マルタは、64年に英国から独立し、74年に共和制に移行した。地中海地域における交易の重要な位置を占めている。87年以降親西欧、自由主義経済を推進するアダミ国民党内閣が政権を担当し、EU加盟を目指した経済の自由化、公営企業の民営化、産業再編・合理化、生産性の向上による輸出振興、外国資本の誘致等の政策を推進した。96年10月の総選挙では、95年に導入した消費税が予想以上に国民の不興を買い、大方の予想に反して労働党が勝利し、サント党首が新首相に選出された。しかし労働党の内紛により、98年8月に議会が解散され、9月の総選挙で国民党が政権に復帰した。
前労働党政権において、EU加盟はマルタの中立性を損なうものとして、90年7月の加盟申請が凍結されたが、国民党政権が、EU加盟を最重要案件として、加盟申請を復活させ、EU側もこれに応じて、2000年2月から加盟交渉が開始された。
マルタは国土が狭く、人口はわずか37万人で、天然資源も乏しく、従来は造船・船舶修理及び観光が主要産業であった。旧国民党政権は、公共部門の縮小、企業家育成、貿易自由化等の経済の自由化、観光・製造業等の強化、ハイテク産業及びオフショア・ビジネスの奨励等により、投資誘致、雇用の増大等の実績をあげた。同国経済は順調に推移し、98年は、実質GDP成長率2.8%、失業率4.9%、物価上昇率2.4%と安定している。
90年8月アダミ首相、同年11月タボーネ大統領が訪日している。