長年にわたる英国とグアテマラとの紛争を経て、81年に独立を達成した。98年8月の総選挙では人民連合党(PUP)が勝利し、ムサ政権が誕生した。PUPが議会で多数を制していることもあり、ムサ政権は安定しており、2003年3月の総選挙でもPUPが勝利を収め第2次ムサ政権が発足した。同政権は、安定した経済成長の実現や、急増した中米難民(人口の14%に達する)への対応等を課題としている。
外交面では、同国が国連総会決議に基づき独立したこともあり、国連中心の外交を展開している。英連邦の一員及びカリブ共同体の加盟国として、伝統的に英国及びカリブ諸国とは緊密な関係を有してきたが、2001年にはSICA(中米統合機構)に正式加盟し、中米諸国の一員としての活動も活発化している。ベリーズの領有権を主張していた隣国グアテマラとは、91年の外交関係樹立後もしばしば領土問題で対立してきたが、2000年9月に両国合意の下で調停者パネルがOAS(米州機構)本部内に設置され、2002年に同パネルの勧告が発出され、領土問題解決に向け前進が見られることが期待されている。
経済面では、93年発足の第2次エスキベル政権(UDP:民主連合党)の下で、財政再建が最優先課題とされ、緊縮財政政策を取ったために景気は停滞気味となり、97年以降は再度経済拡大政策が採られた。ムサ現政権においても積極的な財政政策が継続され、2000年にはGDP成長率10.5%を達成し、2001年は4.7%、2002年は5.1%となった。最大の産業は伝統的に農業であり、その主たる産物は砂糖であるが、近年の世界的な供給過剰、価格低迷により、バナナ、エビ、柑橘類等輸出品の多角化を推進している。また、観光業は今後最も期待される産業の一つである。
我が国との関係は、93年に開始された日・カリブ協議等を通じ強化されつつあり、2001年8月には山口政務官のベリーズ訪問、駐日ベリーズ大使館開設が実現し、良好な関係が更に発展する方向にある。