[28]ベリーズ

1.概   説

 長年にわたる英国とグアテマラとの紛争を経て、81年に独立を達成した。98年8月の総選挙では人民連合党(PUP)が勝利し、ムサ政権が誕生した。PUPが議会で多数を制していることもあり、ムサ政権は安定しており、2003年3月の総選挙でもPUPが勝利を収め第2次ムサ政権が発足した。同政権は、安定した経済成長の実現や、急増した中米難民(人口の14%に達する)への対応等を課題としている。
 外交面では、同国が国連総会決議に基づき独立したこともあり、国連中心の外交を展開している。英連邦の一員及びカリブ共同体の加盟国として、伝統的に英国及びカリブ諸国とは緊密な関係を有してきたが、2001年にはSICA(中米統合機構)に正式加盟し、中米諸国の一員としての活動も活発化している。ベリーズの領有権を主張していた隣国グアテマラとは、91年の外交関係樹立後もしばしば領土問題で対立してきたが、2000年9月に両国合意の下で調停者パネルがOAS(米州機構)本部内に設置され、2002年に同パネルの勧告が発出され、領土問題解決に向け前進が見られることが期待されている。
 経済面では、93年発足の第2次エスキベル政権(UDP:民主連合党)の下で、財政再建が最優先課題とされ、緊縮財政政策を取ったために景気は停滞気味となり、97年以降は再度経済拡大政策が採られた。ムサ現政権においても積極的な財政政策が継続され、2000年にはGDP成長率10.5%を達成し、2001年は4.7%、2002年は5.1%となった。最大の産業は伝統的に農業であり、その主たる産物は砂糖であるが、近年の世界的な供給過剰、価格低迷により、バナナ、エビ、柑橘類等輸出品の多角化を推進している。また、観光業は今後最も期待される産業の一つである。
 我が国との関係は、93年に開始された日・カリブ協議等を通じ強化されつつあり、2001年8月には山口政務官のベリーズ訪問、駐日ベリーズ大使館開設が実現し、良好な関係が更に発展する方向にある。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) 基本方針
 ベリーズは独立後日が浅く、国の規模も小さいことから、援助の実績は少ない。
 技術協力に関しては、行政、社会基盤、自然保護、水産等の分野における研修員受入れや専門家派遣、機材供与等による援助を行ってきたが、99年9月、青年海外協力隊派遣取極が締結され、2003年2月末現在5名の協力隊員が活動している。95年度まで有償資金協力、無償資金協力の実績は全くなかったが、96年度より草の根無償資金協力を開始した。
 緊急援助に関しては、2001年10月のハリケーン災害に対して緊急援助物資(1,100万円相当)を供与した。
(2) 2001年度の実績

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

(イ) 総論
 2001年度のベリーズに対する援助実績は0.95億円。うち、無償資金協力は0.19億円(交換公文ベース)、技術協力は0.76億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、無償資金協力は1.58億円(交換公文ベース)、技術協力は3.18億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 無償資金協力:保健・教育分野を中心に実施。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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