める必要があり、我が国は各国の難民・国内被災民向け援助(各国実績参照)のほか、世界食糧計画(WFP:World Food Programme)を経由した食糧援助、国連人権高等弁務官事務所(UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees)、国連児童基金(UNICEF:United Nations Children's Fund)等への資金拠出等を積極的に行っている。
(2) 無償資金協力
2003年度の対アフリカ無償資金協力実績(二国間及び国際機関経由)は、交換公文ベースで総額約394.77億円となっている。
対アフリカ無償資金協力の特徴としては、TICADIIIの際に「人間中心の開発」として今後5年間で10億ドルの支援が表明されたように、水、教育、医療・保健といった基礎生活分野への援助の比重が大きいことが挙げられる他、食糧援助なども実施している。また、これまで基本的に円借款で対応してきた道路等の基礎インフラ整備についても、LDCを中心とする開発途上国の財政事情等を考慮し、状況に応じて無償資金協力により協力を行っている。草の根・人間の安全保障無償資金協力は、開発途上国の地方政府、途上国において活動している内外非政府組織(NGO:Non Governmental Organization)等からの比較的小規模なプロジェクト資金要請に対し、迅速かつ的確に対応する支援スキームであるが2003年度は32カ国のアフリカ諸国に対し、177件で合計11.34億円の援助を実施し、金額ベースでの全プロジェクトに占めるアフリカ諸国の割合は約9.86%となっている。また、アフリカ諸国へのノン・プロジェクト無償資金協力として、2003年度は6か国に対し合計35億円を供与している。
(3) 技術協力
技術協力については、2003年度は44か国に協力実績があり、保健・医療、農業等の分野での研修員受入、保健・医療、人造り等の分野での専門家派遣、人造り、工業等の分野での青年海外協力隊派遣、農業、水供給等の分野での開発調査等を実施している。特に、青年海外協力隊派遣におけるアフリカの比重は、アジア・中南米と並んで高く、2003年度までの累計人数の30.1%を占めている。
(4) 円借款
円借款については、債務返済能力等の問題もあり、アフリカ地域における供与対象国は少なく、2003年度に供与が決定されたのは、ケニアに対する1案件(供与限度額105.54億円)のみである。。