我が国は、スリランカと伝統的友好関係にあること、48年の独立以来民主的選挙による政権運営を行っている民主主義国家であり、また構造調整を実施し、経済改革のための自助努力を行っていること等を踏まえ、これまでスリランカに対し積極的に協力してきている。また近年、我が国は「平和の定着」の観点から、地域の安定のために開発援助を積極的に活用しているが、スリランカにおいても、2002年2月の停戦合意、同9月以降の和平交渉の進展等を受け、紛争地域であったために開発の遅れている北・東部州を含むスリランカ国全体の国造りへ向けた和平・復興プロセスへの積極的な貢献を行っている。
対スリランカ援助方針において、スリランカにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及びJICAにおける「スリランカ国別援助研究会」の提言(90年)、91年3月に派遣した政府ベースの経済協力総合調査団及びその後の経済協力政策協議(98年12月、2000年1月に実施)等によるスリランカ側との政策対話を踏まえ、次の分野を重点分野としてきた。
(ロ) 鉱工業開発
(ハ) 農林水産業開発
(ニ) 人的資源開発
(ホ) 保健・医療体制の改善
(a) 「人道・復旧」支援
(b) 「国造り」のための支援
(ロ) 中・長期開発ビジョンに沿った援助計画
(a) 経済基盤の整備に向けた制度改革と援助
(b) 外貨獲得能力向上に対する支援
(i) 輸出促進を目的とした支援
(ii) 外資導入を促進するための支援
(iii) IT化促進のための支援
(iv) 人的資源開発支援
(v) 「環境保全型観光開発」分野に対する支援
(c) 貧困対策に対する支援
(i) より効率的・効果的な貧困対策支援
(ii) 生活基盤および経済基盤の整備
(iii) 保健・医療分野における支援
(iv) 地域・地場産業支援
(v) 参加型開発
2001年度のスリランカに対する援助実績は524.00億円。うち、有償資金協力は461.30億円、無償資金協力は32.86億円(以上、交換公文ベース)、技術協力は29.84億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、有償資金協力は5,889.14億円、無償資金協力は1,596.54億円(以上、交換公文ベース)、技術協力462.99億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 有償資金協力
有償資金協力については、65年に援助を開始して以来、70年代後半までは国際収支の改善を支援する商品借款を中心に供与してきたが、その後、運輸、電力、通信、灌漑等のインフラ整備のためのプロジェクト借款を中心に供与している。また、90年代に入り、環境案件も供与している。2001年度は、電力需要の増加に対応し安定的な電力供給の確保に資するため「アッパーコトマレ水力発電計画(特別円借款)(供与限度額:332.65億円)」及び「コロンボ市配電網整備計画(同上:59.59億円)」を、排水路の整備を通じた浸水被害の軽減及び排水路沿いの貧困地域の生活環境の改善に資するため「ルナワ湖周辺生活環境改善計画(同上:69.06億円)」を供与した。今後は民活インフラの周辺整備に対する支援も検討していく方針である。
(ハ) 無償資金協力
無償資金協力については、経済基盤整備、水供給・衛生等の生活環境分野、医療分野、教育・人造り分野、農業分野等幅広い協力を行っており、2001年度には、それまでの継続案件の他、上水道施設を改修するための「ヌワラ・エリヤ給水改善計画」、及び、著しく老朽化した橋梁を改修するための「ガンポラ橋・ムワガマ橋架け替え計画」を開始した。また、このほか、食糧増産援助、文化無償資金協力、草の根・人間の安全保障無償資金協力等を供与している。
(ニ) 技術協力
技術協力については、青年招聘を含む研修員受入れ、専門家派遣、青年海外協力隊派遣、プロジェクト方式技術協力等各種形態による協力を、治安状況に留意しつつ、実施している。2001年度は、プロジェクト方式技術協力「ペラデニア大学歯学教育プロジェクト」、「鋳造技術向上計画F/U」、開発調査「地方都市環境衛生改善計画調査」、「保健医療制度改善計画調査」を始めとして、保健医療、工業、農畜産業、行政、人的資源、社会基盤等各重点分野における協力を行っており、その経費実績は南西アジア7カ国中第1位である。
3. 政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件

