[12]ジャマイカ

1.概   説

 92年にマンレイ首相が健康問題を理由に引退し、パターソン副首相が首相に就任した。93年3月、97年12月及び2002年10月の総選挙で人民国家党(PNP)がジャマイカ労働党(JLP)をおさえ四期連続で政権を担っている。
 外交面では、非同盟グループの一員としての立場を基軸とし、米国、欧州諸国及びカリブ諸国との関係強化に努めている。また、中南米、アジア諸国との関係強化にも努めている。
 経済面では、従来からボーキサイトなどの鉱物資源や砂糖、バナナといった農産物の輸出に依存している。ボーキサイト、アルミナは輸出額の約7割を占めるが、近年、観光業がこれらを上回る外貨獲得源となっている。また、以前は主要輸出品目の1つであった繊維製品については、NAFTAの影響でメキシコに北米市場を奪われ、多くの工場が閉鎖を余儀なくされた。
 政府は40億ドル超の対外債務を抱えていることもあり、緊縮予算、高金利政策をとっており、95年には25.5%だったインフレ率は99年には6.8%に減少した。他方、20%以上の高金利により投資が抑制され、経済成長率は96年から99年までマイナス成長が続いた。2001年には景気が若干回復し、実質GDP成長率は2.5%を記録した。失業率は15.1%(2002年)と高く、恒常的な貿易不均衡の問題もある。
 近年、我が国との関係は官民ともに緊密化しつつある。92年には駐日ジャマイカ大使館が開設され、95年には我が国からジャマイカに常駐の大使が派遣された。また、93年以来同国を含むカリブ共同体との政策対話(日・カリブ協議)が行われている。要人往来は、97年5月、我が国の皇族としては初めて秋篠宮同妃両殿下が御訪問され、2001年1月には平沼経済産業大臣、8月には山口外務大臣政務官(当時)が訪問した。ジャマイカ側からは、91年にマンレイ首相、98年10月にパターソン首相、2000年11月にロバートソン外相(第1回日・カリブ閣僚レベル会合)、2001年6月ディヴィス蔵相、2002年2月にはヒルトン鉱業エネルギー相が訪日した。また、我が国からの観光客は、2001年には約5,400人となっている。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

 貿易面では、ブルーマウンテンコーヒーで知られるジャマイカ産コーヒーの全輸出量の8割以上は我が国向けであるが、自動車及び機械類を中心とする我が国の大幅な輸出超過が続いている。

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) 基本方針
 ジャマイカは、カリブ地域の主要国であることや、我が国との関係も緊密化してきていることを踏まえつつ、有償資金協力及び技術協力を中心とした援助を実施している。
 有償資金協力については、81年度に21億円の商品借款を供与したのを皮切りに、農業、基礎インフラ分野などに対する円借款を供与しているほか、債務繰延を行っている。近年では、96年度より、「キングストン首都圏上水道整備計画」に対する円借款の供与を行った。
 無償資金協力については、97年度に水産無償を実施したほか、文化無償及び草の根無償を中心として実施している。
 技術協力については、保健・医療、行政、工業等の分野において研修員受入れを中心とした協力を行うとともに、97年度より初の技術協力プロジェクトである「職業訓練教育プロジェクト」が開始され、2000年度末までに本プロジェクトで訓練を受けた70名の専門家が活躍している。また、98年から2003年まで南部地域におけるプライマリー・ヘルスケア促進を図る「南部地域保健強化プロジェクト」を実施している。さらに、89年より青年海外協力隊の派遣を行っており、2003年7月末現在31名の隊員が活躍している。
 同国における援助協調の動きとしては、UNDP等の国際機関、各国大使館・援助実施機関の間で「国際開発援助パートナー年次ドナー会合」が定期的に開催されている。
(2) 2001年度の実績
(イ) 総論
 2001年度のジャマイカに対する援助実績は7.78億円。うち、無償資金協力は1.35億円(交換公文ベース)、技術協力は6.43億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、有償資金協力は552.39億円、無償資金協力は13.24億円(以上、交換公文ベース)、技術協力は54.48億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 無償資金協力:民生・環境分野及び教育分野を中心に実施。
(ハ) 技術協力:教育・保健医療分野に対し、重点的に実施。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
前ページへ 次ページへ