[5]ツ バ ル

1.概   説

 99年4月就任のイオナタナ首相が2000年12月に急逝。2001年2月にルカ首相が就任したが、同年12月、内閣不信任案可決により辞任し、タラケ首相が就任した。2002年7月に任期満了に伴う総選挙が実施され、8月にソポアンガ前大蔵・経済企画兼観光・貿易商業相が首相に就任した。
 外交面では、西側諸国との友好関係維持・強化を基調としている。地域国際機関(PIF、PC)には独立以来加盟している。当面の課題は、隣国ナウルの燐鉱石の枯渇に伴い失業し帰国する多くのツバル人の再就職問題である。
 海抜の低いツバルにとって最大の関心事である地球温暖化による海面上昇問題については、98年12月の気候変動枠組条約第四回締約国会議(COP4)にも代表を参加させ、各国に問題の重要性を訴えるなど、小島嶼国の代表格として積極的な働きかけを行った。なお、2000年9月、国連加盟が実現した。
 主な国家収入源は入漁料、外国漁船等出稼ぎ者の本国送金等である。95年8月には政府支出抑制、輸出事業の開拓、インフラ整備、教育の充実等を重点項目とする国家開発戦略(95~98年)を公表したが、国家規模は小さく、注目に値する資源もないため、経済的自立実現は非常に困難な状況にある。99年よりドメインコード「tv」の使用権の契約料が入ることとなったが、あくまで臨時収入との位置付けであり、経済自立へ向けた各種収入の計画的・効率的な利用が課題。
 ツバルは英国の財政援助が削減されること等を理由に、87年、英国、豪州、ニュージーランドよりの拠出金を主体として、我が国及び韓国の拠出金も加えた「ツバル信託基金」を設立し、基金の利子を政府経常予算に充てる方策を講じた。この基金は順調な発展を続け、その運用益は98年で国家財政(約8百万ドル)の約18%(約1.4百万ドル)を賄っており、経済発展及び国家運営に大きな貢献をしていたが、2001年度には米経済の減速等の影響等を受け、マイナス運用となり、今後の健全な運営が課題。
 我が国との関係では、政府間漁業協定が86年に発効している。97年10月にパエニウ首相(当時)が第1回「太平洋・島サミット」出席のため来日、97年12月のCOP3の直前に再度訪日し、地球温暖化による海面上昇問題についての小島嶼国の立場を訴えた。更に、98年8月、我が国は長谷川元駐豪大使を団長とする政策対話ミッションをツバルに派遣し、両国間の対話の促進に努めた。2000年4月、第2回「太平洋・島サミット」出席のため、イオナタナ首相(当時)が訪日した。2001年6月、ルカ首相(当時)が訪日した。2003年3月に京都で開催された世界水フォーラムにはトアファ副首相が出席し、同年5月の第3回「太平洋・島サミット」には、ネレソネ官房長官が出席した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 基本方針
  LLDCであるツバルは、人口約1万人(2000年、ADB統計)と国家規模が非常に小さいこと、海洋資源(水産資源及び鉱物資源)の開発に努力していること等を踏まえ、水産分野を中心に無償資金協力を行っている。
(2) 2001年度の実績
(イ) 無償資金協力
  過去の援助の例として、2000年度には「離島漁村間連絡船建造計画」を実施し、離島間における水産物を中心とする物資輸送を支援した。2001年度には「プリンセスマーガレット病院建設・医療機材供与計画」を実施し、同国における唯一の総合病院の老朽化に対応すると共に、必要な機材の供与を行った。
(ロ) 技術協力
  2001年度も研修員受入れを中心に実施しており、水産分野への専門家派遣も行っている。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施草の根無償資金協力案件
(参考2)ツバル信託基金(Tuvalu Trust Fund:TTF)の概要
1. 87年6月、本件基金設立協定がツバル、豪州、ニュージーランド、英国の間で署名された。
2. 我が国よりは、UNDP太平洋島嶼国特別基金(87年設立、総額200万米ドル)の中から本件基金に50万米ドルを拠出した(87年12月)。
3. 本件基金は次の目的のためツバル政府によって使用される。
  英国の財政援助削減の埋合わせ
  諸プロジェクトの維持、管理費の補填。
  収益の使用は最小限に留め、可能な限り基金への再投資に充てる。
4. 拠出、運営手続き等は次のとおり。
  各拠出国は投資形態を選択できる(例:国債、有価証券等)。
  基金からの脱退は保管人たるオーストラリア政府に脱退証書を寄任することにより可能。但し、ツバル政府は原則として脱退できない。
  拠出国はツバル政府予算に関する情報アクセスし、助言を行うことができる。また必要に応じ基金運営をモニターするための年次会合を開催する。
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