クック諸島は、英国の属領、ニュージーランドの属領時代を経て、65年憲法施行によって立法権を確立し、ニュージーランドとの自由連合関係に入り、現在内政自治権及び一定限度の外交権を有している。99年の総選挙後に就任したマオアテ首相は連立与党内の権力抗争の結果2002年2月に不信任を可決され、2001年7月より副首相兼外相をつとめていたウーントン新政権が発足した。
対外関係では、ニュージーランドとの自由連合関係維持をその基本姿勢とし、国際法上ニュージーランド政府が外交・国防の任を負ってはいるものの、実際上はクック諸島政府の決定に対するニュージーランド政府の影響力は限定されている。また、国際機関等への参加についても意欲的な姿勢を見せており、太平洋島嶼国との協力関係も推進している。
経済面では、クック諸島は、国内市場(人口約1.9万人)が小規模なため、観光業を除いて主だった産業が成長しておらず、現在観光業とそれに関連するサービス産業がGDPの約80%を占めている。公共サービスの急激な拡大により、莫大な対外債務を招き、成長率がマイナスにまで低下したため、96年、ヘンリー政権は、厳しい行政・構造改革プログラムを策定し、97年度には大幅な歳出予算削減や公務員の半数以上の削減などを行い、12.5%の付加価値税を導入した。この結果、民間の雇用吸収能力不足により労働力の国外流出を招いたものの、政府事業の民営化等により経済活性化が図られつつある。貿易相手国としては、輸出入とも約80%を占めるニュージーランドが中心である。また、ニュージーランドはクック諸島の最大の支援国であり、80年代までその援助額はクック諸島のGDPの30%にも相当していたが、現在はクック諸島の自主独立を促すため段階的に援助額を減らしている。
(参考1)主要経済指標等