91年12月、ソ連の解体とともに独立国家となった。初代大統領に選出されたカリモフ大統領は2000年1月に再選を果たし、その後、2002年1月の国民投票による憲法改正で大統領任期が7年間に延長された。同大統領は「漸進主義」(市場経済への段階的移行)による改革を行い、政治的安定を重視する路線を採っている。議会では「人民民主党」と改称した旧共産党が勢力を占め、大統領を支持している。イスラム急進派の活動は禁止されており、キルギス、タジキスタンとの国境付近におけるイスラム武装勢力の動きを警戒している。
外交面・貿易面ではロシア依存からの脱却を志向したものの、依然として経済関係は強く、テロ事件との関連で対ロシア関係も見直しつつある。一方で、西側諸国との関係も重視し、また、イスラム諸国とも連携強化を図っている。欧州安保協力機構(OSCE)をはじめ、国連、IMF、世銀、アジア開発銀行(ADB)に加盟、国際機関や先進諸国による経済支援に期待しているが、企業の民営化、金融市場や、農業の近代化は立ち遅れている。
ウズベキスタンは天然資源が豊富であり、綿花生産量が年間約390万トンと世界第4位、金の生産も世界有数である。また、天然ガスが豊富であり、石油、石炭、非鉄金属産業も発達している。「漸進主義」による改革による混乱の少なさもあって、CIS諸国の中ではソ連崩壊の影響による生産低下が最も少なく、96年にGNP成長がプラスに転じた。
ウズベキスタンは94年6月に独自通貨「スム」を導入、96年の国際収支悪化に伴い、外貨交換の制限、外貨割当や輸入制限の強化等の措置をとったため、為替市場に混乱をもたらし、外国からの投資の大幅な減少を招いた。その後、IMFとの交渉を通じて為替レートの一本化に向けた取り組みを行っている。
民間の経済協力調査団の派遣や日本・ウズベキスタン経済委員会など、我が国とは官民とも交流が盛んである。ウズベキスタンからは94年5月、2002年7月にカリモフ大統領、96年12月、98年1月、99年3月及び2001年12月にスルターノフ首相、99年11月にはカミロフ外相が訪日、また、我が国からは99年5月に高村外務大臣(当時)がウズベキスタンを訪問した他、2002年4月及び7月には杉浦外務副大臣(当時)が訪問した。二国間の貿易関係は十分に活発とはいえないが、我が国からの主要輸出品目は通信機器、石油ガス用鋼管、主要輸入品目は金、綿花、亜鉛等となっている。
(1) ウズベキスタンに対する政府開発援助の基本的考え方
ウズベキスタンはソ連崩壊後の新たな国際情勢において地政学的に重要な位置を占めている国であり、また同国の民主化、市場経済導入への方向性はODA大綱の観点からも望ましいものであるため、同国が人材不足や経済インフラの老朽化、環境悪化などの問題に効率的に対処し、経済的な困難を克服して国造りを行えるように、我が国は同国に対し積極的な支援を行っている。なお、ウズベキスタンでは、外貨取引の自由化、二重為替制度の廃止などの経済自由化における課題が依然残っており、支援にあたってはその進捗にも注意を払っていく。
我が国は、ウズベキスタンが93年1月にDACリストパートIに掲載されODA対象国となる以前の91年から、研修員受入れや専門家派遣などの協力を開始しており、また、旧ソ連諸国に対する総額2億ドルの緊急人道支援の一部として、医薬品、ワクチン等の供与を中心に、93年以降1,520万ドル相当の支援を実施している。
2000年11月、ウズベキスタンに経済協力総合調査団を派遣し、その結果等を踏まえ、市場経済化の促進、インフラの整備、社会セクターの再構築を我が国支援の重点分野としている。
(2) 2001年度の援助実績
(イ) 総論
2001年度のウズベキスタンに対する援助実績は41.01億円。うち、無償資金協力は33.01億円(交換公文ベース)、技術協力は8.01億円(JICA経費実績ベース)であった。2001年度までの援助実績は、有償資金協力562.38億円、無償資金協力124.72億円(以上、交換公文ベース)、技術協力42.15億円(JICA経費実績ベース)である。
(ロ) 有償資金協力
運輸・通信インフラの整備への協力を実施しており、2002年5月には「タシケント火力発電所近代化計画」に対する円借款の供与を行った。
(ハ) 無償資金協力
保健医療分野への一般プロジェクト無償のほか、ノンプロジェクト無償資金協力及び食糧増産援助、文化無償等を実施しており、また99年度より開始した留学生支援無償を実施している。
(ニ) 技術協力
市場経済、環境、各種行政分野を中心に研修員を受け入れるとともに、97年から3カ年計画で重要政策中枢支援として市場経済化に資する人材育成のための協力を行なった。また、2000年12月からは「日本ウズベキスタン人材開発センター・プロジェクト」(技術協力プロジェクト)を開始し、引き続き人材育成のための協力を行っている。99年度からは、青年海外協力隊が派遣されることとなった。開発調査は、環境案件であるアラル海沿岸の給水計画調査を行ったのをはじめ、資源開発、運輸分野等を対象に実施してきている。
(ホ) その他
ウズベキスタンの平和構築への努力を支持するとともに、隣国アフガニスタンの恒久的平和と安定を実現するためには周辺諸国の協力が不可欠であるとの観点から、テロとの闘いに取り組む中で困難に直面している同国に対する支援として、10億円の無償資金協力(緊急援助0.43億円、ノンプロジェクト無償9.5億円)を実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
(参考2)2001年度実施開発調査案件
(参考3)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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