[44]モーリタニア
1.概 説
(1) 84年に成立したタヤ政権は、新憲法の採択、大統領選挙、国民議会選挙、上院議員選挙の実施等、一連の民主化プロセスを実現するとともに、その定着に努めてきた。97年の大統領選挙においてタヤ大統領は再選され、以来、タヤ政権の下で内政は比較的安定して推移してきた。
(2) 外交面では、非同盟を軸として穏健中立を貫くとともに、フランスをはじめとする西側先進諸国との関係強化を進めている。アラブ連盟のメンバーであり、89年7月にはモロッコ、チュニジア、アルジェリア、リビアとともにアラブ・マグレブ連合を結成し、イスラム諸国との協力にも積極姿勢を示している。また、隣国セネガルを含む西アフリカ諸国との関係では、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の経済統合政策に反対し、99年12月に脱退を表明した。
(3) 経済面では、GDP構成比で約20%を占める農業、漁業及び牧畜を基盤とし、外貨収入は水産物及び鉄鉱石の輸出(それぞれ半分ずつ程度)に依存しているため、貿易収入は国際需要・価格の変動に左右されやすく、構造的な脆弱性を抱えている。同国は、民主化プロセスとともに経済構造調整改革にも取り組み、経済成長率、インフレ率等にその成果も見られるが、貧困対策、民営化の推進等、中・長期的な経済発展のための課題は依然として多く残っている。
(4) 我が国は、モーリタニアからイカ、タコ等の水産物、クロム鉱石を輸入し(2000年輸入額8,062万ドル)、同国に自動車、機械類部品タイヤ等を輸出している(同輸出額1,457万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
(参考2)主要社会開発指標
2.我が国の政府開発援助の実績とあり方
(1) モーリタニアに対する政府開発援助の基本的考え方
我が国は、モーリタニアの基礎生活の向上を図るため、無償資金協力及び情報技術、行政、保健医療、人的資源分野等での研修員受入れ、専門家派遣、開発調査等の技術協力を中心に援助を実施している。無償資金協力については、ほぼ毎年食糧援助及び食糧増産援助を実施しているほか、基礎教育、保健・医療、水供給といった基礎生活分野への援助、水産無償援助等を実施している。また、同国の構造調整努力を支援するため、2000年度までに合計63億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与したほか、93年7月及び95年12月にIDAとの協調融資による合計75億円の円借款を供与した。ただし、モーリタニアは拡大HIPCイニシアティブの適用を受けており、現在、新規円借款の供与による協力は困難であることから、今後は同国の民主化、経済改革努力を支援するため、無償資金協力、技術協力を中心とした協力を検討していく。
(2) 2001年度の援助実績
2001年度までの我が国の援助累計実績では、有償資金協力114.07億円、無償資金協力372.87億円(以上交換公文ベース)、技術協力34.87億円(JICA経費実績ベース)の協力を行っている。2001年度は、無償資金協力16.25億円(交換公文ベース)、技術協力6.66億円(JICA経費実績ベース)を行った。
無償資金協力については、水供給、水産分野、食糧援助、食糧増産援助等のほか、草の根無償資金協力も実施している。
技術協力については、研修員受入れを中心に協力を実施した。
3.政府開発援助実績
(1) 我が国のODA実績
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
(3) 年度別・形態別実績
(参考1)2001年度実施開発調査案件
(参考2)2001年度実施草の根無償資金協力案件
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