[11]コロンビア

1.概   説

 コロンビアは、憲政が100年以上継続し、一貫して文民政権の下で民主主義制度を維持してきた。経済面でも、伝統的に堅実な経済運営を行っており、債務リスケを行ったこともない。
 一方、コロンビアには、左翼系反政府組織として、「コロンビア革命軍(FARC)」及び「国民解放軍(ELN)」の2大勢力が存在し、政府、治安当局等に対する政治目的のテロを行う一方、資金調達のための誘拐、脅迫、強盗等を行っている。また、麻薬取引で巨額の資金を調達しているとされる。これら左翼系組織に相対する自衛組織「パラミリタリー(極右不正規民兵組織)」との間でも激しい抗争が続いている。コロンビアでは、このような武力紛争が40年以上にわたって続いている。
 2002年8月に発足したウリベ政権は、治安強化を打ち出して和平問題に積極的に取り組んでおり、国民からの高い支持を受けている。また、パラミリタリーとの和平プロセスを正式に立ち上げ、更に将来的な和平プロセスの再開を念頭に置きつつ、左翼ゲリラとの接触も維持しようとしている。しかしながら、和平交渉実現の目処は立っておらず、武力抗争はむしろ激化している。ウリベ政権は前政権時代に発表されたプラン・コロンビア(包括的国家戦略)を継承しており、同プランの柱である和平、麻薬対策、司法改革、経済対策、社会開発等で国際社会の支援を要請している。2001年、ブリュッセルにおいて「第3回コロンビア和平プロセス支援国会合」が開催され、各ドナー国・国際機関がコロンビア和平プロセスへの一致した支援を表明した。
 サンペール元大統領の時代には、麻薬選挙資金疑惑のために対米関係が悪化したが、パストラーナ前政権時代に対米関係は回復、ウリベ大統領は米政府と極めて良好な関係を維持している。また、コロンビアは、伝統的に国際問題に対する関心が高く、リオ・グループ及びアンデス共同体の主要メンバーとして、中南米地域の政策協調及び国際場裡での発言力の強化に貢献している。
 経済面では、99年にコーヒー価格の低迷、世界的不況の影響を受け、32年以来初のマイナス成長を記録したが、2000年以降は再びプラスに転じている。コロンビアは鉱物資源(石油、石炭等)及び水産資源が豊富であり、文化・教育水準も高く、人口(約4,200万人)も中南米ではブラジルとメキシコに次ぐ規模であり、発展の潜在力は大きい。
 コロンビアは、地理的に両洋に面するが、従来大西洋岸が交易の中心として発達し、欧米諸国との関係が密であった。しかし、近年、太平洋岸の経済開発を重視しており、我が国をはじめとする環太平洋諸国との経済関係の強化に極めて熱心である。94年にはPECC及びPBECに正式加盟を果たした。
 我が国とは伝統的に友好的な関係を維持している。99年には日本人コロンビア移住70周年記念式典が行われたほか、同年5月にはパストラーナ前大統領が訪日(公式実務訪問)した。また、2002年には、国連総会の際に、我が国との首脳会談が実現している。

(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標

2.我が国の政府開発援助の実績とあり方

(1) 基本方針
 コロンビアは石炭、石油等の資源に恵まれ、経済運営も比較的堅実で中南米地域において債務繰延べを行っていない数少ない国の一つであることや、我が国との伝統的友好関係及び近年の関係緊密化等を考慮し、技術協力を中心とした援助を実施している。99年1月の地震災害に際しても、我が国は緊急援助物資の供与、緊急無償資金協力とともに、国際緊急援助隊や、インフラ等の復興支援のための専門家等を派遣している。
 なお、コロンビアへの人の派遣を伴う協力は、安全確保の観点から対象都市・地域を制限して実施している。
 有償資金協力については、上下水道、農業開発分野等において供与実績がある。近年では、95年度「アリアリ川流域農業開発計画」に対し、円借款の供与を行った。
 無償資金協力については、85年度、90年度、96年度及び2000年度には例外的に医療分野の一般プロジェクト無償資金協力を行ったほか、94年度及び98年度には地震被害に対する復興、被災者支援を行っている。特に草の根無償では、国内避難民の生活向上を目的とした小学校建設、飲料水供給等の基礎インフラ整備案件を多数実施してきている。また、文化無償も実施している。
 技術協力については、援助関係者の安全確保に十分な配慮を払いつつ、保健・医療、農業、鉱工業などの分野で各種形態により協力を行っている。
(2) 2001年度の実績
(イ) 総論
 2001年度のコロンビアに対する援助実績は15.28億円。うち、無償資金協力は3.11億円(交換公文ベース)、技術協力は12.17億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、有償資金協力は673.16億円、無償資金協力は72.79億円(以上、交換公文ベース)、技術協力は225.41億円(国際協力事業団(JICA)経費実績ベース)である。
(ロ) 無償資金協力:農林水産分野、環境、教育分野を中心に実施。
(ハ) 技術協力:農業・工業分野に対して重点的に実施。

3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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