2. 政府開発援助実績

 我が国は、2001年に、二国間ODA総額約74.5億ドルのうち15.52%に相当する約11.6億ドル(支出純額ベース)を南西アジア地域に供与した。
 我が国の南西アジア地域諸国に対する援助を形態別に見れば、60年代には対インド、パキスタンを中心に政府貸付(有償資金協力)がこの地域へのODA総額の95%前後を占めていたが、70年代以降は無償資金協力、技術協力も増加している。これは、南西アジア地域全7カ国のうち、後発開発途上国(LDC)が4カ国(バングラデシュ、ネパール、ブータン、モルディブ(世銀融資基準では中所得国))存在することを踏まえ援助を実施してきた結果である。
 有償資金協力については、これまでインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパールの5カ国に対して供与されている。2001年の支出純額で南西アジア地域は約28.3%のシェアを占める。2001年の支出純額ベースで、インド、パキスタン、スリランカは、我が国の有償資金協力の受取り国としてそれぞれ世界の2位、5位、7位の地位を占めている。対象分野は、60年代にはプラント設備、機械、肥料工場が中心であり、70年代以降は、これに加えてエネルギー(電力開発、送配電網)、運輸・交通、通信、農業など広い分野にわたっている。近年は、森林、居住環境、防災等の案件が増加している。
 無償資金協力については、南西アジア地域は世界最大の貧困人口を抱えること、また、全7カ国のうち4カ国がLDCであることから、我が国無償資金協力の重点対象地域となっている。2001年の実績を見ると、無償資金協力全体に南西アジア地域が占めるシェアは約15.7%である。これら諸国については、引続き技術協力との連携を考慮しつつ、農業、居住環境、保健・医療等の基礎生活分野に重点を置くこととしている。また、バングラデシュ、ネパール、ブータン及びモルディブ(世銀融資基準では中所得国)はLDCであることから、運輸・交通、電力、通信等の基礎インフラ関連案件も無償資金協力の対象としている。
 技術協力については、ネパール、スリランカ、バングラデシュが主要な対象国となっている。しかし、2001年の我が国二国間ODA全体に占める技術協力のシェアが約28.8%であるのに対して、南西アジア地域における技術協力のシェアは約4.1%と相対的に低い。これは、インド、パキスタンの両国が比較的高い技術力を有していることなどから、両国への技術協力の実績が相対的に少ないことによる

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