[4]ソロモン
1.概 説
78年に英国より独立した、エリザベスII世女王(英女王)を元首とする立憲君主国家である。98年末より首都ホニアラのあるガダルカナル島においてガダルカナル島民とマライタ島民による部族対立のため緊張が高まり、2000年6月、ウルファアル首相がマライタ側の反政府武装勢力によって拘束されるという事件が発生した。その後、ウルファアル首相は辞任し、7月1日には、野党党首ソガワレが首相に就任した。同年10月、政府、ガダルカナル及びマライタ武装勢力の三者が、豪、ニュージーランドの仲介のもと、豪州タウンズビルで和平協定を締結した。2001年12月には、2000年の首相拘束事件以来初の総選挙が実施され、ケマケザ前副首相が新首相に選出された。同首相は、法秩序の回復に取り組んでいるものの、武装解除を含む平和構築を自力で達成するために早急に必要とされる法秩序と経済ガバナンス部門での行政機能の確立という困難な課題に直面している。
外交面では、歴史的に英国、豪州等英連邦諸国と緊密な関係を有しているが、かつて最大の援助国であった旧宗主国たる英国の援助が近年減少しているため、援助供与国の多角化を進めている。また国連、ESCAP、世界銀行、IMF、ADB等にも加盟し援助拡充を図っているほか、周辺国との連携を強め、協力関係を推進している。近年は太平洋諸島フォーラム(PIF)の枠組みを重視し、また、経済的つながりの強化のためアジア指向を強めている。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
経済面では、木材、魚、コプラ(乾燥したやしの実)等の一次産品輸出に大きく依存しているため、常に一次産品の国際価格下落の影響を受けている。また、依然として地方農村部においては自給自足経済が営まれており、都市部と地方との生活水準には大きな格差があるほか、急激な人口増加への対応が課題である。また、2000年6月以降国内情勢が混迷する中、輸出に大きく貢献していた多数の外資系を含む有力企業が撤退ないしは業務を縮小した他、多くの国民が国内避難民または失業者となるなど、経済活動は停滞し、政府歳入の深刻な減少を招いている。ケマケザ首相は経済・財政再建に取り組んでいるが、元兵士の武装解除や就業対策など課題は多い。
我が国との関係は、古くは第二次大戦時の占領に始まるが、極めて親日的であることに加え、漁業分野においては、78年に政府間漁業協定が発効している。97年10月にはウルファアル首相(第1回「太平洋・島サミット」)、99年10月及び2000年4月(第2回「太平洋・島サミット」)にはオティ外相、2003年5月にはケマケザ首相(第3回「太平洋・島サミット」)が訪日する等、近年両国関係は緊密化しつつある。
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 基本方針
ソロモンは従来より親日的であり、同国200海里経済水域は我が国の漁業にとり重要な漁場である。また、英・豪等伝統的援助供与国がその規模を削減する中、雇用や経済活性化の面からも我が国の経済協力に対する期待が高まっている。以上の観点から、水産分野や運輸インフラ整備を中心とする無償資金協力を実施するとともに、研修員受入れ、青年海外協力隊派遣、開発調査等を中心とする技術協力を行ってきた。
(2) 2001年度の実績
2000年6月の首相拘束事件以降、不安定な政治・治安情勢に鑑み、我が国の援助は草の根資金協力や若干の研修員受入等、限定的な範囲に止めている。
(イ) 無償資金協力
過去の援助として、「ヘンダーソン国際空港整備計画」に対し、増加する航空需要に対応するため、老朽化している国際線ターミナルビル、駐機場及び誘導路等の整備を96年度から2カ年にわたり実施した。また、98年度には、「ルンガ地区電力開発計画」を実施し、電力の安定供給のための施設の整備を行った。また、2001年に実施された総選挙に対して、車両・カヌー、投票箱等を草の根無償資金協力により供与した他、7件の草の根無償資金協力が行われている。
(ロ) 技術協力
2000年度当初青年海外協力隊(シニア海外ボランティア)50名、専門家1名を派遣したが、ソロモンの不安定な政治状況により援助要員の派遣を伴う事業を一時停止していた。しかし、2002年3月、「海外安全渡航安全情報」の危険度が3→2に緩和されたことに伴い、「人の派遣を伴う事業」再開に向けて準備を開始した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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