[11]パ ラ オ

1.概   説

 パラオは、47年以来、マーシャル、ミクロネシア、北マリアナとともに、米国を施政権者とする国連の太平洋諸島信託統治地域の一部を構成していた。94年の米国との自由連合盟約の発効に伴い、独立し、同年に国連に加盟した。92年11月の大統領選挙で日系二世のナカムラ氏が初当選し、93年1月に就任、以来8年間大統領の職を務めた。2001年1月、ナカムラ前大統領の下で8年間副大統領を務めたレメンゲサウ氏が大統領に就任した。
 経済面では、パラオの財政は米国からの援助にかなり依存しており、産業面でも製造業に見るべきものがなく、ほとんどを輸入に頼っている。このような経済構造からの転換を図るため、自給率を高める生産部門の確立が必要とされている。また、近年同国の自然環境を求めて、観光客数が増加しているため、関連施設やインフラの整備が最優先課題となっている。マグロ等鮮魚の我が国向け転載事業が一時期大きく伸びたが、近年は低迷している。経済は、観光産業が近隣諸国と比べ徐々にではあるが確実に発達していること等から、全体として緩やかではあるが成長過程にある。
 雇用面では、政府機関の占める割合が大きく、民間労働力は外国人(フィリピン人)への依存が高くなっており、地元民雇用の拡大策が検討されている。
 我が国との関係では、古くは14年以来45年まで我が国が南洋諸島の一部として統治していたという歴史的関係に加え、民間漁業協定が締結されており漁業関係でのつながりも深く、国造り、経済開発における我が国経済協力への期待は大きい。94年の独立以降、要人往来が活発に行われている。パラオ側からは、ナカムラ前大統領、レメンゲサウ大統領共に数多く訪日しており、レメンゲサウ大統領は2003年5月の第3回日・PIF首脳会議(太平洋・島サミット)に出席した。我が国からは、99年10月に、SPF域外国対話に出席するため、東外務総括政務次官(当時)がパラオを訪問し、また2002年1月に山口泰明衆議院議員が総理特使として訪問し、我が国が供与した「日本・パラオ友好橋(新コロール・バベルダオブ橋)」の完成記念式典に出席した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 基本方針
  パラオに対しては、我が国と伝統的に緊密な関係にあること、極めて親日的な国であること等を踏まえ、援助を実施している。特に、パラオと我が国の間には民間漁業協定が締結されており、我が国水産業界とも密接な関係がある。こうした状況を踏まえて、我が国はパラオの国造りに対する努力を支援するため、水産分野、インフラ整備等の無償資金協力、研修員受入を中心とした技術協力を実施してきている。
(2) 2001年度の実績
(イ) 無償資金協力
  81年度以降、水産、電化や給水案件に対して協力を実施してきている。2001年度には「カヤンゲル州漁業施設改善計画」を、また2001、2002年度にまたがる援助として「パラオ国際ターミナルビル改善計画」を実施している。また、96年9月、パラオの首都コロールとパラオ本島を結ぶ唯一の橋梁であるコロール・バベルダオブ橋が崩落し、給水管と送電線が切断され、コロール地域が断水と停電に見舞われるという状況に直面した。我が国は簡易水槽、ポリ容器、発電機等を供与する緊急援助を行うとともに、この橋梁の再建のため、98年度から4カ年にわたり「新コロール・バベルダオブ橋建設計画」を実施しており、2002年1月に完成を見ている。
(ロ) 技術協力
  個別専門家派遣、研修員受入れを中心として行っている。96年8月には青年海外協力隊派遣取極が締結された。2001年には、日米コモン・アジェンダの枠組において実施し、2000年1月に完了したパラオ国際珊瑚礁センターに対して専門家や青年海外協力隊の派遣を行った他、JICA調査団を派遣して技術協力プロジェクト「パラオ国際珊瑚礁センター強化プロジェクト」の実施を目指している。

3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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