2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) ミャンマーに対する政府開発援助の基本的考え方
 ミャンマーは、我が国と緊密で良好な関係を有し、独立後一貫して親日国であること、及び同国の大きな開発ニーズを踏まえ、他の東南アジア諸国と並んで我が国援助の重点国の一つとして位置付けられていた。しかし、88年の政変以降は、一定の分野を除いてミャンマーへの経済協力は実質上停止されていた。
 95年7月のスー・チー女史の自宅軟禁解除等に見られる事態の進展を受け、上記方針を一部見直し、同国の民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面は既往継続案件や民衆に直接裨益する基礎生活分野の案件を中心に個別に検討の上実施するとの方針に基づき協力が実施されている。
(2) 2001年度の援助実績
(イ) 総論
 2001年度のミャンマーに対する援助実績は93.42億円。うち、無償資金協力は60.33億円(債務救済無償を含む、交換公文ベース)、技術協力は33.19億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、有償資金協力は4,029.72億円、無償資金協力は1,715.15億円(以上、交換公文ベース)、技術協力は250.90億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 有償資金協力
 有償資金協力については、87年度以降は新規円借款の供与を行っていない。但し、98年3月、既往案件である「ヤンゴン国際空港拡張計画」につき、その後の同空港の利用状況の急増及び施設の著しい老朽化から、同空港の安全維持のためには緊急な対応が必要と判断し、安全面に絞った必要最低限の応急措置を決定(約25億円の貸付の実行)している。
(ハ) 無償資金協力
 無償資金協力については、2001年12月、ケシ栽培の撲滅のために農民の生活条件の改善及び自立を支援するためのインフラ整備の一環として「シャン州北部コーカン地区道路建設機材整備計画」(5.84億円)及び「シャン州北部コーカン地区電化計画」(2.16億円)を実施すると共に、2002年4月には医療サービス機能の改善を目的とした「ヤンゴン市内病院機材整備計画」(7.92億円)を実施した。その他、2002年1月に、市場経済化を担う人材育成のため「人材育成奨学計画」(2.03億円)を実施した。
(ニ) 技術協力
 技術協力においては、BHN、民主化、経済開放化に資する協力を中心に実施している。医療・保健分野では、ハンセン病対策・基礎保健サービス改善のためのプロジェクトを実施している他、C型肝炎対策の専門家を派遣した。農業分野では、灌漑技術や共有林の普及についてのプロジェクトを実施している。また、近年注目されている麻薬対策として、ミャンマー北西部において、ケシの代替作物としてのソバ栽培の指導の専門家を派遣している。更に将来的な市場経済化のために、専門家を派遣して統計技術などの指導も行っている。
 また、開発調査として、水供給マスタープラン調査、再生可能エネルギー導入調査等を実施している。
(ホ) その他
 99年11月の日・ミャンマー首脳会談の際、小渕総理(当時)より、ミャンマーの経済構造調整支援を行う用意がある旨表明したことを踏まえ、ミャンマーにおける経済構造調整にむけた自助努力を支援するため日本、ミャンマーの政府、産業界、学界からなる合同タスクフォースを設立し、「財政・金融」、「産業・貿易」、「IT」、「農業・農村」等の分野において政策提言を行うこととしている。これまでに5回のワークショップ(第1回2000年6月ヤンゴン、第2回同年12月東京、第3回2001年11月ヤンゴン、第4回2002年7月東京、第5回2002年12月ヤンゴン)が開催された。最終報告書は近く完成する予定。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件


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