[20]トリニダード・トバゴ

1.概   説

 2000年末の総選挙で、与党・統一国民会議(UNC)が議席数を増やし、パンディ一首相が95年以来の再任を果たした。与党UNCの分裂の結果行われた2001年の総選挙では、与党UNCと野党・人民国家運動党(PNM)が同数の18議席を獲得した。しかし、ロビンソン大統領が野党のマニングPNM党首を首相に任命したため、野党に転じたUNCと与党PNMとの関係が悪化し、国会が機能停止状態に追い込まれた。2002年10月、政局打開のため改めて総選挙が実施された結果、与党PNMが20議席を獲得し勝利した。これを受けて、マニングPNM党首が首相に再任され、政治情勢は安定化の方向へ向かっている。
 外交面では、米、英、加、カリコム(カリブ共同体)諸国との協調を重視し、比較的穏健な非同盟路線をとっている。特に、OPEC(石油輸出国機構)非加盟の産油国として、経済水準の高さを背景にカリブ単一市場経済(CSME)を積極的に推進し、域内において指導的地位を占めている。
 経済面では、鉱業(石油、天然ガス)及び工業(石油精製、石油化学)を主要産業としている。93年以降、エネルギー部門の拡大とともに、構造調整政策の効果が現れ始め、成長はプラスに転じ比較的安定している。2002年のGDP成長率は2.7%と、9年連続のプラス成長を記録した。
 我が国との貿易は、従来から大幅な対日輸出超過となっていたが、93年には対日輸入超過に転じた。両国関係は、93年に開始された日・カリブ協議等を通じ強化されている。93年にモトレー蔵相(当時)、94年にセイス計画・開発相(当時)が訪日し、我が国からは2001年に山口外務大臣政務官が同国を訪問した。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) 基本方針
 カリブ地域で指導的地位を占めているトリニダード・トバゴに対しては、所得水準が比較的高いことを踏まえつつ、技術協力を中心とした援助を実施している。
 行政、商業貿易、工業分野の研修員受入れ、農業、水産分野の専門家派遣等の技術協力を行っているほか、2001年よりカリブ諸国をも協力の対象とする技術協力プロジェクト「トリニダード・トバゴ持続的海洋水産資源利用促進計画」を開始した。92年度には初めて文化無償協力を実施し、99年度には草の根無償資金協力を導入した。
(2) 2001年度の実績
(イ) 総論
 2001年度のトリニダード・トバゴに対する援助実績は2.18億円。うち、無償資金協力は0.72億円(交換公文ベース)、技術協力は1.46億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、無償資金協力は1.51億円(交換公文ベース)、技術協力は22.98億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 無償資金協力:教育、環境分野を中心に実施。
(ハ) 技術協力:海洋水産分野に対し実施。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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