2000年末の総選挙で、与党・統一国民会議(UNC)が議席数を増やし、パンディ一首相が95年以来の再任を果たした。与党UNCの分裂の結果行われた2001年の総選挙では、与党UNCと野党・人民国家運動党(PNM)が同数の18議席を獲得した。しかし、ロビンソン大統領が野党のマニングPNM党首を首相に任命したため、野党に転じたUNCと与党PNMとの関係が悪化し、国会が機能停止状態に追い込まれた。2002年10月、政局打開のため改めて総選挙が実施された結果、与党PNMが20議席を獲得し勝利した。これを受けて、マニングPNM党首が首相に再任され、政治情勢は安定化の方向へ向かっている。
外交面では、米、英、加、カリコム(カリブ共同体)諸国との協調を重視し、比較的穏健な非同盟路線をとっている。特に、OPEC(石油輸出国機構)非加盟の産油国として、経済水準の高さを背景にカリブ単一市場経済(CSME)を積極的に推進し、域内において指導的地位を占めている。
経済面では、鉱業(石油、天然ガス)及び工業(石油精製、石油化学)を主要産業としている。93年以降、エネルギー部門の拡大とともに、構造調整政策の効果が現れ始め、成長はプラスに転じ比較的安定している。2002年のGDP成長率は2.7%と、9年連続のプラス成長を記録した。
我が国との貿易は、従来から大幅な対日輸出超過となっていたが、93年には対日輸入超過に転じた。両国関係は、93年に開始された日・カリブ協議等を通じ強化されている。93年にモトレー蔵相(当時)、94年にセイス計画・開発相(当時)が訪日し、我が国からは2001年に山口外務大臣政務官が同国を訪問した。