トンガは、1900年に英国の保護領となったが、70年に独立し、65年に即位した国王トゥポウ四世を元首とする立憲君主国家である。
強い王権の下、三権分立の体制をとっている。近年は民主主義運動も見られるが、国王のカリスマ性は依然根強く、政権は比較的安定している。
外交面では、英連邦加盟国として英連邦諸国、特に旧宗主国である英国との緊密な関係の保持、南太平洋の域内協力の推進、国連専門機関等の諸機関へのオブザーバーとしての積極的参加等をその基調としている。我が国を含むアジアとの交流も盛んであるが、我が国以外では韓国等と良好な関係を保ち、特に王室のある国に親近感を有している。トンガはこれまで台湾と国交を有してきたが、98年11月にこれを断絶し、中国と国交を結んだ。また、99年9月、国連に加盟。
経済面では、伝統的な食糧作物生産及びカボチャ、バナナ、コプラ(乾燥したやしの実)、ココナツ、バニラ、インゲン豆等主要輸出作物生産を中心とする第一次産業依存型である。トンガ経済はカボチャ輸出に頼るところが大きいが、近年はカボチャの生産高及び輸出額は不作や他国との競争等により減少傾向にある。単一生産物(カボチャ)への過度の依存を回避し、新たな輸出産品を開発することが課題となっている。最近では、水産資源として海藻(もずく)、農産品ではスイカ等が新たな輸出産品として検討されている。観光分野では、トンガ国営航空と海外航空会社との共同運行や新航空路開設・飛行場の整備等に力を入れ、ホエール・ウォッチング等を活用し振興に努めている他、2000年を世界で最初に迎える国のひとつとして、キリバスやフィジーと並んで活発なプロモーションを行った。また、政府は歳出抑制のために政府組織及び公共部門の合理化を進めるとともに、世界貿易機関(WTO)加盟に向けて準備中である。
我が国との関係は極めて良好である。トンガ王室は、国王が度々訪問する等、我が国皇室と緊密な関係にある他、相撲やラグビー、そろばん等を通じての交流も盛んである。トンガ産カボチャの対日輸出は生産高及び価格の変動に左右される面はあるものの、トンガ経済に大きく貢献しており、経済関係も徐々に進展しつつある。
96年には、我が国の大学で経済博士号を取得し、また全国大学ラグビーでも活躍した親日家のマサソ・パウンガが労働・商工・観光大臣に任命され、我が国との経済交流を図るべく、頻繁に訪日している。また、97年10月に東京で開催された第1回「太平洋・島サミット」にはヴァエア首相(当時)が参加している。2000年4月及び2003年5月には、「太平洋・島サミット」に参加するため、ウルカララ首相が訪日した。2001年8月、小島外務大臣政務官(当時)は、ナウルにおける日・PIF域外国対話に続いてトンガを訪問し、トゥポウ四世国王に謁見したほか、ヴェイクネ国会議長らと会談した。2002年8月、植竹外務副大臣(当時)がフィジーで行われたPIF域外国対話に出席した際、ウルカララ首相と会談した。
(参考1)主要経済指標等