コロンビアは、憲政が100年以上継続し、一貫して文民政権の下で民主主義制度を維持してきた。経済面でも、伝統的に堅実な経済運営を行っており、債務リスケを行ったこともない。
一方、コロンビアには、左翼系反政府組織として、「コロンビア革命軍(FARC)」及び「国民解放軍(ELN)」の2大勢力が存在し、政府、治安当局等に対する政治目的のテロを行う一方、資金調達のための誘拐、脅迫、強盗等を行っている。また、麻薬取引で巨額の資金を調達しているとされる。これら左翼系組織に相対する自衛組織「パラミリタリー(極右不正規民兵組織)」との間でも激しい抗争が続いている。コロンビアでは、このような武力紛争が40年以上にわたって続いている。
2002年8月に発足したウリベ政権は、治安強化を打ち出して和平問題に積極的に取り組んでおり、国民からの高い支持を受けている。また、パラミリタリーとの和平プロセスを正式に立ち上げ、更に将来的な和平プロセスの再開を念頭に置きつつ、左翼ゲリラとの接触も維持しようとしている。しかしながら、和平交渉実現の目処は立っておらず、武力抗争はむしろ激化している。ウリベ政権は前政権時代に発表されたプラン・コロンビア(包括的国家戦略)を継承しており、同プランの柱である和平、麻薬対策、司法改革、経済対策、社会開発等で国際社会の支援を要請している。2001年、ブリュッセルにおいて「第3回コロンビア和平プロセス支援国会合」が開催され、各ドナー国・国際機関がコロンビア和平プロセスへの一致した支援を表明した。
サンペール元大統領の時代には、麻薬選挙資金疑惑のために対米関係が悪化したが、パストラーナ前政権時代に対米関係は回復、ウリベ大統領は米政府と極めて良好な関係を維持している。また、コロンビアは、伝統的に国際問題に対する関心が高く、リオ・グループ及びアンデス共同体の主要メンバーとして、中南米地域の政策協調及び国際場裡での発言力の強化に貢献している。
経済面では、99年にコーヒー価格の低迷、世界的不況の影響を受け、32年以来初のマイナス成長を記録したが、2000年以降は再びプラスに転じている。コロンビアは鉱物資源(石油、石炭等)及び水産資源が豊富であり、文化・教育水準も高く、人口(約4,200万人)も中南米ではブラジルとメキシコに次ぐ規模であり、発展の潜在力は大きい。
コロンビアは、地理的に両洋に面するが、従来大西洋岸が交易の中心として発達し、欧米諸国との関係が密であった。しかし、近年、太平洋岸の経済開発を重視しており、我が国をはじめとする環太平洋諸国との経済関係の強化に極めて熱心である。94年にはPECC及びPBECに正式加盟を果たした。
我が国とは伝統的に友好的な関係を維持している。99年には日本人コロンビア移住70周年記念式典が行われたほか、同年5月にはパストラーナ前大統領が訪日(公式実務訪問)した。また、2002年には、国連総会の際に、我が国との首脳会談が実現している。
(参考1)主要経済指標等