[9]バヌアツ

1.概   説

 80年に英・仏共同統治下より独立した。91年の総選挙以降、独立以来の英寄りの政権に替わって、仏寄りの穏健諸党連合(UMP)が他党と連立して政権に就いていたが、95年11月の総選挙後は首相が目まぐるしく交代し、98年3月に、総選挙を経てカルポカス・バヌア・アク党党首が政権に就いたが、99年11月、英語系のソペを首班とする連立政権が成立した。2001年4月、ソペ首相に対する不信任案が可決され、ナタペイ首相が率いる英語系のバヌア・アク党と仏語系の穏健政党連合の連立政権が誕生した。2002年5月に総選挙が行われ、連立政権が政権をとり、ナタペイ首相が再選された。
 バヌアツは、歴史的な関係から英仏との関係が強く、様々な面で両国の影響力が大きい。外交面では、非同盟主義の推進、南太平洋諸国との連携強化、ニューカレドニア島などに見られる独立運動の支援、反核政策の推進等を基調としている。独立以来、主要西側諸国に加え、中国、キューバ、リビア、イスラエル等と多角的に外交関係を開設している。
 経済面では、経済的自立、人的資源開発、国内天然資源の効果的開発等を目的とした第三次国家開発計画(92~96年)を導入し、社会・経済開発に取り組んできた。しかし、農林水産業等第一次産業、各種基盤インフラ等いずれの分野をとっても未だ開発が不十分であるため、外国援助に対する期待も大きい。ADBの協力を得て97年半ばより始まったCRP(包括的改革計画)の下、投資誘致、輸出促進、小規模企業の育成、農村部の経済活動の奨励等を通じ、民間セクター活性化を図っている。主要産業は農業と観光であり、農産品は輸出の大半、GDPの約1/5を占めている。牛肉、木材、ココア、カボチャが主要輸出品であるが、輸出額は輸入額の約22%(99年)にとどまり多額の貿易赤字を抱えている。一方、サービス産業はGDPの約2/3を占め、中でも観光は重要な外貨収入源である。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

 我が国との関係では、81年1月に外交関係を設立した後、95年6月にコーマン首相、97年10月にボオール首相(第1回「太平洋・島サミット」)、2000年4月にソペ首相(第2回「太平洋・島サミット」出席)、2003年5月にナタペイ首相(第3回「太平洋・島サミット」出席)が訪日する等近年要人の交流が活発化している。貿易面でも牛肉の輸入額が増加する等徐々に緊密化しつつある。2000年4月の第2回「太平洋・島サミット」での提言を受け、2001年6月、政治・経済面に止まらない国民相互間の「心と心のふれあい」を目指した、我が国と太平洋諸島各国の知的交流や文化交流などの促進を目的に、官民からなる太平洋知的対話ミッションをバヌアツを含む太平洋諸島各国に派遣した。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 基本方針
 LLDCであるバヌアツは、第一次産業、各種基盤インフラ等のいずれの分野をとっても開発ニーズが大きく、両国関係の緊密化に伴い、我が国への期待感も毎年高まりを見せていること等を踏まえ、運輸・電力等の経済インフラ整備や医療機材整備等のBHN分野を中心とした無償資金協力、人造りを中心とした技術協力を実施してきている。
(2) 2001年度の実績
(イ) 無償資金協力
 97年度から4カ年「エファテ島道路改良計画」として、首都ポートビラの位置するエファテ島の道路舗装を行うとともに、道路維持管理機材の供与を行った。
(ロ) 技術協力
 同国が周辺諸国の中では比較的人口も多く、かつその約半数が若年層であるという事情から、現在まで教育・訓練等の人材育成分野を中心に協力を実施してきている。また、太陽光発電を利用した「地方電化プロジェクト」を99年から実施しており、クリーン・エネルギーを利用した技術移転を図っているところである。

3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
前ページへ 次ページへ