[16]セントルシア
1.概 説
79年に英国から独立した。97年の総選挙ではセントルシア労働党SLPが大勝し、アンソニー党首が首相に就任した。経済の失速が懸念される中で行われた2001年総選挙では、野党の分裂に乗じた与党が2議席減としつつも圧勝し、第二次アンソニー政権が発足した。外交面では、米国、英国、カリブ諸国との関係を重視している。
経済面では、バナナの輸出を中心とした農業と観光業が主要産業である。観光業は近年の経済多角化政策により急速な成長を遂げているが、他の産業の育成は十分進んでいない。94年以降、ハリケーン等の自然災害、国際市場変動の影響を受けてバナナの生産量が落ち込み、80年代後半は平均9%であった成長率は鈍化している。特に2001年の実質GDP成長率は、米国の景気後退に加えて、2001年9月の米国における同時多発テロ事件が、欧米からの観光客に大きく依存している観光業に打撃を与えたこともあり-5.0%に落ち込み、2002年のGDP成長率も1.0%にとどまった。
我が国は80年に外交関係を開設した。両国関係は、93年より開始された日・カリブ協議等を通じ強化されつつある。98年6月、アンソニー首相が訪日し、橋本総理(当時)をはじめとする我が国の政府関係者と両国協力関係の一層の推進について話し合った。また、2000年11月に東京にて開催された第1回日・カリブ閣僚レベル会議の際には、オドラム外相が訪日した。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) 基本方針
セントルシアは独立してから日が浅く、また人口16万人程度であるが、各種技術協力及び水産無償を中心とした協力を実施している。
技術協力では、保健・医療、職業訓練等の分野での研修員受入れ等を行っている。94年8月、東カリブ地域では初めての青年海外協力隊派遣取極が締結され、教育分野を中心に同隊員を派遣し、2003年2月末現在11名の隊員が活動している。
無償資金協力については、87年度以降、漁業開発センター建設計画、水産複合施設建設計画等の水産無償5案件を実施しているほか、90年には文化無償を供与した。また、99年度に草の根無償資金協力を導入した。
(2) 2001年度の実績
(イ) 総論
2001年度のセント・ルシアに対する援助実績は4.14億円。うち、無償資金協力は2.81億円(交換公文ベース)、技術協力は1.33億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、無償資金協力は46.87億円(交換公文ベース)、技術協力は10.70億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 無償資金協力:水産分野振興及び医療保健分野に対し実施。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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